第2回リサーチセミナー開催について

日本管理会計学会会員 各位

2021年度第2回リサーチセミナー(日本原価計算研究学会および主催校である大阪大学と共催)につきまして,下記の通りご案内させていただきます。
本リサーチセミナーは若手研究者の研究水準向上の機会として開催されるものです。

1.開催日時:2021年11月20日(土)14時~16時20分
2.開催方法 オンライン(ZOOM)
  参加申し込みいただいた方に11月18日木曜日にZOOM情報をお伝えします。
3.参加費 無料
4.プログラム
  14時00分-14時05分 進行方法の説明・開催の挨拶
  14時05分-15時05分 第1報告(報告35分,討論15分,フロア質問10分)
  報告者 吉見 明希氏(北海道情報大学)
  報告テーマ コンテンツ制作における工程管理の分析
  討論者 伊藤 克容氏(成蹊大学)
  15時05分-15時20分 休憩
  15時20分-16時20分 第2報告(報告35分,討論15分,フロア質問10分)
  報告者 濵村 純平 氏(桃山学院大学)
  報告テーマ Manufacturer encroachment in a product market and common ownership between supply chain parties
  討論者 呉 重和氏(摂南大学)
5.参加申込方法・問い合わせ先
(1)締切日:2021年11月17日(水)
(2)以下のGoogleフォームから申し込んでください。
   https://forms.gle/nJnsZGA5xAn6tiRt6

(3)問い合わせ先:大阪大学 椎葉 淳
   セミナーについてお問い合わせのある場合には,標題を「リサーチセミナー問い合わせ」として,「氏名」「所属機関」「連絡先電子メールアドレス」を明記のうえ,下記電子メールアドレスまでご連絡ください。
   電子メールアドレス:shiiba[at]econ.osaka-u.ac.jp
   ([at]を半角の@に変更してください.)

以上

2021年度第3回フォーラム開催について

日本管理会計学会 会員各位
JAMA2021年度第3回フォーラム実行委員
平井 裕久(神奈川大学)
小村 亜唯子(神奈川大学)

会員各位におかれましては益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。
このたび、日本管理会計学会2021年度第3回フォーラムを下記の通り開催の運びとなりました。
皆様におかれましては万障お繰り合わせの上、何卒ご出席賜りますよう、ご案内申し上げます。
ご参加につきましては、以下よりお申し込みください。




開 催 日 :2021年12月18日(土)
会 場 :zoomでの開催(神奈川大学主催)

参加申込:参加希望者は以下より申し込みください。追って、参加に係るzoomの情報をお送りさせて頂きます。
【申込〆切:12/15】 https://forms.gle/rfNhg1XWVyTF4Hqz9

テーマ:「 ESG重視の経営  」

13:30 開会の挨拶

13:35-14:35 特別講演 「タクソノミーとトランジションファイナンス(仮)」
水口 剛 先生(高崎経済大学)

14:40-15:20 第1報告 「日本の製造業における環境配慮型活動の実態と成果に関する研究
―質問票調査と聞き取り調査に基づいて―(仮)」
北田 真紀 先生(滋賀大学)

15:20-16:00 第2報告 「BSCにおけるサステナビリティ情報の利用に関する実験研究(仮)」
北田 皓嗣 先生(法政大学)


(連絡先)
神奈川大学 工学部経営工学科 管理会計研究室
平 井 裕 久     hirai[at]kanagawa-u.ac.jp
小村 亜唯子    komura-a[at]kanagawa-u.ac.jp
([at]を半角の@に変更してください.)

日本管理会計学会2021年度 第2回関西・中部部会 開催記

2021年10月18日 齊藤毅(中京大学)

■■日付・場所
・日付:2021年10月9日(土)
・場所:Zoomミーティングによるオンライン開催(開催校:中京大学)

■■ 日本管理会計学会2021年度第2回関西・中部部会が、2021年10月9日(土)に中京大学(愛知県名古屋市)の主催により開催された(準備委員長:齊藤毅氏(中京大学))。コロナ禍の状況を受け、部会はZoomミーティングによるオンラインで実施された。
 今回の部会は、オンライン開催ということで参加のための地理的制約が無くなったこともあり、関西・中部地域だけでなく、全国から28名の参加があった。いずれの講演・報告でも、発表の後には活発な質疑応答が行われた。

■■ 第一部〔特別講演〕 司会:齊藤毅氏(中京大学)
講演者:森田大延氏(有限会社しら河 代表取締役)
講演テーマ:「コロナ禍を乗り越え、次代につなげ!ひつまぶし」

 本講演は、長年にわたって名古屋市でうなぎ専門店(ひつまぶし店)を複数店舗展開されている「しら河グループ」の代表取締役である森田大延氏をお迎えした。飲食業における日頃の取り組みだけでなく、新型コロナウイルスの感染拡大前後の業績の変化やアフターコロナに向けた将来展望等について講演頂いた。
 講演の前半では、まず、自身の経歴や社会活動、企業の概要について話された。しら河は、浄心本店、今池店、ジェイアール名古屋高島屋店(お持ち帰り専門店)、栄ガスビル店、名駅店を展開しており、通販ギフトも手掛けている。各店舗の規模や体制等を述べられるとともに、うなぎを食べる習慣の「土用丑の日」がある7~8月の売上高が最も高いと説明された。次に、会計システムについて触れられた。実際の会計数値を表示しながら、①浄心、②今池、③高島屋、④栄、⑤名駅、⑥加工場、⑦本部、⑧ギフトの8部門に分けて実施されている業績管理について説明があった。さらに、顧客管理について述べられた。しら河では、ポイントカードを発行している。カード情報に基づき、顧客の特徴として、男性より女性の割合が若干ながら多く、若年層よりも高齢者の利用率が高いことが示された。最後に、経営理念や研修制度について話された。しら河の経営理念は、「おなかもこころもまんぷく(鰻福)に」である。この理念を浸透させるための研修制度について、実際の研修資料に基づき説明がなされるとともに、生産地研修や社外研修等について話された。
 後半では、新型コロナウイルス感染拡大前後の業績の変化や将来展望について述べられた。まず、各店舗別に、2019年から2021年までの実際の業績を示しながら、その時々の意思決定や職場の状況等を交えつつ、業績の変化について細かく説明された。各店舗では、軒並み売上高が低下しており、最も落ち込んだのは第1回目の緊急事態宣言直後の2020年4~5月である。その後も苦しい時期が続いているが、一方で、持ち帰り専門店である高島屋や通販ギフトの売上高は好調であることから、全体では売上高が回復傾向にあることが示された。次に、業績の低下に伴い閉店を余儀なくされた大森(日本料理)について述べられた。閉店時の経緯や従業員・女将とのやり取りについて話された。最後に、アフターコロナに向けた将来展望について触れられた。具体的には、既存事業を強化しつつも多角化を視野に入れて、事業を拡大していきたいと話された。また、コロナ禍においては政府の助成金をはじめとして周囲に助けられたことから、コロナ後に社会に貢献することで恩返しをしていきたいと所信を表明された。 
 講演の後には、参加者から多くのご質問を頂き、活発な質疑応答が行われた。

■■ 第二部〔研究報告〕 司会:窪田祐一氏(南山大学)
■ 第1報告
報告者:今井範行氏(名古屋国際工科専門職大学教授)
論題:「デザイン思考に対応したITコスト管理に関する一考察-KINTOの事例を中心に-」

 本報告では、デザイン思考に対応したITコスト管理について、トヨタのKINTOの事例に基づき考察された。モノのサービス化の進展により、多くの業界で、製品単品売り切り型からサブスクリプションモデルへの転換が進行している。同モデルでは、サービス提供のためのシステムのUX向上が競争力の鍵を握ることから、デザイン思考にもとづくシステムのモード2開発が興隆している。それにともない、多くの業界で、システム開発体制の変革が進行しつつある。すなわち、①アウトソーシング(外注)から自前(内製)への体制変更、②デジタル専門人材の採用・囲い込み・処遇改善・戦略組織化の進行である。
 報告者によれば、ITコスト管理の変更として、製品単品売り切り型では新車投入時の一時コスト(外注費、変動費)を新車の販売収益から一時回収(早期回収)することが求められるが、サブスクリプションモデルではUX向上のための継続コスト(内製費、固定費)を、サブスクのサービス収益から継続回収(長期回収)することが求められる。また、システム開発拠点の開設費、人材採用費、新会社設立費等の体制移行費用は巨額となるため、通常予算とは別枠の戦略予算化が必須である。さらに、モノのサービス化に連動した(IT コスト)変動費の固定費化、回収長期化によるIT コスト管理のリスク度合いの増大について検討する必要があると報告された。

■ 第2報告
報告者:足立洋氏(県立広島大学准教授)
論題:「中小企業における後継者確保の可能性と管理会計-後継者確保状況と管理会計実態に関する探索的研究-」

 本報告では、中小企業における後継者確保状況と管理会計実態について、広島県呉市におけるアンケート調査に基づき考察された。近年、中小企業における事業承継プロセスの円滑化における管理会計の有用性が指摘されている。具体的には、管理会計システムから生み出される会計情報が社内の共通言語となって、意思疎通の改善に寄与する点などが挙げられている。一方、日本ではそもそも後継者を確保できていない中小企業も多い。廃業予定企業と事業承継の意向があっても後継者が未定の企業を合わせると、全体の7割に及ぶにもかかわらず、これらの企業における管理会計実践の実態は、ほとんど明らかになっていない。報告者は、上記の問題意識のもとで、管理会計の利用実態に程度の違いがあるのか、あるとすればどのような違いがあるのかという検討課題について考察した。
 報告者によれば、アンケート調査結果に基づくと、後継者が確保できている中小企業と後継者を探しているが未定の中小企業は、廃業予定の中小企業に比べて、業績管理会計、資金管理、投資管理、外部者との情報共有について、平均値に有意な違いがみられた。この結果により、後継者を確保するために組織存続に向けて組織全体で計画に基づいたPDCAを回すことを心掛けている可能性が示唆された。また、管理会計実践が部分的に外部者によって担われているという中小企業の実態を踏まえると、上記のプロセスの一部は、事業の運営や承継に関する外部者との相談のプロセスの中で担われている可能性があると報告された。

管理会計学会・「30周年記念Web部会」の報告者募集について

日本管理会計学会・会員各位

 管理会計学会創設30周年記念事業の一つとして創設が認められた「30周年記念Web部会」の第1回部会を12月4日(土)にオンラインで開催することになりました。
 第1回部会は2部構成として第1部は上埜進甲南大学名誉教授をお招きして、特別講演をしていただきます。上埜進先生は管理会計学会の元副会長で2014年には管理会計学会特別賞を受賞されています。またアジア太平洋管理会計学会(APMAA)の発展に尽力され、現在もその理事会議長を務められています。
 部会の第2部は、大学院生や若手研究者の報告会とさせていただくことになっており、今回この第2部の報告者を募集させていただきます。
 報告をご希望の方は,下記の応募要領をご参考の上,ご応募をいただきますようお願い申し上げます。大学院生を指導されている先生方には是非院生に報告を勧めていただければと存じます。なお報告希望多数の場合には、ご希望に添えない場合もあることをご了解の上、お申込み下さい。

管理会計学会創設記念事業委員会

              記

開催日時:2021年12月4日(土)13時20分開始(予定)
開催方法:Zoomによるオンライン
<報告応募要領>
1.締切日:2021年11月6日(土)
2.応募方法:件名(標題)に「30周年記念Web部会報告希望」と 記載し本文中に下記を明記のうえメールでご応募ください。

 (1) 報告タイトル・概要(200-300字程度)
 (2) 氏名:
 (3) 所属機関:
 (4) 職名:
 (5) 連絡先:
 

応募先:関西大学 水野一郎
      e-mail: icmizuno[at]kansai-u.ac.jp
          ([at]を半角の@に変更してください。)

日本管理会計学会 2021年度年次全国大会記

黒岩美翔(長崎県立大学)

 日本管理会計学会2021年度年次全国大会(開催校:長崎県立大学)が、2021年8月26日(木)~28日(土)の会期で、全面オンラインにて開催された(準備委員長:宮地晃輔氏)。当初は対面での実施を予定していたが、新型コロナウィルス感染症の全国的な感染拡大を背景に、開催地である長崎県が独自の緊急事態宣言を発令したことを踏まえ、急遽すべてのプログラムがオンライン会議システムを用いての開催となった。そのため、直接的な交流は叶わなかったものの、結果として全国各地から多くの方が参加可能となり、大変有意義な学会となった。本大会記では、大会の様子の一部を紹介したい。

[大会1日目]
 常務理事会・理事会をはじめとする諸会議がオンラインにて開催され、昨年度の事業報告、収支決算、監査報告、今年度の事業計画、収支予算、さらに学会賞審査委員会からの審査結果などについて、審議・報告がなされた。なお、2022年度年次全国大会の会場が明治大学駿河台キャンパスの予定であることも報告された。

[大会2日目]
 午前中は6会場に分かれて12の自由論題報告からスタートした。その後、特別企画として椎葉淳氏(大阪大学)司会のもと、加登豊氏(同志社大学)よる「再び「管理会計のレゾンデートル」について」の講演が行われた。管理会計の価値が認められていない現状を踏まえた上で、どのようにすれば経営実践で管理会計の意義が認識されるのか、また管理会計の研究・教育の高度化が達成されるのかという問題意識のもと、いくつかの方法・アクションが提案された。具体的には、経営者や他の領域の研究者との濃厚な対話に取り組むことや、英知を結集した教科書作り、また、教育に関する教員間の情報交換を促進することなどが挙げられた。討論者であった澤邉紀生氏(京都大学)からは、「総力」というよりは賢い「分化」と「統合」を実現する戦略構想が必要であると本講演のエッセンスが提示された。質疑応答の際には多くの質問が寄せられ、活発な議論が行われた。研究・教育・実践など、多角的な視点から管理会計に取り組む姿勢について改めて考えさせられる内容となった。 

 昼食後の会員総会では、事業報告・計画、決算・予算・監査などの審議・報告が行われた。また、本来であれば学会賞の授与式が行われる予定であったが、今大会がオンラインでの開催となったため、受賞者の報告のみが行われた。なお、受賞者は以下の通りである。

 その後に開催された統一論題報告・討論のテーマは「間接費配賦の再考」であった。まず、座長の丸田起大氏(九州大学)から解題がなされた。丸田氏からは、間接費配賦についての理論的・実務的研究が進み、原価計算の適用領域がサービス業や非営利組織に拡大する中で、間接費配賦の目的や対象がどのように変化してきているのかについて問題提起がなされた。

 続く第一報告として、谷守正行氏(専修大学)から「銀行の間接費配賦の変化の背景と理論化―実態調査と市場環境分析に基づく研究―」というタイトルのもと、配賦実務の理論化・サービス業の研究について報告がなされた。様々な要因からビジネス環境や戦略が変化していく中で、銀行の原価計算も見直しが行われ、顧客別キャパシティー推定型原価計算(銀行ポストABC)へと移行してきていることが指摘された。また、この銀行ポストABCは他のサービス業においても、デジタルサービスを展開する企業等には適用可能性があることが示唆された。

 第二報告は、足立俊輔氏(下関市立大学)による「病院原価計算システムにおける間接費配賦の課題と対応」であった。足立氏は間接費を配賦する病院原価計算システムとして、患者情報が記載されている電子カルテ情報を用いることで、タイムスタディを伴わない病院原価システムの構築が可能であると指摘した。また、コロナ禍では病院原価計算を導入し、未利用キャパシティを見える化、タスクシフティングを実施することで、患者ケアに多くの時間が確保できることが示された。

 最後の第三報告では、高橋賢氏(横浜国立大学)から、「21世紀の間接費管理―ネットワーク組織のキャパシティ・マネジメントー」というタイトルで報告がなされた。高橋氏は配賦をしないという考え方の下、21世紀における内需の減少と人的生産能力の減少という問題を念頭に、現代では一組織・一企業ではアイドル・キャパシティの管理が困難であることを指摘した。そのため、同じような属性を持つ組織の集積や、属性の異なる組織の集積を活用するといった、メゾレベルでのキャパシティ管理の必要性が提示された。

 報告後の討論では、丸田座長のコーディネートの下で、冒頭で提起された2つの観点である「なぜ配賦をするのか」、「どのように配賦をするのか」について各研究の立場から議論がなされた。最後の質疑応答の時間も含め、デジタル化やコロナ禍の影響を受けて目まぐるしく変わりゆく現状を考慮した上で、様々な視点から間接費の配賦と管理についてディスカッションが行われ、非常に意義深い統一論題報告・討論となった。

[大会3日目]
 午前中は、自由論題12報告と、2つのスタディ・グループによる中間報告・最終報告に加え、産学共同グループの中間報告が行われた。昼食後には、学会創設30周年記念特別講演会として、(株式会社A and Live代表取締役、株式会社ジャパネットたかた創業者)より、「企業経営で大切にしてきたこと、人を育てることの大切さ」のテーマのもと講演が行われた。講演においては、本学会を意識しながら「管理会計」に触れつつ、のこれまでの経験を踏まえて、「伝えると伝わるは違うこと」、「過去と他人は変えられないが、未来と自分は変えられる」ことなど、研究や教育のみならず、生活していく上で実際に意識していきたい内容が豊富に盛り込まれていた。ユーモアを交えながら、参加者へ質問を投げかけるなど常に聴衆をひきこんでいく様子はまさに、「人に伝わる」ということを体現されているようであった。最後に、画面越しではあったが、参加者からへ盛大な拍手が送られ、非常に賑やかな講演会となった。最後に、自由論題12報告が行われ、無事に大会が終了した。