2026年度第1回企業研究会「マツダ株式会社様(本社:広島県安芸郡府中町)」開催記

文責:広島国際大学 景山 愛子

 2026(令和8)年8月7日(金)13:00~16:30の日時にて、広島県安芸郡府中町新地3番1号に所在するマツダ株式会社様(以下、マツダ:https://www.mazda.com/ja/)の本社において、2026年度第1回企業研究会を開催いたしました。本研究会には全国から25名の会員が参加しました。
 マツダは1920年に広島市で「東洋コルク工業株式会社」として創業し、1927年に「東洋工業株式会社」へ改称しました。1931年に三輪トラックを発売し、自動車メーカーとしての歩みを始めましたが、1945年8月6日、広島は原子爆弾で壊滅的被害を受けました。同年12月には生産を再開し、その後も1960年には初の乗用車「R360クーペ」を発売し、続く「コスモスポーツ」で世界初の量産ロータリーエンジンを実用化しました 。1984年に社名を現在の「マツダ株式会社」に変更し、1989年には「ロードスター」を発売、そして最近では2026年5月に9年ぶりにフルモデルチェンジされたCX-5が発売され、注目を集めています。現在、国内外に生産拠点8ヵ所、研究開発拠点6ヵ所を有し、グルーバル販売台数は2026年度3月期において1,222,531台となっています。
 本研究会では、最初に本社敷地内に併設されるマツダミュージアムで、歴代の主要車種や近年の製造における特徴についての説明を聞き、稼働中の宇品第一工場で組み立ての現場を見学しました。その後、本社会議室において、原爆犠牲者への黙祷を行った後、常務執行役員コスト低減担当の河村修様より、『スモールプレイヤー マツダのものづくり』と題したご講演を頂きました。
 ご講演では、「意志あるフォロワー」と「パートナー1000」という2つの企業戦略の下、マツダが行う国内外の製造現場の特徴についてご説明を頂きました。まず、1つの生産ラインで複数の車種を組み立てる混流生産について、部品の共通化としての一括企画や部品を順番ごとに並べるピットサプライによる効率と採算を追求した「計画順序生産」がご紹介されました。また、変種変数生産を行う中で、現場では種類数の見直しを行い、コストの大半が決まる企画の初期段階において、無駄なものは作らないという選別を極めているお話もありました。
 現在、マツダの原価低減は2025年に設置された原価企画変革室が主体的に進めており、ここでは、マツダはラグジュアリーブランドを目指しているのではなく、コスト構造を解明し、コスト一単位あたりの顧客が感じるブランド価値の向上(「価値の入れ替え」と呼ばれている)を重視されているというご説明がありました。製造現場の特徴に加え、さらに顧客の支払許容範囲を前提とした継続的な技術チャレンジを行っているなど、マツダならではの会社の規模を強みとした興味深い取り組みを数々ご紹介頂いた後、活発な質疑応答が行われ、盛会のうちに終了いたしました。研究会後はマツダ株式会社様のご厚意により、場所を広島駅に移して懇親会が催されました。
 最後に、本研究会開催のために、ご多用の中、貴重なご講演を頂きましたマツダ株式会社常務執行役員コスト低減担当の河村修様とマツダミュージアム見学から終始ご同行くださった原価企画変革室シニアエキスパートの森野慎一郎様を始め、開催にご尽力いただきました同社のみなさまに心より御礼を申しあげます。

【ご案内】日本管理会計学会「管理会計の日」記念フォーラム開催のお知らせ

日本管理会計学会 会員各位

平素より大変お世話になっております。
日本管理会計学会「管理会計の日」記念フォーラム開催のご案内を申し上げます。

本年は、「渋沢栄一の経営思想の探求と継承」をテーマに、専修大学神田キャンパスにてフォーラムを開催いたします。参加費は無料となっておりますので、ぜひ皆様のご参加を心よりお待ちしております。

■日本管理会計学会「管理会計の日」記念フォーラム
【テーマ】渋沢栄一の経営思想の探求と継承

【日時】
2026年9月13日(日) 14:00~16:40

【会場】
専修大学 神田キャンパス 7号館3階 731教室

【参加費】
無料(※懇親会費は別途)

【プログラム】
・14:00~14:05 開会挨拶
 伊藤 克容 氏(日本管理会計学会会長 / 成蹊大学教授)

・14:05~14:20 フォーラム開催の趣旨と経緯
 水野 一郎 氏(スタディ・グループ研究代表 / 関西大学名誉教授)

・14:20~15:20 特別講演
 「渋沢栄一とフィランソロピー」
 木村 昌人氏(東アジア文化交渉学協議会理事・元渋沢栄一記念財団研究部部長・研究主幹)

・15:30~16:40 パネル・ディスカッション
 テーマ:「渋沢栄一の経営思想の探求と継承」
 モデレーター:水野 一郎 氏
 パネリスト:
 坂本 久 氏(株式会社渋沢 代表取締役社長)「株式会社渋沢の経営理念と取り組み」
 内山 哲彦 氏(青山学院大学)「バウンダリー・スパナーとしての渋沢栄一」
 梅田 宙 氏(高崎経済大学)「渋沢栄一の構想を実践した尾高惇忠と富岡製糸場」
 ディスカッション:パネリストおよびフロアからの質疑応答

【お申し込み方法】
ご参加をご希望の方は、2026年9月11日(金)までに以下のURLよりお申込みください。
申込URL: https://forms.gle/tjPZrrXs97Z6JwGu9

【懇親会について】
懇親会(懇親会費:4,000円)にご参加をご希望の方は、準備の都合上、9月10日(木)までにお申し込みください。
※定員に達した時点で懇親会の参加お申し込みを締め切らせていただきますので、あらかじめご了承ください。

【主催・運営】
主催:日本管理会計学会
準備委員長:伊藤 和憲(専修大学名誉教授)

以上

20260913日本管理会計学会「管理会計の日」記念フォーラムポスター

2026年度第2回日本管理会計学会フォーラム開催記

 2026年度第2回フォーラムは,甲南大学・近畿大学を開催準備校(準備委員長:近畿大学 北田智久氏)として,2026年7月26日(日)13時15分~16時10分に甲南大学にて対面形式で開催されました。当日の参加者は約20名でした。開会の挨拶は日本管理会計学会・会長の伊藤克容氏(成蹊大学),司会および閉会の挨拶は北田智久氏(近畿大学)により行われました。特別講演は神戸壮太⽒(合同会社42経営研究所 代表社員,京都府中小企業診断協会 常任理事),研究報告の第1報告は永⽥⼤貴⽒(流通科学大学),第2報告は打⽥昌輝⽒(東北学院⼤学),吉⽥政之⽒(近畿⼤学)でした。いずれの報告についても,フロアから積極的な質問やコメントがなされ,活発な議論が行われました。

特別講演
講演者:神戸壮太⽒(合同会社42経営研究所 代表社員,京都府中小企業診断協会 常任理事)
講演タイトル:中⼩企業の『そもそも』と『たまたま』—中⼩企業⽀援の現場から—

 報告の前半では,中小企業診断士としての具体的な業務内容について紹介されました。神戸氏は,支援の現場で変わることのできる企業とそうでない企業に出会う経験から,その違いがどこにあるのかという問題意識を提示されました。後半では,その違いを説明する視点として「そもそも」(創業時の理念)と「たまたま」(偶然の機会)の二つが示され,考察が展開されました。報告では,資源に気づくことのできた3社と,気づくことのできなかった1社の事例が紹介されました。日頃から考え続けている経営者ほど偶然に恵まれるという指摘のもと,理念や哲学とは異なる次元で,経営者が自社の資源に気づけるよう支援し,その場を整えることの重要性が述べられました。

研究報告 第1報告
報告者: 永⽥⼤貴⽒(流通科学大学)
報告タイトル:主観的業績評価における運の調整方針が被評価者の意思決定に与える影響 ―リスク態度と合理的判断に関する実験研究―

 研究報告の第1報告では,永田氏より主観的業績評価における運の調整方針が被評価者の意思決定に与える影響について検討がなされました。実務では不運は救済するが,幸運は据え置くという非対称的な調整が一般的である一方,先行研究では幸運の調整が十分に検討されてこなかったという問題意識が示されました。報告では,幸運の下方調整と不運の上方調整を操作する被験者間2×2要因デザインのオンライン実験により,運の調整方針がリスク態度,合理的判断および公正性認知に与える影響について分析が行われました。分析の結果,幸運のみを調整される場合にはリスク回避的な行動が強まること,不運のみの調整は分配的公正性の認知を高める一方でリスクテイクや合理的判断の改善にはつながらないこと,双方を調整する場合には合理的判断が高まる一方で必ずしも手続き的公正性が高く認識されるわけではないことが明らかにされました。

研究報告 第2報告
報告者:打⽥昌輝⽒(東北学院⼤学),吉⽥政之⽒(近畿⼤学)
報告タイトル:新型コロナウイルス感染症禍における、マネジメント・コントロールが企業業績に与える影響

 研究報告の第2報告では,新型コロナウイルス感染症禍におけるマネジメント・コントロールが企業業績に与える影響について検討がなされました。コロナ禍において不確実性が増大するなか,企業はコントロール・レバーを調整することでこれに対応してきたとされ,とりわけインタラクティブ・コントロールの重要性が指摘されてきたという問題意識が示されました。報告では,郵送質問票調査のデータを用いて,コロナ禍の影響を認識する前後でのマネジメント・コントロールの変化が企業業績に与える影響について,コロナ禍の影響に対する企業の認識の速さの調整効果に着目した分析が行われました。分析の結果,影響の認識が早い企業ほど,インタラクティブ・コントロールを強めることで業績が向上することが明らかにされました。

文責:吉田政之(近畿大学)・北田智久氏(近畿大学)

2026年度年次全国大会大会プログラムについて

日本管理会計学会 会員各位

2026年8月23日(日)-25日(火)(23日は、理事会・常務理事会)、成蹊大学において開催されます2026年度年次全国大会の特設サイトが公開されました。

以下のURLをご参照ください。

https://jamajcaa-meeting.sakura.ne.jp/annual/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E7%AE%A1%E7%90%86%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%AD%A6%E4%BC%9A%E3%80%80%E5%85%A8%E5%9B%BD%E5%A4%A7%E4%BC%9A

 なお、本年度より参加費等のお支払方法がPeatixに変更されています。詳細は、上記サイトの「参加申し込みはこちら」をクリックください。

【お知らせ】米国管理会計士協会(IMA)と基本合意書(MOU)を締結

2026年7月4日(土)、日本管理会計学会(JAMA)は米国管理会計士協会(IMA)と基本合意書(MOU)を締結し、同日、共同PR東銀座オフィスにて調印式を執り行いました。 調印式には、本学会から伊藤克容会長と奥倫陽常務理事が出席いたしました。IMAからはMarcel Ewals様(IMAアジアパシフィック・ディレクター)、小西晋也様(IMA日本支部共同代表)、Peter J. Dolan様(IMAグローバル理事会会長)が出席され、調印および今後の具体的な活動に向けた意見交換が行われました。

本提携は、国境と産学を越え、「学術の知見」と「実務の最前線」を双方向に結ぶことを目的としています。予測困難な激変期において未来を予測する管理会計の高度化を推進し、グローバル経済下における企業の迅速な意思決定と、国際的な経営管理インフラの革新を目指します。

本提携に際し、伊藤克容会長は「お互いの強みを補完し合う強力なイノベーションが生まれることを期待します」とのコメントを寄せています。さらに、本協定を契機として日本国内における管理会計のプレゼンスを一層向上させるとともに、日本における高度な管理会計実践の成果を対外的に力強くアピールしていく展望を示しました。くわえて、実務の最前線における知見と学術研究との有機的な連携を図ることで、管理会計分野における研究水準の飛躍的な向上と深化をもたらすことへの多大なる期待を述べられました。

■ 米国管理会計士協会(IMA®)について

IMA®は管理会計プロフェッショナルの発展に専念する最大かつ最も高く評価されている職業人団体の一つです。IMAは世界的に研究、CMA®(Certified Management Accountant、米国公認管理会計士)、CSCA®(Certified in Strategy and Competitive Analysis、戦略・競争優位分析資格)認定プログラム、FMAA™(財務・管理会計アソシエイト資格)認定プログラムをはじめ、継続的な教育、ネットワーキング、そして最も高い倫理基準に基づいた事業慣行の推進を通じ、管理会計プロフェッショナルの発展に取り組んでいます。

IMAは、The Accountant/International Accounting Bulletin誌から「Professional Body of the Year(年間最優秀職業人団体)」に2度選出され実績もあり、現在では150カ国で約14万人の会員と200以上の専門家および学生支部を有するグローバルネットワークを展開しています。アメリカ・ニュージャージー州モントヴェールに本社を構えるIMAは、米国大陸、中国、ヨーロッパ、中東・北アフリカ、インド、アジア太平洋地域の6つのグローバル地域を通じて、地域に密着したサービスを提供しています。

IMAの詳細はwww.imanet.org、US-CMAに関する詳細は、https://www.imanet.org/cma-campaign-japan をご参照ください。