「関西・中部部会」カテゴリーアーカイブ

日本管理会計学会 2023年度 第2回フォーラム 開催のお知らせ

日本管理会計学会会員 各位

謹啓 時下ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
 さて、日本管理会計学会2023年度第2回フォーラムを、7月29日(土)に愛知学院大学名城公園キャンパスを会場に下記の要領にて開催致します。ご出席を賜りますようお願い申し上げます。当日は、懇親会も準備してお待ちしておりますので、ご出席を賜りますようお願い申し上げます。
 なお、ご出席予定の先生におかれましては、準備の都合上、お手数をおかけいたしますが、下記の申込方法で事前にメールにて7月20日(木)までに、お申し込みください。

申込方法

  1. 連絡先:飯島康道(愛知学院大学経営学部)
  2. メールアドレス:iijima-y[at]dpc.agu.ac.jp  ([at]→半角の@に変更してください)
  3. メールの件名を「第2回フォーラム参加希望」として、①お名前、②ご所属、③懇親会の参加の有無、④ご連絡先のメールアドレスをメール本文にご記入くださいますようお願い申し上げます。

謹白

開催日:2023年7月29日(土) 14:00~16:30
会場:愛知学院大学名城公園キャンパス アガルスタワー10階 アガルスホール
〒462-8739愛知県名古屋市北区名城3-1-1(地下鉄名城線 名城公園駅出口2 徒歩2分)
交通アクセス | 愛知学院大学 (https//agu.ac.jp/access/)
名城公園キャンパス  (https//agu.ac.jp/pdf/guide/campus/)
名城公園キャンパス アガルスタワー(https//agu.ac.jp/pdf/guide/campus/m_ agalstower.pdf)

14:00~14:05  学会長挨拶
基調講演 14:05~14:55  
  司会:中央大学 渡辺岳夫先生
  基調講演「多様性を活かした企業変革:日産と横浜マリノスの再生」
  講演者:嘉悦 朗(かえつ あきら)氏(日産自動車㈱元執行役員・
  横浜マリノス㈱元代表取締役・元Jリーグ理事)

第1報告 15:05~15:45 (報告:30分 質疑:10分)
  司会:南山大学 窪田祐一先生
  報告テーマ:「組織間での結果・行動・社会コントロール:加工組立型
        企業の実態調査」
  報告者:名古屋大学 坂口順也先生

第2報告 15:50~16:30 (報告:30分 質疑:10分)
  司会:南山大学 窪田祐一先生
  報告テーマ:「コロナ禍における航空業界の現状と課題-レベニュー
        マネジメントの視点から」
  報告者:名古屋外国語大学 原 慎之介先生

懇親会 16:50~18:20       くすのきテラス2階  猿カフェ

参加費:2千円 懇親会費:3千円(釣銭がでないようにお願いします

2023年度第2回フォーラム開催校委員長 飯島康道

日本管理会計学会2023年度第1回関西・中部部会開催記

2023年6月2日 景山愛子(広島国際大学)

 日本管理会計学会2023年度第1回関西・中部部会が、2023年5月27日(土)に広島国際大学(呉キャンパス)を主催校として開催された。今回の部会は、対面とWeb(Zoom)を活用したハイブリッド開催となった。
 部会の開催にあたり、まず、部会準備委員長から部会当日のプログラムや進行方法に関する説明があり、続いて、徳崎進関西・中部部会長から開会のご挨拶をいただいた。
 その後、プログラムにしたがって、特別講演1件および自由論題報告2件の発表がなされ、活発な質疑応答が行われた。
 参加者は42名(対面16名、オンライン27名)であった。以下、講演、各報告の概要を簡単に紹介する。

第一部〔特別講演〕(対面)
   講演者:古川善也氏(広島赤十字・原爆病院院長)
   講演テーマ:「病院改革と経営改善」

 特別講演では、主催校が医療系学部学科を有する大学であるつながりから広島赤十字・原爆病院院長の古川善也氏により、当院の「病院改革と経営改善」について、院長就任から7年間にわたる様々な取り組みについてお話があった。古川氏は部長時代より病院経営に関して、様々な問題意識を持っており、院長就任後は、それぞれの課題について、次々と院内改革に着手した経緯を説明された。

 院長就任後に着手した項目は、例えば、入職前面談、新入職時の当院・病院経営の講演、院長通信の配信(経営者の考えを組織内に浸透させるため)、他病院の見学学習(成功事例を知り、当院でも実践するため)、会議の見直し(改善、継続、新規設定)、情報開示を目的とした電子カルテの利用、役職者に対する経営を考えるための課題設定、原価計算を廃止して、疾患別粗利計算の導入、KPIの導入、看護部改革などがあげられる。
 また具体的な経営改善プロセスについては、「危機を認識、分析する」、「今後の方向性を決める」、「全職員に現状を伝えるとともに、今後の方針を周知する」、「組織の改変と方針の徹底を図る」、「短期的な成果を実現し、職員に自信をつける」、「ボトムアップを促し、新し文化を創る」の6つの項目を掲げ、それぞれを達成するための取り組みが紹介された。
 それらの成果として、広島赤十字・原爆病院は2022年、2023年にNewsweekからWorld’s Best Hospitalsに選ばれ、日本では60位、広島では2位の評価(2023年)を得ており、病院改革と経営改善は令和5年度も電子カルテの更新や各種医療機器の導入など、医療のサービスの向上につながる取り組みを積極的に行う目標が具体的に説明された。講演の最後に古川氏は病院の経営改革の基本は、「職員が働いている病院に誇りを持てるようにすること」、「経営状態を理解出来るようにすること」、「職員が経営改革の必要性を認識し、行動すること」を重視する点として説明された。
 講演後は、原価計算をとりやめたことに対して、新たに用いた疾患別の粗利の使い方やその共有の範囲についての質問や、組織構成員に経営上の問題を共有するための仕組みをどのように構築したのか、またバランススコアカードをやめてKPIを使うことにした理由などに関する質問があり、時間を余すことなく、活発な質疑応答が行われた。

第二部〔研究報告〕
 第1報告(オンライン)
   報告者:日浅優氏(名古屋学院大学・専任講師)
   論題:「現場従業員の信頼が,MCSの協働促進プロセスに及ぼす調
       整効果」

 90年代以降、組織間の提携が増加したことを背景として、組織間マネジメント・コントロール・システム(MCS)の研究が進み、組織間の信頼は、MCSの目的である組織間目標達成にむけての協働を促進させることが明らかにされてきた。報告者は、同一組織内における、MCSと信頼との関係が協働に対してもつ影響については、これまであまり研究されてきていないことに着目し、組織内の、部下から上司に対する信頼(垂直的信頼)と部下間の信頼(水平的信頼)が持つ、予算管理と方針管理から成るMCSが現場従業員の協働を促すプロセスに対する調整効果について定量的に検証を行った結果を報告した。
 検証は、あるホテルチェーン企業の従業員を対象としたアンケートデータを用いて(データ数:2,737名)、検証的因子分析、階層的重回帰分析により行われ、統計分析の結果、①垂直的信頼があるほど、予算管理における上司が現場従業員へ予算やそれを達成するための方法の伝達及び予実差異のフィードバックが方針管理における現場従業員間の議論を促すこと、及び②水平的信頼があるほど、方針管理における部署での議論が目標達成に向けた協働を促すという正の関係が、より強まることを明らかにした。今後は垂直的信頼と水平的信頼の相互間の影響の検討や、上司から部下への信頼についての検討、信頼の長期的な影響の分析などが課題として挙げられた。

 第2報告(対面)
  15:55~16:35(報告30分、質疑10分)
   報告者:足立洋氏(県立広島大学・准教授)
   論題:「不確実性と管理会計」

 先行研究によれば、環境不確実性が高いと、それに対処するために頻繁かつ幅広く管理会計情報が収集される。一方で、組織の規模が小さいほど、管理会計情報の利用頻度は減少する。そこで、報告者は、小規模企業の管理会計の洗練の規定要因について、小規模企業の環境不確実性に着目しながら、試論的な整理を行った。その結果、近年は中小企業への注目も増え、一方で小規模企業の管理会計研究は少ないことを指摘し、管理会計研究上の小規模企業の定義の難しさを確認した上で、不確実性と管理会計の洗練について、先行研究を整理し、大企業の場合と、不確実性と管理会計の洗練は小規模企業でも大企業と同じなのかという点についても十分に捕捉できていない可能性を示唆した。
 このような問題意識の下、報告者は、小規模企業における管理会計情報へのニーズ、及び管理会計情報の利用の洗練度に影響を与える要因(資金・人材面の制約、同族企業か否か・経営者が創業者か否かといった組織的要因、系列企業からの要請といった慣行的要因)について理論モデルを構築し、「洗練」という用語について継続的な検討が必要としながら、今後は、ケース・スタディによるモデルの検証や、会計情報の経営者によるスキャニングの程度に特定する要因が及ぼす影響を明らかにすること、そして会計情報がどのようにシステム化されるのかを課題として挙げた。
 両報告とも、発表の後には対面参加者・オンライン参加者から活発な質疑応答が行われた。

 

2023年度第1回関西・中部部会開催のお知らせ

2023年4月25日 

日本管理会計学会会員各位

日本管理会計学会
2023年度第1回関西・中部部会開催のお知らせ

謹啓 
 会員の皆様にはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
 さて、2023年度第1回関西・中部部会(テーマ:管理会計の多様性と可能性)は、対面とオンラインのハイブリッド方式により、以下のプログラムが確定いたしましたので、お知らせ申し上げます。
 今回は、ゲストスピーカーとして古川善也氏(広島赤十字・原爆病院院長)をお迎えし、対面でのご講演をいただきます。ご講演のテーマは「病院改革と経営改善」で、広島県の基幹病院の一つとして存在する広島赤十字・原爆病院における病院改革と経営改善プロセスについて、赤字を縮小し、病院のビジョンを院内に根付かせ、目標を共有する取り組みなどを、部長時代から遡り、アフターコロナの現在に至るまでのお話を頂きます。
 また、研究報告もお二人の若手の先生方にご報告をいただきます。
 万障お繰り合わせの上、ご参加いただきますようご案内申し上げます。

謹白

 

1.開催日時:2023年5月27日(土)13時30分~16時40分
2.開催方法:対面・オンライン(Zoom)を利用したハイブリッド
       方式
3.開催場所:広島国際大学呉キャンパス1号館3階会議室(広島県呉
       市広古新開5丁目1-1)

       https://www.hirokoku-u.ac.jp/access/kure.html

4.参加費:無料
5.プログラム
  13:30~13:35 部会進行の説明:準備委員長 
  13:35~13:40 開催の辞:関西・中部部会長 

 

第一部〔特別講演〕(対面)
  13:45~15:00 (講演60分,質疑応答15分)
   講演者:古川善也氏(広島赤十字・原爆病院院長)
   講演テーマ:「病院改革と経営改善」

   <古川善也氏プロフィール>
   1980年 広島大学医学部卒業 
   1982年 済生会呉総合病院内科
   1984年 広島大学医学部附属病院第一内科 
   1988年 広島赤十字・原爆病院
   2012年 同 副院長兼消化器内科部長 
   2016年 現職(現在に至る)

  15:00~15:10 休憩

第二部〔研究報告〕
 第1報告(オンライン)
  15:10~15:50(報告30分、質疑10分)
   報告者:日浅優氏(名古屋学院大学・専任講師)
   論題:「現場従業員の信頼が,MCSの協働促進プロセスに及ぼ
      す調整効果」 

 第2報告(対面)
  15:55~16:35(報告30分、質疑10分)
   報告者:足立洋氏(県立広島大学・准教授)
   論題:「不確実性と管理会計」  

  16:35~16:40:閉会の挨拶

6.参加申込方法
(1) 申込締切日:2023年5月22日(月)
(2) 申込方法:参加ご希望の方は、以下のURLから「申込フォーム」により上記の締切日までにお申し込みください。関西・中部部会以外の方もご参加いただけます。

参加申込用URL: https://forms.gle/EnuyD36aEf362ETe8

(3) Zoom情報の送付:参加申込のご連絡をいただいた方でオンライン参加をご希望の方に、5月24日(水)頃に当日のZoom情報(ミーティングのURL、ID、パスコード等)をお申込み時のメールアドレスにお送りいたします。

7.その他:懇親会は開催いたしません。プログラム変更などの連絡事項が生じた場合は、後日、Webサイトhttps://sitejama.jp/ に掲載いたします。

以上

2023年度第1回日本管理会計学会関西・中部部会
準備委員長 広島国際大学健康科学部医療経営学科 景山愛子
Mail: a-kage[at]hirokoku-u.ac.jp([at]⇒@)

 

2023 年度第 1 回日本管理会計学会関西 ・中部部会 報告者募集 のお知らせ

2023年度第1回日本管理会計学会関西・中部部会
報告者募集のお知らせ

2023年3月吉日

日本管理会計学会会員 各位

 

謹啓 
 早春の候、時下ますますご清祥の段、お慶び申し上げます。
 さて、関西・中部部会では2023年5月27日(土)に、広島国際大学呉キャンパスにて2023年度第1回部会を開催いたします。2023年度第1回部会は、コロナ感染状況や開催校の方針等を考慮しまして、ハイブリッド(対面・オンライン)開催を予定しております。
 つきましては、自由論題報告における報告者を募集いたしますので、ご報告をご希望の方は、2023年4月10日(月)までに、下記の申込先に(1)~(3)を添えてお申し込みください。どうぞよろしくお願い申し上げます。

謹白

 

(1) 氏名・所属機関・職名
(2) 連絡先メールアドレス
(3) 報告タイトル・報告要旨(200字程度)

 

<お申し込み先>
2023年度第1回日本管理会計学会関西・中部部会
準備委員長 景山愛子(広島国際大学健康科学部医療経営学科)
e-mail: a-kage[at]hirokoku-u.ac.jp ([at]→半角@)

以上

 

日本管理会計学会2022年度第2回関西・中部部会開催記

2022年11月21日 篠田朝也(岐阜大学)

 日本管理会計学会2022年度第2回関西・中部部会が、2022年11月19日(土)に岐阜大学を主催校として開催された。今回の部会は、Web(Zoom)を活用したオンライン開催となった。
 部会の開催にあたり、まず、部会準備委員長から部会当日のプログラムや進行方法に関する説明があり、続いて、皆川芳輝関西・中部部会長から開会のご挨拶をいただいた。
 その後、プログラムにしたがって、特別講演1件および自由論題報告3件の発表がなされ、いずれにおいても活発な質疑応答が行われた。参加者は42名であった。以下、講演、各報告の概要を簡単に紹介する。

第一部〔特別講演〕 司会:篠田朝也(岐阜大学)
講演者:平工忠史氏(川崎重工業株式会社)
講演テーマ:「川崎重工業におけるエンジニアから見たROIC経営の現状について」

 平工氏の講演の概要は、以下のとおりである。
 まず、講演の前半では、川崎重工業における事業の歴史的経緯について紹介いただいた。同社が多角化経営を推進しながらも、2000年前後に連続赤字に直面した際に、経営の立て直しを図るためROICを導入しこと、また、その後さらにD/Eレシオの目標を打ち出したことなどが功を奏し、財務体質の改善が実現できたことなどについて説明いただいた。
 講演の後半では、前半の話を踏まえたうえで、航空機製造のような長期スパンの製造業態では、長期を見据えた戦略的ビジネスモデルが要求されるという点を強調され、技術の優位性だけでなく、ビジネスとしての優位性の構築を目指すべきであり、そのためにはエンジニアも巻き込んだ、ビジネス・会計教育の重要であると主張された。実際に、航空機製造に関わる海外メーカーは、グローバルな規模でサプライチェーン全体に目を向け、キャッシュフローの最適化を図りながら、効率的に稼ぐ戦略的なビジネスモデルを構築していることを、いくつかの事例を交えながら紹介された。さらに、平工氏自身が岐阜大学航空宇宙生産技術開発センターで携わられているビジネスの視点を盛り込んだエンジニア向けの教育実践ついて言及されながら、わが国の製造業においても、ビジネス感覚を併せ持つエンジニアを育成することが急務となっている点について指摘された。

第二部〔自由論題報告〕 司会:篠田朝也(岐阜大学)
第1報告
報告者:野瀬康晃氏(名古屋大学大学院経済学研究科・大学院生)
論題:「工場の改善活動とその評価について」

 野瀬氏の報告は、工場における業績管理指標が効率性に偏重していることにより、余力創出の効果が適切に評価されていないことに注目したものであった。そもそも、生産現場では、不確実性に対応しながら生産量の変動に対応することが求められているため、余力創出活動に注目する意義がある。そこで野瀬氏は、不確実性の拡大に素早く対応するための応答能力に焦点をあてる必要性について言及するとともに、量的な余力の把握だけではなく、従業員の技能向上や工程の平易化のような質的な余力創出の把握の重要性について検討を深めた。
 検討の結果、野瀬氏は、創出された余力が活用されなければ効率性の向上には寄与しないが、固定資源の増加の抑制には寄与することから、余力の創出にはコストビヘイビアの下方硬直性を克服する可能性があると指摘した。あわせて、応答能力の測定や経済性効果の実証を試みることが将来の研究課題であることにも言及した。

第2報告
報告者:横田遼太朗氏(名古屋大学大学院経済学研究科・大学院生)
論題:「フロントローディングが原価企画に及ぼす影響~自動車部品サプライヤーのA社を例に挙げて~」

 横田氏は、ある自動車部品サプライヤー(以下A社)を調査対象とし、A社で実施された原価企画制度(A社では、商品企画制度と呼ばれている)の見直しが、原価企画の逆機能に対して与えた影響について、A社の各部署の関係者7名に対するアンケート調査の内容を分析することで明らかにしようと試みた。
 A社の制度の見直しは、目標設定や部門間協業の強化や早期化、情報共有のための社内の透明性の向上などを伴うものであった。横田氏は、このようなA社の制度の変化を原価企画のフロントローリングと位置づけた。アンケート調査の分析結果から、このようなフロントローリングを伴う変化を受けて、生産技術部門や調達部門など、原価企画の後工程を中心に会社全体としては逆機能が減少した一方で、技術部門や原価部門のような原価企画の前工程では制度変化以前より疲弊が強まったことなどを明らかにした。

第3報告
報告者:大浦啓輔氏(立命館大学)
論題:「バイヤー・サプライヤー間における整合的なMCSの設計」

 大浦氏は、近年注目を集める、組織間管理会計に関連するトピックとして、バイヤー・サプライヤー間における整合的なMCS(マネジメント・コントロール・システム)の設計について報告をされた。この報告の主な課題は、企業間取引において、サプライヤーはいかに自社のMCSを適応的に設計しているのかというものであった。
 大浦氏は、先行研究のレビューを踏まえ、取引コスト理論と社会的交換理論に基づいて、特定のバイヤーに対する依存度、SCM(サプライチェーン・マネジメント)の実践、および、MCSの適応的な設計のあいだの関係性をとらえた分析フレームワークを提示した。そのうえで、日本の上場製造業の事業部長向けに実施した郵送質問票調査の結果に基づく定量的な分析結果から、特定のバイヤーに強く依存しているサプライヤーほどMCSを適応的に設計して依存度を強める傾向にあること、さらに、バイヤーによるSCM実践がその影響を媒介していることなどを明らかにした。
 なお、大浦氏には、在外研究先のベルギーから報告いただいた。このような報告が可能となったこともオンライン開催の利点であった。

 

 以上のように、自由論題では、製造業が強い東海地区らしい「製造業の管理会計」に関連する研究報告が3件発表され、各報告において質疑応答なども活発に行われた。