2026年度年次全国大会大会プログラムについて

日本管理会計学会 会員各位

2026年8月23日(日)-25日(火)(23日は、理事会・常務理事会)、成蹊大学において開催されます2026年度年次全国大会の特設サイトが公開されました。

以下のURLをご参照ください。

https://jamajcaa-meeting.sakura.ne.jp/annual/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E7%AE%A1%E7%90%86%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%AD%A6%E4%BC%9A%E3%80%80%E5%85%A8%E5%9B%BD%E5%A4%A7%E4%BC%9A

 なお、本年度より参加費等のお支払方法がPeatixに変更されています。詳細は、上記サイトの「参加申し込みはこちら」をクリックください。

【お知らせ】米国管理会計士協会(IMA)と基本合意書(MOU)を締結

2026年7月4日(土)、日本管理会計学会(JAMA)は米国管理会計士協会(IMA)と基本合意書(MOU)を締結し、同日、共同PR東銀座オフィスにて調印式を執り行いました。 調印式には、本学会から伊藤克容会長と奥倫陽常務理事が出席いたしました。IMAからはMarcel Ewals様(IMAアジアパシフィック・ディレクター)、小西晋也様(IMA日本支部共同代表)、Peter J. Dolan様(IMAグローバル理事会会長)が出席され、調印および今後の具体的な活動に向けた意見交換が行われました。

本提携は、国境と産学を越え、「学術の知見」と「実務の最前線」を双方向に結ぶことを目的としています。予測困難な激変期において未来を予測する管理会計の高度化を推進し、グローバル経済下における企業の迅速な意思決定と、国際的な経営管理インフラの革新を目指します。

本提携に際し、伊藤克容会長は「お互いの強みを補完し合う強力なイノベーションが生まれることを期待します」とのコメントを寄せています。さらに、本協定を契機として日本国内における管理会計のプレゼンスを一層向上させるとともに、日本における高度な管理会計実践の成果を対外的に力強くアピールしていく展望を示しました。くわえて、実務の最前線における知見と学術研究との有機的な連携を図ることで、管理会計分野における研究水準の飛躍的な向上と深化をもたらすことへの多大なる期待を述べられました。

■ 米国管理会計士協会(IMA®)について

IMA®は管理会計プロフェッショナルの発展に専念する最大かつ最も高く評価されている職業人団体の一つです。IMAは世界的に研究、CMA®(Certified Management Accountant、米国公認管理会計士)、CSCA®(Certified in Strategy and Competitive Analysis、戦略・競争優位分析資格)認定プログラム、FMAA™(財務・管理会計アソシエイト資格)認定プログラムをはじめ、継続的な教育、ネットワーキング、そして最も高い倫理基準に基づいた事業慣行の推進を通じ、管理会計プロフェッショナルの発展に取り組んでいます。

IMAは、The Accountant/International Accounting Bulletin誌から「Professional Body of the Year(年間最優秀職業人団体)」に2度選出され実績もあり、現在では150カ国で約14万人の会員と200以上の専門家および学生支部を有するグローバルネットワークを展開しています。アメリカ・ニュージャージー州モントヴェールに本社を構えるIMAは、米国大陸、中国、ヨーロッパ、中東・北アフリカ、インド、アジア太平洋地域の6つのグローバル地域を通じて、地域に密着したサービスを提供しています。

IMAの詳細はwww.imanet.org、US-CMAに関する詳細は、https://www.imanet.org/cma-campaign-japan をご参照ください。

日本管理会計学会2026年度第1回フォーラム開催記

 日本管理会計学会2026年度第1回フォーラムは、2026年4月25日(土)14時00分から16時30分まで、日本大学経済学部水道橋キャンパスにおいて対面・オンライン(zoom)のハイブリッド形式にて開催された。開会に先立ち、本学会会長・伊藤克容氏(成蹊大学)よりご挨拶を賜り、引き続き、飯塚隼光氏(日本大学)の司会によりプログラムが進行した。 
 本フォーラムでは、2025年度日本管理会計学会功績賞を受賞された尾畑裕氏(明治学院大学)を特別講演としてお迎えし、あわせて井上慶太氏(東京経済大学)および王志氏(明治大学)による研究報告の計3件が行われた。
 当日は、対面で50名、オンラインで14名の参加があり、いずれの特別講演・研究報告に対して活発な質疑応答が交わされ、大変有意義な議論が展開された。さらに、閉会時には本学会副会長・青木章通氏(専修大学)より挨拶を賜った。盛況のうちに本フォーラムは無事に閉会した。

[特別講演]
◎講演者:尾畑裕氏(明治学院大学)
◎講演題目:管理会計の実務と研究のギャップを埋める研究

 本講演は①管理会計において実務と研究のギャップが生じる理由、②管理会計において実務と研究のギャップの原因類型、③管理会計において実務と研究のギャップを埋めるにはどのような研究が必要か、という3点について説明された。管理会計はそもそも企業内部の情報である。通常多くの競争情報を含むものであるために、外部への公開には大きな障壁を抱えている。この問題を解決する手段として近年筑波大学を中心に研究が進められているデータコラボレーション(DC)解析の技術とその応用研究が紹介された。

[研究報告]
第1報告
◎報告者:井上慶太氏(東京経済大学)
◎報告題目:デジタル技術を用いたマネジメント・コントロールに関する考察

 企業を取り囲むデジタル環境はIoTやAI等急速に変化している。こうした流れはマネジメント・コントロールの在り方を変化させる可能性がある。本報告ではこれまでの先行研究をレビューし、今後の研究展望を示した。

第2報告
◎報告者:王志氏(明治大学)
◎報告題目:リードタイム短縮の二面性―原価作用因と収益作用因の両視点からの検討―

 企業が利益を増大させるためには原価を削減するか収益の向上を目指すか、あるいはその両方を同時に実現することが求められる。リードタイムの削減は製造原価低減の方法として議論されてきたが、近年は収益にも影響するということが指摘されるようになった。本報告では、ケーススタディ―を行い、事例企業が行ったリードタイム短縮が企業の利益にどのようにつながったのか、原価作用因と収益作用因の二面から分析を行った。

2026年度 第1回関西・中部部会 開催記

文責:愛知工業大学  柊 紫乃

 2026年度第1回関西・中部部会は,2026年6月20日(土)13時30分から17時40分まで,愛知工業大学自由ヶ丘キャンパス(開催校準備委員長 柊 紫乃)にて対面・遠隔併用のハイブリッド形式で開催されました。雨模様の中での開催でしたが,当日は日本全国から対面21名,遠隔11名の計32名の方々が参加されました。部会開催に先立ち,関西・中部部会の役員会がハイブリッド形式で開催されました。
 関西・中部部会は,定刻より関西・中部部会会長である南山大学の窪田 祐一氏のご挨拶から開始されました。第1部では,特別講演に株式会社 東海理化 生産調査部長の今泉 雅善氏をお迎えし,トヨタ生産システムとデジタルトランスフォーメーション(DX)の協働による企業変革についてお話をいただきました。
 第2部では,4件の自由論題報告がありました。第1報告として旭川市立大学の下田 卓治氏,第2報告として南山大学の榎本 哲也氏,第3報告として津田塾大学の大西 淳也氏,第4報告として関西学院大学の吉川 晃史氏からご報告いただきました。第1報告は遠隔,第2報告から第4報告は対面と自由論題報告においてもハイブリッド開催となりました。以下,特別講演および,自由論題 第1報告から第4報告の概要となります。

特別講演 今泉 雅善氏(株式会社 東海理化 生産調査部長)
講演論題 「DX(AI)時代におけるTPSの本質の更なるシンカを目指して」

 特別講演では,株式会社 東海理化(以下,東海理化)の今泉氏により,従前より推進されてきたDXの活用が,同社およびトヨタグループの強みであるTPS(トヨタ生産システム)をいかにシンカ(進化・深化・新化)させてこられたかについて,具体的事例を交えて紹介をいただいた。
 まずは,TPSの原理原則について,2本柱である「ジャストインタイム」「自働化」や「TPSの家」等の解説をいただき,東海理化としての製造現場での取組み事例を紹介いただいた。その上で,製造現場DXとして同社が進めてこられた「IT生産管理版」の様々な活用事例として,時々刻々対応できる異常対策,入力・転記等の作業軽減による改善時間の確保,現場の実績や改善効果が瞬時に分かる見える化等をご説明いただいた。
 最後に,まとめとして「データの見える化から始まるDXが多いが,AIによる過去の知見との融合により,改善スピードを上げ,TPSの本質をシンカさせていきたい。AI,DX時代にこそ出来るTPSの真価を発揮し,経営改革に繋げていきたい」という現在から将来に繋がる展望を示されて本特別講演は締めくくられた。

第1報告 下田 卓治氏(旭川市立大学)
報告論題 「健康経営優良法人認定の経済的効果」

 自由論題の第1報告では,旭川市立大学の下田氏により,遠隔での報告があった。本報告では,健康経営優良法人認定の経済的効果の検証結果が報告された。主な要旨は以下のとおり。
 本研究では,健康経営優良法人認定の効果を検証するため,PSM,DID,イベントスタディ分析を実施した。2017年時点の事前共変量を用いたPSMの結果,マッチング前に確認された売上規模,成長率,産業構成の不均衡は,マッチング後にはすべての共変量で標準化差が概ね0.1未満となり,処置群と対照群の特性は十分に均衡化された。PSM後サンプルを用いたDID分析では,2020年以降ダミーと認定ダミーの交互作用項は,Tobin’s Q,ROA,ROEのいずれにおいても正の係数を示したものの,5%水準では統計的に有意ではなかった。この結果は,健康経営の取り組みが直ちに財務数値へ結びつくわけではなく,平均的な処置効果としては限定的であることを示している。さらに,Sun and Abraham(2021)に基づくイベントスタディ分析では,Tobin’s Qにおいて認定取得年の係数が統計的に有意な負の値を示した一方,取得後数年では正の係数が観察された。これらの結果は,健康経営優良法人認定の影響が短期と中長期で異なる可能性を示しており,効果の時間的推移を考慮した分析の重要性を示唆している。
 報告後に,本報告の研究手法と分析結果について,遠隔・対面双方の参加者から質問やコメントがあり,今後の分析課題等が確認された。

第2報告:榎本 哲也氏(南山大学)
報告論題 「テンションの変化に応じた業績測定システムの改良と活用プロセス
-アクション・リサーチによる業績指標の構築-」

 自由論題の第2報告では,南山大学の榎本氏より,対面での報告があった。本報告では,アクション・リサーチによる業績測定システムの改良と活用プロセスについて報告された。主な要旨は以下のとおり。
本研究の目的は,業績目標間の緊張関係(テンション)の変化に応じて,業績測定システム(PMS)がどのようにテンション・マネジメントを支援しうるのかを明らかにすることである。社会性と収益性の両立のような複数目標の追求は,組織に持続的なテンションをもたらす。本研究では,障がい者雇用を目的とした営利事業を行う社会的企業を対象にアクション・リサーチを行った。「障がい者雇用」と「利益獲得」をめぐる既存のテンションのバランスをとる事業の拡大に伴い,新たに「障がい者雇用」と「障がい者就労支援」をめぐるテンションへと焦点が変化するなかで,それに対応したPMSの改良と活用プロセスを分析した。その結果,新たなテンションの顕在化に応じて業績指標が着想され,現場での解釈や対話を通じて意思決定や認識共有に用いられていた。本研究は,PMSが動態的なテンションの見える化と調整を支援する可能性を示唆する。
 報告後に,本報告のアクション・リサーチに関わる具体的な取組みやPMSの可能性について,遠隔・対面双方の参加者から質問やコメントがあり,今後の支援課題等が確認された。

第3報告:大西 淳也氏(津田塾大学)
報告論題 「大学の業務効率化・業務改革についての考察 -管理会計の観点から-」

 自由論題の第3報告では,津田塾大学の大西氏より,対面での報告があった。本報告では,大学の業務効率化・業務改革について報告された。主な要旨は以下のとおり。
 本報告では,教職員の人件費割合の高い文系中心の小規模大学を想定し,そこでの業務効率化と業務改革の進め方について考察する。最初に,大学をめぐる状況について整理し,業務フローが重視されていないことを述べる。次に,業務フローの観点から検討し,階層別の大中小の業務フローと業務量の把握が重要であることなどについて言及する。そして,BPRの観点から検討し,プロセス設計ドリブンと現場提案ドリブンの2つの視点があることを示す。その後,現場の不可視性の観点からは改善活動が重視され,そこでは衛生要因(不満足要因)を起点とする改善活動が大きな改革につながりやすいことを述べる。そして,マネジメント・コントロールの観点から検討し,業務フローの存在を前提にイネ―ブリング・コントロールを考慮すると,現場提案が組織戦略の修正までも視野に入れることができることについて整理する。DXについてもビジネス・プロセスの改革とビジネス・モデルの改革の2つがある中で,現在は前者にとどまっていることについて述べる。その後,以上の論をまとめ,大学の業務効率化・業務改革の実施プロセスについて考察する。そこでは,大学の業務効率化等の現状を整理の上,管理会計論の観点から考えられる今後の進め方について示唆する。そして,業務量の捻出と戦略的業務への業務量投下の重要性について言及し,学長のリーダーシップがキモとなることを述べる。最後に,まとめと今後の課題について言及する。
 報告後に,本報告から示唆される大学業務に関わる現状や課題について,遠隔・対面双方の参加者から質問やコメントがあり,今後の取組み課題等が確認された。

第4報告:吉川 晃史氏(関西学院大学)
報告論題 「デジタルを活用したトヨタのコストマネジメントとグローバル展開」

 第4報告では,関西学院大学の吉川氏より,対面での報告があった。本報告では,2000年代のトヨタのコストマネジメントの変化について報告された。主な要旨は以下のとおり。
本報告は,日本管理会計学会 産学共同研究グループ(代表 水島多美也氏)「技術の進化が戦略的計画会計・現業統制会計の変化にもたらす影響」プロジェクトの研究成果の一部である。2025年度の活動では,井上眞一氏(元 トヨタ自動車)のご協力のもと,トヨタの生産技術と戦略の変化について2000年前後を中心に戦略計画会計の視点からヒアリングを実施,入手データを整理した。今年度はこれらをもとに,参加研究者がそれぞれの研究関心から分析を進めている。第1弾としての本報告では,2000年代のトヨタ自動車のコストマネジメントに着目し,デジタル化の推進,GBL(グローバル・ボデー・ライン)の導入,および BT2活動を通じた徹底的な原価低減の取り組みのもとで,同社がリーマンショック前後の急激な外部環境の変化にいかに対応していったのかを外部資料や当時の社員からの聞き取り調査から明らかにする。
 報告後に,トヨタ自動車におけるコストマネンジメントや工場投資企画等の視点について,遠隔・対面双方の参加者から質問やコメントがあり,今後の研究課題等が確認された。

 ハイブリッド開催での特別講演と自由論題4件という比較的長時間の部会でしたが,会場および遠隔ご参加の先生方のご協力により定刻通り17:40に開催校準備委員長 柊 紫乃(愛知工業大学)による参加への御礼の挨拶をもって2026年度 第1回関西・中部部会は終了しました。
 部会終了後は,場所を移して本山の「焼き鳥ぎんざん 本山店」において懇親会が開催され,12名の方が参加されました。前学会長 﨑 章浩氏(東京国際大学)による乾杯のご発声で始まり,会員各位の懇親と部会での講演・報告内容や,各自の研究テーマなどについて議論に花が咲きました。最後は,関西・中部部会会長の窪田 祐一氏(南山大学)による挨拶でお開きとなりました。