■■ 日本管理会計学会2009年度第3回フォーラムが,2009年11月28日(土)に愛知東邦大学(名 古屋市名東区平和が丘)にて開催された(実行委員長:愛知東邦大学教授・山本正彦氏)。今回のフォーラムは,崎 章浩副会長(明治大学)の司会のもと「商品企画と管理会計‐商品開発力強化への管理会計の貢献‐」という統一テーマに沿って,田中雅康常務理事・前会長(目白大学),谷彰三氏(シャープ株式会社経理本部経理部副参事),渡辺美稔氏(いすゞ自動車株式会社原価企画部VE・TDグループリーダー)の3氏の報告が行われた。
■■ まず,田中雅康氏(目白大学)より「製品コンセプトづくりと管理会計」というテーマで報告がなされた。同報告では,製品コンセプトづくり,製品コンセプトの決定活動,標準的売価の設定法,原価見積の方法,製品コンセプトづくりにおける経済性評価について説明がなされた。田中氏によれば,新製品開発の動向として製品企画段階により多くのエネルギーが費やされ,開発設計段階のリードタイムを短縮していく傾向があるので,製品コンセプト段階から管理会計も積極的に関わることが重要であると述べられていた。
■■ 次に,谷 彰三氏(シャープ株式会社経理本部経理部副参事)より「製品コンセプト・メーキングの方法-CMVE(Concept Making VE)を活用して-」というテーマで報告がなされた。同報告では,コンセプト・メーキングVE開発の背景,商品企画VEの必要性,コンセプト・メーキングVE概論,コンセプト・メーキングVEの進め方,適用事例について説明がなされた。CMVE(Concept Making VE)とはVEアプローチにより潜在的なニーズを顕在化させる技法であり,本報告ではコンセプト・メーキングVEの進め方を中心に同社の適用事例についても紹介がなされた。
■■ 最後に,渡辺美稔氏(いすゞ自動車株式会社原価企画部VE・TDグループリーダー)より「生産性設計支援システム(Design For Assembly)による商品競争力比較と原価低減活動」というテーマで報告がなされた。生産性設計支援システム(DFA)は,製品を設計段階で生産しやすいように支援するソフトウエアで,たとえば組み付け性の定量的な評価,組み付け工数,コストの推定,改善ポイントの提示等設計段階で生産性を評価できることが特徴である。同報告では,生産性設計支援システム(DFA)の概要とその活用事例について紹介がなされた。
■■ 3氏の報告の後,円卓討論をはじめるにあたって報告者のとりまとめとして田中雅康氏より3報告についてのコメントが述べられた後,フロアから活発な質疑応答がなされた。40名を超える参加者にとっても大変有意義な時間となったフォーラムであった。
飯島康道 ( 愛知学院大学 )