メルコ管理会計セミナー(長崎大学)のご案内

貴下、ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
このたび、公益財団法人メルコ学術振興財団と長崎大学経済学部の共催により、
長崎大学(片淵キャンパス)にて管理会計セミナーを開催させていただくこととなり、ご案内申し上げます。
※なお詳細については添付のチラシ(PDF)をご覧ください。

日時  2018年2月10日(土) 13:30-17:30
会場  長崎大学経済学部片淵キャンパス 新館101教室
キャンパス案内URL http://www.nagasaki-u.ac.jp/ja/access/katafuchi/index.html
【注意】長崎大学は長崎市内に3つのキャンパスがございますが、会場はそのうちの経済学部がある「片淵キャンパス」です。

講演会参加費:無料
※交流会参加費(参加の場合のみ):5,000円(当日受付にてお支払い)

【プログラム】
13:00-    開場
13:30-13:40 開会挨拶
公益財団法人メルコ学術振興財団 業務執行理事 福田英雄氏
13:40-14:30 講演1「リンガーハットにおけるアメーバ経営の実践について」(予定)
株式会社リンガーハット代表取締役社長 秋本 英樹氏
14:30-14:40 《休 憩》
14:40-15:30 講演2「富士ゼロックスにおける原価企画の実践について」
富士ゼロックス株式会社調達本部 伊藤 治文氏
15:30-15:40 《休 憩》
15:40-16:30 講演3「日本的管理会計について」
慶應義塾大学商学部教授 吉田 栄介氏
16:30-16:45 《休 憩》
16:45-17:30 パネルディスカッション:秋本氏、伊藤氏、吉田氏
18:00-19:30 交流会:長崎大学経済学部片淵キャンパス新館交流プラザ(新館101前)

☆申込方法 Emailにより事前の申込みをお願いいたします。
申込みの際は、ご氏名・ご所属・ご連絡先・交流会へのご参加の有無を明記ください。
申込締切 2018年2月3日(土)
【申し込み・問い合わせ先】
otanih[AT]nagasaki-u.ac.jp([AT]を半角@に変更してください)(担当:長崎大学・庵谷(オオタニ))

※駐車場が十分にございませんので、公共交通機関のご利用をお願い申し上げます。

【セミナー準備責任者】
長崎大学経済学部 庵谷治男

以上

第2回 リサーチセミナー開催記

2017年度第2回リサーチセミナーは,2017年10月21日(土) 13:30-17:00に明治大学(駿河台キャンパスアカデミーコモン9F )309B教室において,日本原価計算研究学会との共催で開催されました。当日はあいにくの天気でしたが,40名程度の参加者でした。日本管理会計学会会長の水野一郎氏(関西大学)より開会の挨拶が,日本原価計算研究学会会長の尾畑裕氏(一橋大学)より閉会の挨拶がありました。河合久氏(中央大学)の司会によりリサーチセミナーが進められ,浅石梨沙氏(一橋大学大学院商学研究科博士後期課程),梅田宙氏(専修大学)の研究報告に対して,フロアから有益なコメント,質問が多くあり,活発な議論が行われました。

第1報告 浅石 梨沙氏(一橋大学大学院商学研究科博士後期課程)
報告論題 「顧客志向における価格決定についての考察」
司 会:挽 文子氏(一橋大学)
ディスカッサント:岡田 幸彦氏(筑波大学)

第1報告の浅石氏は,価格決定と顧客志向についてのこれまでの議論を整理し,従来の価格決定に関する議論は,先例が豊富な商品開発(マーケットベース)と,先例が少ない商品開発(コストベース)の対比で行われていることを指摘しました。その上で,「先例が少ない商品開発」における「価格の作りこみ」(マーケットベースの顧客志向)という論点を提示し,ヘルシア緑茶(花王株式会社)の価格決定に関する事例を紹介しています。
ディスカッサントの岡田氏は,浅石氏の報告に対し,[1]「何が本当の未解決問題なのか」,[2]「価格の作りこみという現象とは」という2つの論点を提示しました。岡田氏は,浅石氏の研究はHinterhuber, A.(2004)による価値基準の価格決定戦略の遂行へと導くフレームワークに当てはまるのではないかと指摘した上で,「価格の作りこみ」という現象は,Hinterhuber, A.(2004)のフレームワークや岡田(2010)他の収益モデル設計で説明できるのか,あるいはそもそも価格は作りこみが出来るのか議論が必要とコメントしました。

第2報告 梅田 宙氏(専修大学)
報告論題 「エマージェント組織のインタンジブルズ・マネジメント―A社のケーススタディ―」
司 会:澤邉 紀生氏(京都大学)
ディスカッサント:諸藤 裕美氏(立教大学)

第2報告の梅田氏は,マネジメント・システムの研究は蓄積されているが,インタンジブルズと組織の関係に関する研究は十分ではないと指摘した上で,インタビュー調査によって組織の意義とインタンジブルズ・マネジメントの関係を明らかにしようとしています。インタビュー先の組織を,迅速かつ創発的なチームの構築が可能なエマージェント組織と捉え,自律的組織(ミニプロフィットセンター:MPC)との対比を行いながら,エマージェント組織のインタンジブルズ・マネジメントにおいては,[1]レディネス評価による人的資源マネジメント,[2]BSCの観点を加味したパテント・マネジメント,[3]インタンジブルズへの投資に糊代を残すことが重要であると指摘しています。
諸藤氏は,梅田氏の報告に対し,ケースの選択と問題意識とのつながりを検討すること,具体的には,(1)なぜその事例を選択したのか,(2)インタンジブルズ(・マネジメント)と組織の関係で何を明らかにしようとしているのか,(3)なぜ自律的組織と比較するのかについて明確に示すことが必要であると指摘しました。
さらに,諸藤氏は,[1]なぜ自律的組織と比較するのか,チーム型組織との比較は必要ないか,[2]MPCの利益獲得の手段は,原価低減による利益向上と言い切っていいのか,[3]アートのためのアート問題があるため,研究開発部門に対して財務業績を意識させてもよいのではないか,[4]エマージェント組織が職能横断式とはいえ,研究開発部門のアメーバの特徴には言及しなくてよいのかという4点について議論が必要とコメントしました。

井上 秀一(追手門学院大学)

2017年度第3回(第53回)九州部会開催記

■■ 日本管理会計学会2017年度第3回(第53回)九州部会が、2017年11 月11 日(土)に中村学園大学(福岡市城南区)にて開催された(準備委員長:水島多美也氏(中村学園大学))。今回の九州部会では、関西・九州か201711131.JPGらご参加をいただき、10名近くの研究者及び商業高校教諭の参加を得て、活発な質疑応答が展開された。また、管理会計のほかに国際経営学の分野の研究者の参加によって、分野横断的な議論が研究会や懇親会で交わされた。
なお本部会は、九州部会の先生方が中心となって進められている日本管理会計学会スタディグループの報告(研究課題「地域中小製造企業の管理会計・原価計算活用実態解明と経営改善への接続に関する研究」、研究代表者:宮地晃輔氏)の中間報告という位置づけである。当該スタディグループでは、長崎・熊本・沖縄といった九州の中小企業の管理会計実践をインタビュー調査や参与観察、アクションリサーチなどを行っている。

■■ 第1 報告は、宮地晃輔氏(長崎県立大学)より、「中小企業における管理会計の実践レベルに関する研究-長崎県での調査を基礎として-」と題する報告が行われた。本報告は、長崎県の産業用機械装置メーカーF社の経営者が、どのような考えやプロセスに基づいて自社に適合する管理会計システムの構築を図ったかを明らかにした上で、そこから導出される意義について論究したものである。201711132.JPG
F社では、2013年にSQLサーバー・マネジメントシステムを導入して、自社開発によって、管理会計システムの構築と業績評価指標等の「見える化」を実現させている。報告では、受注から製造までのプロセスをオープンして工事番号ごとに損益分析が可能となっていることや、伝票入力ルールが徹底されることで収支・損益情報の信頼性が向上したことなどが紹介されている。

■■ 第2報告は、吉川晃史氏(熊本学園大学)より、「中小企業における管理会計の実践レベルに関する研究-熊本県での調査を基礎として-」と題する報告が行われた。本報告は、中小企業が経営改善目的で管理会計情報を含めた経営情報をいかに利活用できるようにするのかについて、ビジネス・エコシステム(複数の企業や団体が、それぞれの技術や強みを生かしながら業界の垣根を越えて連携し共存共栄する仕組み)の観点から明らかにすることを目的としたものである。201711133.JPG
報告では、熊本県中小企業家同友会に対する参与観察や入手資料に基づき、当該同友会で開催された「経営指針を創る会」(全6回)を中心に、セミナー参加企業の現状や課題が紹介された。報告者は、参加した中小企業では経営理念や経営方針、経営計画などを実際に提示することに至ることの難しさゆえに、「経営指針作成運動を推進するリーダー」を育てることを重視していることや、同友会には「受講者アンケートの実施」などフィードバックが求められていることなどを説明している。

■■ 第3報告は、木村眞実氏(熊本学園大学)より、「中小企業における管理会計の実践レベルに関する研究-沖縄県での現場改善-」と題する報告が行われた。本報告は、沖縄県で自動車解体業を営む中小企業を対象に、破砕・選別・洗浄工程においてMFCAバランス集計表を作成して工程改善を行うまでの一連のプロセスが、報告者の現地調査と入手資料から提示された。201711134.JPG
調査対象企業では、使用済自動車由来の樹脂部品を回収・破砕・選別・洗浄し、樹脂リサイクルメーカーに原料として提供するための技術開発を行っており、採算がとれるような樹脂リサイクルの実現を目指している。報告者は、当該工程を対象にMFCAバランス集計表を作成して工程改善が行われたことを紹介している。報告者は、当該企業が高磁力ダストや水槽ダストで発生するロスを減らす取り組みなど工程改善に着手するようになった要因の一つには、担当者に負の製品割合を「kg当たりの金額」で提示したことが影響していることを指摘している。

■■ 研究報告会の後、開催校のご厚意により大学近隣の居酒屋で懇親会が開催され、実りある交流の場となった。

足立俊輔 (下関市立大学)