2022年5月28日(土)13:55~17:00
■■ 日本管理会計学会2022年度第1回(第62回)九州部会が、2022年5月28日(土)13:55~17:00に、開催校の中村学園大学(福岡市)によってハイブリッド方式(対面参加+オンライン参加)で開催された(準備委員長:水島多美也氏)。今回の九州部会では、ハイブリッド方式ということもあり、全国から50名(うち対面出席25名)を超える研究者・学生の参加を得て、いずれの報告においても活発な質疑応答が展開された。
水島氏
■■ 第1部の特別講演では、小湊真美氏(⻄日本シティ銀⾏執⾏役員広報⽂化部⻑)により、「⻄日本シティ銀⾏が取り組む地方創⽣ SDGs」と題する講演が行われた。本講演では、西日本シティ銀行が地域活性化に取り組む理由と、地域創生が叫ばれる現代において、地域金融機関の果たすべき役割とは何か、について紹介された。
小湊氏は、地方創生SDGsとは、地域の課題をSDGsという「共通のものさし」で解決することであると述べ、西日本シティ銀行の2020~2023年の中期経営計画では「地域の元気を創造する」をキャッチフレーズとして、経営戦略が掲げられている。その中でも「地域経済の活性化」について特に重要視されており、①創業支援、②地域開発、③課題解決支援、④社会貢献の視点で、地域の発展をサポートしている。小湊氏はこれまでの経験の中で、「銀行の役割とは何か」という視点から、銀行業務だけではなく、幅広く地域の課題を解決することによって、地域発展につながった事例などを紹介され、地方創生SDGsの必要性を提示された。講演後の質疑応答では、フロアやオンライン上から活発なディスカッションが行われ、盛況のうちに終了した。
小湊氏
■■ 第2部の研究報告では、田坂公氏(福岡大学)の司会のもと、宮地晃輔氏(長崎県立大学)より、「税理士事務所の中小企業への事業再構築支援に関する事例研究 ―茨城県 K 社の事例を用いて―」と題する報告が行われた。本報告は、新型コロナウイルス感染症の拡大下において、中小企業等事業再構築促進事業を活用する中小企業への税理士事務所の支援の在り方について考察することを目的としている。
報告者は、茨城県内にある税理士事務所と、その関与先である食品加工業を営む株式会社を対象に、事業再構築補助金活用における税理士事務所の関与について、事例研究を報告された。その中で、税理士事務所の強みとして、会計業務や税務申告業務は関与先との継続性ある接触機会であり、月次訪問の際に経営者とともに計画を点検し、PDCAを回していくような経営支援の在り方が有力であると提言された。課題として、顧客企業の事業再構築計画のサポートには、税理士事務所および職員の管理会計能力が必要とされると示された。しかし、税理士業界の環境が厳しさを増している現状、顧客企業に必要とされる税理士事務所であり続けるためには、これらの課題を克服し、経営支援サービスを提供できることが重要であると提言された。
宮地氏
■■ 特別講演と研究報告終了後、九州部会総会が開催された。次回の九州部会は、2022年11月(開催校未定)に開催予定である。
水野真実(熊本学園大学)