文責:北海道情報大学 吉見 明希
2025(令和7)年3月7日(金)13:30~16:00、北海道札幌市中央区大通西2丁目5番地(ほくほく札幌ビル)に本部を有する株式会社北海道銀行(以下、北海道銀行)において、2024年度第2回企業研究会を開催しました。当日は、全国各地から22名の会員の皆様にご参加いただきました。
今回の企業研究会では、北海道銀行取締役会長の笹原晶博様より、北海道銀行および株式会社ほくほくフィナンシャルグループの取り組み、ならびに北海道経済の現状分析と展望について、詳細にご説明いただきました。
北海道銀行は、バブル崩壊後の金融業界の厳しい時期を乗り越え、2003年に株式会社北陸銀行と提携し、ほくほくフィナンシャルグループを設立しました。以来、20年間にわたり着実な成長を続け、2024年度には、1999年に発行した優先株の全額償還を完了し、財務基盤を強化しています。
北海道銀行の経営戦略については、2024年3月で終了する中期経営計画の中で、「6つの重点戦略」を掲げ、DX推進、環境分野対応、ウェルビーイングの実現などに注力されています。北海道経済における観光業の成長、再生可能エネルギー分野への注目、および北海道千歳市に建設されるラピダスの半導体工場の影響を踏まえ、地域に密着する地方銀行としての取り組みと今後の展望についても、ご説明をいただきました。
具体的な事例として、セイコーマート(株式会社セコマ)との店内ATM設置事業や、次世代型店舗におけるシステム化・ペーパーレス化の推進が紹介されました。加えて、ほくほくコンサルティング株式会社や北海道リース株式会社をはじめとするグループ内企業との連携強化、地域企業への経営改善支援やM&A(企業の合併・買収)支援、さらには自治体との連携事例など、多岐にわたる取り組みが示されました。
さらに、道銀経営塾による地域企業の経営者育成、アルムナイ制度と研修体系による職員の採用・育成強化、カーリングチームの運営をはじめとする文化・教育支援など、幅広いご活動についてもご紹介いただきました。 後半では、秘書室長の達田暢様より、北海道銀行の収益管理システムと原価計算システムについてご説明をいただきました。
北海道銀行では、取引先企業の経営者との対話を通じて企業の課題を可視化し、適切なコンサルティングを提供するために、事業性評価シートを活用し、地域企業の財務状況やビジネスモデルを総合的に評価する取り組みをしています。
また、ほくほくフィナンシャルグループ全体において、2022年に収益管理・原価計算システムを刷新し、支店別採算管理と関係性に基づく原価計算(RBC:Relationship-Based Costing)を導入しています。支店別採算管理では、札幌市内外の特性を考慮した柔軟な運用を行うことで、銀行業務の効率指標であるOHR(Over Head Ratio)の改善に努めておられます。
さらに、行員のモチベーション向上とリスク管理のため、上司との1対1の定期ミーティングの実施、キャリアデザインシートを活用したDE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の推進、優良店舗表彰制度の導入、不正防止チェックシートの活用など、多方面にわたる取り組みについてご紹介いただきました。
本講演では、北海道銀行の経営戦略、地域経済の現状分析、企業支援に関するさまざまなお取り組みが詳しく共有され、参加会員からも活発な質疑応答が行われました。最後に、崎章浩会長より、講演者の皆様への御礼のご挨拶が述べられました。充実したご説明と会員との交流により、2時間半の研究会は盛会のうちに終了いたしました。
北海道銀行の笹原晶博様、達田暢様、総合企画部主任の窪田優弘様、ならびに同行の皆様には、本研究会開催の機会を賜りましたことに、心より御礼申し上げます。また、本研究会の開催にあたり、多大なご尽力を賜りました学校法人稚内大谷学園 稚内大谷高等学校校長の平岡祥孝先生に、深く感謝申し上げます。
以上