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日本管理会計学会九州部会2021年度第1回(第60回)大会報告者募集のお知らせ

2021年3月吉日

日本管理会計学会九州部会
2021年度第1回(第60回)大会
報告者募集のお知らせ

謹啓
 時下、会員の皆様には益々ご健勝のことと存じます。
 さて、2021年5月22日(土)に、熊本学園大学(熊本市)にて、日本管理会計学会九州部会2021年度第1回(第60回)大会を開催いたします。
 コロナ感染状況や開催校の都合に応じて、対面・オンライン・ハイブリッドのいずれかの方法で実施いたします。
 報告を希望される方は、2021年3月31日(水)までに、下記の要領で、九州部会事務局宛にe-mailにてお申し込みください。

(1)氏名、所属、職名
(2)連絡先電話番号、メールアドレス
(3)報告タイトルと報告要旨(300字程度)

謹白

日本管理会計学会九州部会事務局:
〒819-0395 福岡市西区元岡744 イーストゾーン
九州大学経済学研究院 丸田起大研究室内
TEL: 092-802-5454
e-mail: maruta[at]econ.kyushu-u.ac.jp
([at]を半角@に変換してください)

本案内のPDFファイルのダウンロードは、こちら

2020年度第3回フォーラム・第1回九州部会 開催記

 日本管理会計学会2020年度第3回フォーラム兼第1回九州部会は、2020年11月14日(土)13:50~16:20に、長崎県立大学佐世保校にて、対面方式によって開催された。参加者・報告者は全員マスク着用で、適切な距離を確保して着席し、教室も窓やドアを開け放ってしっかり換気できる状態を保ったうえで実施された。研究者、実務家、および長崎県立大学の学部生・大学院生など、50名を超える参加があった。開始に先立ち、大会準備委員長の宮地晃輔氏(長崎県立大学)および伊藤和憲会長(専修大学)からご挨拶があった。

 

 

 

 

特別講演 北口功幸氏(株式会社亀山電機 代表取締役会長)
論題「株式会社亀山電機のバランスト・スコアカード(BSC)」
 社名のゆかりとなった坂本龍馬への熱い思いが語られたのち、亀山電機の概要、沿革、事業内容のご説明、および会社紹介ビデオの上映がなされた。同社は、1996年の創立以来、シーメンスとの取引などにより順調に業績を伸ばしていたが、リーマンショックを契機に、経営計画書(亀山道)やBSCへの取り組みを検討し始め、現在までV字回復を果たしている。2016年に導入されたBSCでは、事業計画や予算と連動させて全社BSCおよび部門BSCを運用している。BSCの狙いは、KPIを持たせ、毎月や四半期のPDCAで数値化した結果や差異を確認することなどにあり、結果は信号色を配したりグラフ化して見やすくし、銀行に提示する経営資料として信用を高めることにも活用されている。BSCを実施しての気づきとして、点でなく線で考えることができること、PDCAのPの力が弱いこと、コロナ禍で人財育成の重要性を再認識したことなどが紹介された。

 

 

 

 

第1報告 李会爽氏(福岡大学兼任講師)
論題「日本における統合報告の現状―インタビュー調査に基づいて―」
 大下丈平氏(九州大学名誉教授)の司会の下、第1報告では、統合報告におけるオクトパスモデルと戦略マップの融合可能性が提言され、統合報告の目的として情報開示だけでなく情報利用も実務において達成されているかどうかに関するインタビュー調査が報告された。統合報告フレームワークが概説されたのち、統合報告に関する先行研究が整理され、統合報告の目的が情報開示と情報利用の2つに集約できることが示された。情報開示に関しては、統合報告書は財務報告書をベースにしながら持続可能性報告書を包括する形で登場したことが指摘された。情報利用に関しては、ステークホルダー・エンゲージメントより得られた情報を経営者が利用し、戦略策定とマネジメントに役立てることが重要であることが指摘された。統合報告書を公表しているA社、DKS社、およびMUFG社に対するインタビュー調査の結果、3社ともステークホルダーへの情報開示目的は果たされていた。一方、情報利用目的では、A社およびMUFG社では情報利用は考慮されていなかったが、DKS社ではステークホルダー・エンゲージメントを通じてマテリアリティの特定に積極的に取り組んでおり、情報利用目的が考慮されていることが指摘された。統合報告における価値創造プロセスの可視化では、オクトパスモデルと戦略マップを融合することによって、使用資本を明示しプロセスの循環性を表現することが可能となるとの提言がなされ、DKS社のデータを用いてオクトパスモデルに戦略マップを組み込んだモデルの適用イメージが紹介された。

 

 

 

 

第2報告 水野真実氏(九州大学専門研究員)
論題「病院TDABCモデルの開発」
 田坂公氏(福岡大学)の司会の下、第2報告では、実在病院のデータを用いて、病院原価計算にTDABC(Time Driven Activity- Based Costing)のアイデアを試行的に適用したモデルの開発とシミュレーション結果が報告された。先行研究のレビューにより、ABC(Activity- Based Costing)の問題点、近年におけるTDABCの展開、および病院原価計算への適用状況が整理されたのち、診療情報が電子的に格納されているDPCデータと多様な時間情報が格納されている手術システムとを連携させて、コスト構成比の高い手術室の人件費を対象として構築されたTDABCの適用モデルが説明された。実在病院の人工膝置換術患者40名をサンプルとし、整形外科医師、麻酔科医師、および手術室看護師の給与の職種別キャパシティ・コスト・レートを算定し、整形外科医師には手術時間を、麻酔科医師には麻酔時間を、手術室看護師には手術室入退室時間を、それぞれ配賦基準として選択して適用した結果、患者別の手術麻酔人件費を測定できると当時に、職種別のキャパシティ利用度を可視化できることが示された。また手術麻酔人件費、手術麻酔差益、および手術麻酔差益率を検証した結果、患者別の収益性が可視化され、手術室を占有している入退室時間が長くなるほど採算性が悪化する傾向が確認されたと同時に、医師別の業務実績分析にも応用が可能であることが提言された。

 

2020年度九州部会フォーラム合同開催

日本管理会計学会会員 各位

謹啓 時下ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
 日本管理会計学会2020年度第3回フォーラム・2020年度第1回九州部会合同開催を、11月14日(土)に、長崎県立大学佐世保校(佐世保市川下町123番地)を会場に下記の要領にて開催致します。万障お繰り合わせのうえ、ご出席を賜りますようお願い申し上げます。
 今回は、経営者主導でバランスト・スコアカード(BSC)導入を行い、経営品質を高める取り組みを実践されている株式会社亀山電機代表取締役会長の北口功幸氏をお招きしての特別講演、並びに新進気鋭の2名の方々の研究発表をご準備させて頂きました。
 なお、ご出席ご希望の皆様におかれましては、準備の都合上、お手数をおかけいたしますが、11月10日(火)までに、メールにて宮地あて、miyaji[at]sun.ac.jp([at]を半角の@に変更してください。) にお申込みを頂きますようお願い申し上げます。謹白

開催日: 2020(令和2)年11月14日(土)13:50 ~ 16:20
会場:  長﨑県立大学佐世保校  本館 101教室 
〒858-8580 長崎県佐世保市川下町123 TEL0956-47-2191(代表)
佐世保校への交通アクセス http://sun.ac.jp/access/

 

13:50~14:00 学会長ご挨拶

※ご講演30分 質疑10分 合計40分
特別講演 14:00~14:40「株式会社亀山電機のバランスト・スコアカード(BSC)」
      北口 功幸 氏 (株式会社亀山電機 代表取締役会長)

 

※ご報告30分 質疑10分 合計40分
第1報告 14:45~15:25「日本における統合報告の現状-インタビュー調査に基づいて-」 
      李  会爽(リホイシュアン)  氏(福岡大学兼任講師)

(10分程度の休憩)

第2報告 15:35~16:15「病院TDABCモデルの開発」   
      水野 真実  氏(九州大学専門研究員)

16:15~16:20      閉会ご挨拶  

 

<ご連絡事項>
①今回は、研究報告会終了後の懇親会は開催の予定はございません。

②本会にご参加の方に、長崎空港-長崎県立大学佐世保校との間で送迎用の貸切バス(マイクロバス)を運行いたします。詳細は以下のとおりでございます。ご乗車ご希望の方は、参加申し込み時に貸切バス利用のお申込みもご連絡をお願い致します。往路・復路のどちらか一方の利用も可能です。バスは3密を避けて15名まで乗車できます。お申込みの先着順でご利用者を決定させて頂きます。貸切バスご利用希望の方は、ご参加申し込みの際に往路・復路の利用のご希望、乗車場所・降車場所のご希望を添えてお申込みをお願いします。

〇長﨑空港お迎え:11月14日(土)10:20長崎空港到着口前集合 → 10:30長崎空港出発 → 11:10ハウステンボス迎え(前泊でハウステンボスに宿泊される方のお迎え)→ 11:35 JR佐世保駅迎え(東横イン佐世保駅前駐車場側でご乗車できます)→ 12:00長崎県立大学佐世保校着
〇長崎空港お送り:11月14日(土)16:30長崎県立大学佐世保校出発 → 16:55 JR佐世保駅(JR佐世保駅で降車希望の方)→  18:10 長崎空港着

③ 本会へのご参加の方で、前泊または後泊をご予定されておられる方は、JR佐世保駅前周辺に多数のホテル施設がございますので、こちらに宿泊されることをお勧めいたします。

④ 長崎県立大学佐世保校までの経路

各所~JR佐世保駅

JR佐世保駅~大学

JR博多駅から

○JR特急を利用する場合(1時間40分)

○高速バスを利用する場合(1時間50分)

JR佐世保駅から大学まで

 ○松浦鉄道(MR)を利用する場合(30分)
MR佐世保駅より乗車し大学駅にて下車後に徒歩

 ○バスを利用する場合(30分)
JR佐世保駅前西肥バス停留所で、日野経由又はSSK・大潟経由の相浦桟橋行、日野経由又は大野経由の大崎町行、日野経由水産市場前行、日野・ニュータウン経由佐々バスセンター行、日野経由小野町行のいずれかに乗車し、長崎県立大学前にて下車後に徒歩

○タクシーを利用する場合(20分)

                  

2020年度第3回フォーラム開催校委員長 宮地晃輔
2020年度第1回九州部会開催校委員長  田坂 公

 

            <本件に関するお問い合わせ先>

長崎県立大学 宮地晃輔
 E-mail   miyaji[at]sun.ac.jp
([at]を半角@に変更してください。)
研究室直通 0956-47-6796
                                                     以上

本九州部会・フォーラムについては、長崎県立大学のホームページ(http://sun.ac.jp/event/92380/)にも掲載されています。

2020年度第1回日本管理会計学会九州部会延期のお知らせ

                      2020年4月8日


日本管理会計学会会員各位


2020年度第1回日本管理会計学会九州部会延期のお知らせ

5月23日(土)に熊本学園大学にて開催を予定しておりました2020年度第1回日本管理会計学会九州部会につきましては、今般の新型コロナウィルス感染症の感染拡大の状況を鑑み、秋以降に延期することといたしました。
開催校や開催時期については、今後の状況に応じて決定し、会員の皆様にお知らせいたします。
ご理解の程よろしくお願い申し上げます。
                              

敬具

                        九州部会事務局
                           丸田起大

2019年度第2回(第57回)九州部会開催記

令和元年11月11日 足立俊輔 (下関市立大学)

■■ 日本管理会計学会2019年度第2回(第57回)九州部会が、2019年11月9 日(土)に九州大学(福岡市西区)にて開催された(準備委員長:大下丈平氏)。今回の九州部会では、関東・中国・九州からご参加をいただき、15名の研究者および院生の参加を得て、いずれの報告においても活発な質疑応答が展開された。

■■ 第1 報告は、田尻敬昌氏(九州国際大学准教授)により、「就労継続支援B型事業所における取り組み」と題する報告が行われた。本報告は、障がい者の就労継続支援事業所であるユーアイキッチン(茨城県水戸市)にインタビュー調査を行い、当該事業所で使われている「タスカルカード(作業内容カード)」が、Enablingに利用されているのかを考察することを目的としている。

 報告者は、Enablingには、①修復性、②透明性(内部透明性・全体透明性)、③柔軟性の4つの設計原理があることを指摘しており、それぞれの設計原理に、ユーアイキッチンの組織目的やタスカルカードの内容を当てはめて整理している。例えば、タスカルカードが貼られているホワイトボードは1日の業務全体が事業所内で把握でき、また、障がい者間でカードの交換ができる点において、全体透明性や柔軟性が確保されていることが明らかにされている。

 

■■ 第2報告は、足立俊輔氏(下関市立大学准教授)より、「タスク・シフティングに病院原価計算が果たす役割」と題する報告が行われた。本報告は、厚生労働省で議論されている「医師の働き方改革」におけるタスク・シフティング(TS)の推進と病院原価計算の関係性を、病院TDABC(時間主導型活動基準原価計算)の文献レビューから整理することを目的としたものである。

 報告者によれば、キャプラン=ポーターが2011年にTDABCに関する論文を発表して以来、TDABCを試験的に導入した病院を紹介した論文では、resource substitutionやreassingmentの観点からTSに関する考察が指摘されている。例えば、医師や看護師が行う業務を移管する場合には、代わりに医療補助者(Physician Assistant)、患者搬送専門者、遺伝診断士など、当該業務を行う専門スタッフを雇用することになる。報告者は、当該スタッフに支払われる診療報酬は減額されることが多いことや、キャパシティ費用率と作業時間にトレードオフが発生することに触れ、病院TDABCを実施してコストを認識する必要性を指摘している。

 

■■ 第3報告は、大下丈平氏(九州大学教授)より、「現代フランスコントロール論の系譜」と題する報告が行われた。本報告は、企業の不祥事や会計不正を契機として生じた「内部統制」やERM(全社的リスク・マネジメント)という企業の内部システムから提起された問題と、「持続的発展」といった言説のもとに進められる「社会的共創戦略コントロール論」といった企業の外部から提起されてきた問題を受け、ビジネス・モデルをベースに「ガバナンス・コントロール」という構想の緊要性を提示することを目的としたものである。

 企業の内部と外部からの問題提起や「ガバナンス・コントロール」概念の発案は、報告者のフランス管理会計研究を通じたコントロール論のパラドックス概念の認識が出発点となっている。そして報告者は、フランス管理会計研究の第一人者であるアンリ・ブッカンが、マネジメント・コントロールの前提としてビジネス・モデルを構築したという事実を強調し、当該事実が、企業経営を経済的にモデル化することや、企業内外の協同を維持する能力を高めるために必要とされていることを指摘している。

 

■■ 研究報告会終了後、開催校のご好意により、学内のカフェにて懇親会が行われた。来年度の九州部会は、熊本学園大学と福岡大学にて開催予定である。