2016年度年次全国大会開催記

■■ 日本管理会計学会2016年度全国大会は、2016年8月31日(水)から9月2日(金)の3日間、明治大学駿河台キャンパスにおいて開催された。8月31日には、学会賞審査委員会、常務理事会、理事会、理事懇親会が開催された。9月1日は、午前9時30分から5会場に分かれ、計17の自由論題報告が行われた。午後には、会員総会、スタディ・グループ報告、産学共同研究グループ報告、特別講演が行われた。特別講演終了後、午後6時すぎより、駿河台キャンパス リバティタワー23階の岸本辰雄・宮城浩蔵ホールにて会員懇親会が開催され、会員の懇親を深めた。翌2日は、午前9時30分から5会場に分かれ、計16の自由論題報告と計4のスタディ・グループセッションが行われた。午後には、統一論題の報告と討論が行われた。これと並行して、スタディ・グループと産学共同研究グループによる報告が行われた。

■■ 学会賞特別賞:淺田 孝幸氏(立命館大学)
功績賞:菊井 高昭(上智大学)、西村 優子氏(青山学院大学)
文献賞:辻 正雄氏(名古屋学院大学大学院)
『会計基準と経営者行動–会計政策の理論と実証分析–』中央経済社.
奨励賞:佐久間 智広氏(松山大学)
「マネジャーの個人差が意思決定・業績に与える影響
–株式会社ドンクの店舗データを用いた定量的検証–」
『管理会計学』第24巻第1号.
北田 智久 氏(神戸大学大学院経営学研究科博士後期課程)
「日本企業におけるコストの反下方硬直性」『管理会計学』第24巻第1号.

■■特別講演
淺田 孝幸氏(立命館大学)の司会のもと、今給黎 真一氏(株式会社日立製作所)による「日立の業績管理の変遷」と小林 哲夫氏(神戸大学名誉教授)による「戦略的管理会計研究の論点」の特別講演が行われ、質疑がなされた。

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■■ 統一論題・討論「管理会計の新展開」
辻 正雄氏(名古屋学院大学大辻先生.jpg学院)を座長とする統一論題報告が行われた。テーマは、「管理会計の新展開」であった。辻 正雄座長による開題の後、次の3つの報告が行われた。

 

■ 統一論題報告(1) :青木 章通氏(専修大学)
「サービス組織におけるマネジメント・コントロールの新展開」青木先生.jpg
本報告では、管理会計の中核的な概念であると考えられるマネジメント・コントロールを取り上げ、対人的なサービス組織において質の高いサービスを生み出すためのマネジメント・コントロール・システムとはどのようなものかについて、隣接領域であるサービス・マネジメントの研究成果を検証しながら考察した。

■ 統一論題報告(2) :堀井 悟志氏(立命館大学)
「管理会計の常識的知識への接近」
本報告では、管理会計の「常識的知識」に着堀井先生.jpg目して管理会計実践を理解することで、これまでの管理会計の科学的知識では明らかにされなかった管理会計の役割やありように光を当て、新たな理論構築の方法をin-depthケーススタディ研究やアクション・リサーチの事例をもとに考察した。

■ 統一論題報告(3) :前田 陽氏(明治大学)
「管理会計におけるミクロ・マクロ・ループの意義と課題」
本報告では、ミクロ・マクロ・ル前田先生.jpgープ(MMループ)が取り上げられた。MMループに焦点を当てた研究は近年、自律的組織の経営システムやその情報的相互作用の重要性から盛んに行われている。MMループ自体は管理会計固有の概念ではなく、システム全般に関わる一般的な概念である。前田氏は、 MMループを企業内に生むようシステムを設計するにはどうしたら良いのだろうかを出発点に、中国に進出した大手小売業のI社の事例を通じて、MMループを構築することの意義およびその課題を考察した。

■ 統一論題討論
統一論題報告の後、続けて統一論題討論が行われた。辻 正雄座長の司会のもと、フロアからの質問に発表者が答える形で討論が進められ、活発な意見交換が行われた。
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■■ 次回の日本管理会計学会年次全国大会は、福岡大学において2017年8月27日(日)から29日(火)にかけて開催される予定である。

2016年度全国大会実行委員会  委員長 森久(明治大学)