2016年度第2回企業研究会開催記

■■2017年3月14日(火),日本管理会計学会2016年度第2回企業研究会が開催された(企業研究会担当:亜細亜大学・大島正克氏)。今回の研究企業は,2016年に創業100周年を迎えた物流業界大手のセンコー株式会社(東京本社)である。小雨の降るなか,原田会長,水野次期会長を始め13名の先生がセンコー株式会社の東京本社があるJR京葉線潮見駅改札に参集し,東京本社ビルとなっている潮見SIF(Senko Innovation Factory)ビルまで徒歩で移動した。同ビル7階の会議室にて企業研究会がスタートした。企業側の出席者は,川瀬由洋氏(取締役・常務執行役員),藤原正邦氏(物流経営研究所所長),堂土敏行氏(物流経営研究所上級研究員),呑田好文氏(人事部顧問)であった。呑田氏の司会進行のもと,初めに「センコー100周年記念ビデオ」があり,ついで「センコーの経営戦略」と題して,川瀬由洋氏より講義をして戴いた。

■■センコーグループホールディングス株式会社(SENKO Group Holdings Co.,Ltd.)2017senko_1.JPG

センコー株式会社(以下,センコー)は,1916年,日本窒素肥料株式会社(現在のチッソ株式会社)水俣工場の原材料・製品の専属輸送海運業者「富田商会」として創業した。1941年,日本窒素肥料の100%子会社「日窒運輸株式会社」になったが,1945年の終戦により財閥解体諸法令のもと解散した。直ちに「日窒運輸株式会社」の元社員の有志により事業再建がはかられ,1946年に「扇興運輸商事株式会社」が設立された。1973年,商号を「センコー株式会社」に変更し,その後も多くの企業を合併し,グループ会社が100社を超えるに伴い,2017年4月,持株会社体制に移行し,社名を「センコーグループホールディングス株式会社(SENKO Group Holdings Co., Ltd.)」とした。

センコーは早期に通運,路線などの免許を取得し,事業を拡大し,高度成長期に,輸送網の拡充,倉庫業の全国展開,住宅物流の強化,海外進出などで成長を実現してきた。2017senko_2.JPG

2016年3月期の売上高は4,340億円であった。セグメント別売上高を見ると,物流事業69%,商事・貿易事業30%,その他1%となっている。物流事業の内訳は,流通ロジスティクス事業37%,住宅物流事業14%,ケミカル物流事業11%,その他物流事業7%となっている。 センコーの物流事業はBtoCではなくBtoBの物流を業としているところに戦略上の特徴をもち,この戦略のもとにセンコーは流通それだけでなくその対象業務や支援業務を基礎としながら,その後の事業拡張を着実に促進する礎として発展している。流通ロジスティクス事業では,量販店や百貨店,専門店など小売店向けの物流サービス事業を中心に展開している。住宅物流事業では,住宅メーカーの製品を工場から建設現場へ輸送するサービスや住宅資材メーカーの資材輸送等の物流サービス事業を展開している。建設現場の施工進捗にあわせ,必要な資材をタイムリーに供給(JIT配送)し,また資材移動や資材探しなどの時間を削減することにより,住宅資材メーカーの建設コストの大幅な削減に貢献している。ケミカル物流事業は,センコー創業時から長年のノウハウが蓄積され,今後も拡大が期待される事業であり,プラスチックなどの原料となる樹脂やプラスチック成型品,加工品,自動車や機械などに使われる潤滑油などの物流サービス事業を展開している。商事・貿易事業では,商事販売,石油販売,貿易などを事業展開している。日用品や包装資材,酒類の卸売なども行っている。

国内ネットワークとして,新たに大型物流センターを全国に10数か所開設し,物流サービスを拡充している。2016年3月末時点で本社,営業本部,支店,物流センター等含め全国に458の拠点を設けるに至っている。倉庫面積は2006年の143万m2から2016年には293万m2へと増加し, 倉庫面積ではわが国の物流業界第2位の企業となっている。海外事業所は43か所設置している。平均株価は2006年の377円から2016年の790円へと倍増している。2017senko_3.JPG

国土交通省では地球温暖化対策の一つとして,CO2削減に向けてのモーダルシフト(Modal shift)を推進している。センコーは現在,毎日1万台以上のトラックを走らせている。また,海運事業では18隻を運行している。自社船舶を所有する長所も活用し,陸・海上輸送を柔軟に対応させ,輸送のグリーン化を推進し,2015年には,(社)日本物流団体連合会のモーダルシフト取り組み優良事業者賞「有効活用部門」を受賞している。

センコーの成長の第一の源は人材であり,その強みの一つが「現場力」であり,現場力を通じて品質と生産性を高める力を発揮している。人材に次ぐ第二の成長源はITであり,IT投資の拡大につれ,物流センター事業を将来性あるビジネスモデルへと発展させている。第三の源はM&Aである。これまでも企業買収により事業領域を拡大し多角化経営を実現させている。2017senko_4.JPG

また海外の事業展開の事例としてアパレル業が紹介された。「生産工場の中国への移転を終えたが,中国での人件費等が高騰し,為替変動によるコストも増加し,さらに顧客ニーズ多様化への対応に伴う生産ロット小口化への対応が必要となるなど,コスト削減は限界にきている」ともいわれているが,センコーはそのような環境に対応すべく「日中一貫物流」を提案している。すなわち「中国国内物流・海上輸送・日本国内物流を一社で元受管理し,加工と物流の一元実施を可能とする」流通情報企業としての提案である。このセンコー情報システムが提供する「グローバルSCEM(サプライチェーン・イベント・マネジメント)システム」は,SC上の各種データを統合し,複数企業が関わるSCをあたかも一つの企業システムのように管理するシステムであるが,センコーは,このグローバルSCEMシステムをアパレル企業各社への提案に生かしている(出典:センコー,日中一貫によるアパレル品物流システム導入事例)。

講義後,二班に分かれてSIFビルの見学をした。特に情報システム部門を中心に現場を見せて戴き,適宜パネル等を使った説明を拝聴した。2017senko_5.JPG

当日はセンコーの会議室をお借りして,リサーチセミナー(『ビッグデータの利用と経営戦略』講師:岡村久和氏・亜細亜大学・元日本IBM)を開催するため,企業研究会は13時頃終え,SIFビル2階の社員食堂にて,役員等の皆様とも歓談させて戴きながら昼食を戴いた。

今回の研究企業であるセンコー株式会社様は管理会計研究に対して多くのヒントを与えてくださいました。ここに参加会員一同心から御礼申し上げます。有難うございました。

仲 伯維(亜細亜大学・非常勤講師)

2017年度国際会議参加旅費の助成について(公募)

日本管理会計学会会員各位

会員の国際的活動を支援する一環として,標記の件について,下記の要領で公募いたします。

■ 助成対象
管理会計に関連する海外の学会(2017年9月1日から2018年3月31日の間に開催される学会)において,研究発表をする場合または当該学会と本学会との交流を促進するため活動を行う場合。

■助成額
航空運賃(往復)が5万円未満の場合には全額を,航空運賃(往復)が5万円を超過する場合には,5万円にその超過額の1/2を加算した額を助成する。ただし1件あたり10万円を限度とし,予算総額は年間20万円とする。

■ 応募方法
別紙書式に会議開催要項等を添付し,学会事務局に送付すること。書式は、添付ファイルをご利用いただくか,添付ファイルをご覧になれない方は,こちらよりよりダウンロードしてください。

<学会事務局>
〒154-8515 東京都世田谷区世田谷4-28-1
国士舘大学 経営学部 井岡大度 研究室内
日本管理会計学会事務局
e-mail: jama-infoあっとsitejama.org(あっとを半角@マークに変更してください)

■ 応募締切 2017年7月31日《期日厳守》

■ 選考方法
選考委員会で選考し,常務理事会(2017年8月開催予定)で決定する。

2016年度第2回企業研究会&リサーチセミナーのご案内

日本管理会計学会会員の皆様

会員の皆様には、ますますご健勝のことと存じます。
以下のように、第2回の企業研究会&リサーチセミナーを開催させて戴きますので、ご参加のほど、よろしくお願い申し上げます。
会長 原田 昇

研究企業
センコー株式会社(東京本社)
〒135-0052 東京都江東区潮見2?8?10
TEL  03-6862-7150
最寄駅 JR京葉線 潮見駅より徒歩5分

【スケジュール】 3月14日(火)
10:15 集合(京葉線潮見駅改札口、なお改札口は一つです)
徒歩にてセンコー(株)様へ向かう。
10:35 挨拶
10:45 開始(本社その他の物流施設見学、川瀬常務様によるセンコー(株)の経営戦略のプレゼンテーション:物流戦略、アジアの基幹物流など)(120分)
12:45 昼食(センコー様の2階の食堂)
13:45 リサーチセミナー:岡村久和先生の講演
「ビッグデータの利用と経営戦略」(講演と質疑)(90分)
15:15 挨拶・解散

昼食は、センコー様のご厚意により、センコー様がご提供してくださることになりました。心より御礼申し上げます。

お世話役:大島正克(亜細亜大学)
ご参加希望の方は、3月5日(日)までに大島正克の以下のメールアドレスに、お名前、ご所属、よろしければ携帯電話の電話番号をお書きの上、お申し込みください。

oshima @ asia-u.ac.jp

参加者名簿を作成させて戴きますともに、センコー株式会社様に、お名前とご所属の名簿をご報告させて戴きます。

亜細亜大学 大島正克

2016年度第2回企業研究会&リサーチセミナーのご案内

日本管理会計学会会員の皆様

会員の皆様には、ますますご健勝のことと存じます。
以下のように、第2回の企業研究会&リサーチセミナーを開催させて戴きますので、ご参加のほど、よろしくお願い申し上げます。
会長 原田 昇

研究企業
センコー株式会社(東京本社)
〒135-0052 東京都江東区潮見2?8?10
TEL? 03-6862-7150
最寄駅 JR京葉線 潮見駅より徒歩5分

【スケジュール】 3月14日(火)
10:15 集合(京葉線潮見駅改札口、なお改札口は一つです)
徒歩にてセンコー(株)様へ向かう。
10:35 挨拶
10:45 開始(本社その他の物流施設見学、川瀬常務様によるセンコー(株)の経営戦略のプレゼンテーション:物流戦略、アジアの基幹物流など)(120分)
12:45 昼食(センコー様の2階の食堂)
13:45 リサーチセミナー:岡村久和先生の講演
「ビッグデータの利用と経営戦略」(講演と質疑)(90分)
15:15 挨拶・解散

昼食は、センコー様のご厚意により、センコー様がご提供してくださることになりました。心より御礼申し上げます。

お世話役:大島正克(亜細亜大学)
ご参加希望の方は、3月5日(日)までに大島正克の以下のメールアドレスに、お名前、ご所属、よろしければ携帯電話の電話番号をお書きの上、お申し込みください。

oshima あっとまーく asia-u.ac.jp(あっとまーくを半角の@に変更してください。)

参加者名簿を作成させて戴きますともに、センコー株式会社様に、お名前とご所属の名簿をご報告させて戴きます。

亜細亜大学 大島正克

メルコ学術振興財団 設立10周年記念国際シンポジウム

日本管理会計学会会員の皆様へ

 このたび公益財団法人メルコ学術振興財団は、設立10周年を記念する事業としてメインテーマ「日本的管理会計の評価と展望」を掲げて管理会計に関する国際シンポジウムの開催いたします。
この国際シンポジウムでは、著名な日本企業の実務家と世界の学会をリードする海外の研究者を招聘して、管理会計に関する講演とパネルディスカッションを行っていただきます。是非皆様にご参加頂きたく、ご案内申し上げます。

【設立10周年記念国際シンポジウム】
テーマ :日本的管理会計の評価と展望
開催日 :2017年4月6日(木)、7日(金)、8日(土)
会 場 :名古屋国際会議場(名古屋市熱田区)
http://www.nagoya-congress-center.jp/
参加費 :無料
※詳細ならびに参加申込みは下記URLよりホームページをご参照下さい。
http://melco-foundation.jp/10th_anniversary/

<プログラム>
4月6日(木)
■企業視察:株式会社LIXIL 榎戸工場(愛知県常滑市)

4月7日(金)
■講演・パネルディスカッション:『日本企業の管理会計実務の評価と展望』
※CPE認定研修
コーディネーター:椙山女学園大学 教授 星野 優太氏
講演者/討論者:
日本航空(株) 路線統括本部 国際路線事業本部長 米澤 章 氏
「JAL(日本航空)におけるアメーバ経営での変革について」
ソニー(株)Headquarters経営企画管理部 General Manager 山口 周吾氏
「ソニーにおける経営管理および経営改革」
SBI大学院大学 教授(元トヨタ自動車北米研究開発センター原価企画部長) 小林 英幸氏
「トヨタ自動車の原価企画-コストを作り込む-」
コメンテーター:名古屋工業大学 客員教授 足立 直樹氏
4月8日(土)
■研究報告:『管理会計研究の最新動向-助成研究者による成果報告-』
※CPE認定研修
1)司 会: 小林 啓孝氏(早稲田大学大学院 教授)
藤野 雅史氏(日本大学 准教授)
「業績指標と日本的な関係性」
君島 美葵子氏(横浜国立大学大学院 准教授)
「顧客接点の戦略的活用と管理会計」
福島 一矩氏(西南学院大学 准教授)
「管理会計の効果を高める組織能力」
2)司 会: 松尾 貴巳氏(神戸大学大学院 教授)
尻無濱 芳崇氏(山形大学 准教授)
「介護事業における管理会計の利用」
山口 直也氏(青山学院大学大学院 准教授)
「中小企業における管理会計の導入状況について」
福田 淳児氏(法政大学 教授)
「スタートアップ企業におけるマネジメント・コントロール・システムの
採用とその精緻化について」
■海外特別講演・パネルディスカッション(同時通訳あり)
『Current Trends and Future Directions of Management Accounting Research』
※CPE認定研修
コーディネーター:京都大学経営管理大学院 教授 澤邉 紀生氏
講演者/討論者:
Professor, The University of Sydney  Wai Fong Chua
Professor, Michigan State University Ranjani Krishnan
Professor, HEC Paris         Keith Robson
なお、この国際シンポジウムはプログラムの一部が公認会計士協会のCPE認定研修となっております。

※開催案内(PDF)はこちらから↓
http://melco-foundation.jp/wp-content/uploads/10th_symposium_a.pdf
※お申込みはこちらから↓
https://v3.apollon.nta.co.jp/10melco_jr/
何卒、宜しくお願い申し上げます。