会長就任のご挨拶
会長 﨑 章浩(明治大学)
昨年8月,明治大学で開催された年次全国大会において多くの会員の先生方からご支援を賜り,会長に選出されました。2023年4月から3年間,社会への貢献,学会の発展,ならびに会員の先生方の研究活動の充実のために最大限の努力をする所存です。
2019年に発生し世界中に蔓延した新型コロナウイルス感染症により,本学会も多大な影響を受けました。2020年度年次全国大会は対面形式で開催されましたが,懇親会がなく,また2021年度年次全国大会はオンライン形式で開催せざるをえませんでした。感染症が少し落ち着いた昨年の年次全国大会は対面形式で開催されましたが,懇親会は催されませんでした。また,常務理事会,理事会等もオンライン形式での開催を余儀なくされました。
しかしながら,今年に入り感染症の拡大もかなり収まり,4月15日(土)に明治大学で開催された常務理事会,理事会,フォーラムは対面形式で開催され,懇親会を催すことができました。5月5日(金)には,世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長が新型コロナウイルス感染症に対する緊急事態宣言を終了すると発表し,わが国においても,感染症法における新型インフルエンザ等感染症には該当しないものとし,5月8日(月)以降は,5類感染症とすることが決まりました。したがいまして,今後の学会活動はコロナ禍前のかたちで実施できると期待しています。
さて,上記の4月15日に開催された第1回常務理事会,理事会において今後の3年間における私の短期,中期の目標を述べさせていただきました。
短期目標の一つ目は,管理会計の理論と実務の幅広い普及と定着を目指し,(一社)日本記念日協会に「管理会計の日」を登録するために,適切な日を検討し申請することです。これは創立30周年記念事業として計画されていたことですが,諸般の事情で実現されてこなかったので,提案者である水野一郎氏(関西大学教授)を委員長に委員会を設置し,本年度中に登録したいと考えています。それと同時に,会員を始め,多くの方々に本学会に親しみを持っていただくために学会のロゴマークを作成したいと考えています。
二つ目は,規程の改正です。コロナ禍を契機に,昨年の会長,常務理事,および理事の選挙から電子投票システムによる方法に投票方法を変更してきましたが,それに伴う「会則」「役員選任規程」等の規程の一部に不備がみられます。そこで,本年度中に必要な改正を行いたいと考えています。改正案が纏まりましたら,常務理事会,理事会,総会に諮りたいと考えていますので,よろしくお願いいたします。
三つ目は,4月から新執行部で検討してきたことですが,学会の業務に携わっていただいている参事の先生方への学会出張費等の一部助成などを通した研究活動支援です。議事録の作成等のために常務理事会,理事会に出席していただいている参事の先生方は若手の研究者であり,貴重な研究時間を割いて出席していただき議事録を作成していただいていますので,それにたいして何らかのかたちで応えたいと思います。
次に,中期目標について一つ目は,社会への貢献,地域経済の発展への貢献です。これは「会則」第3条の目的の一つに「経営管理実務の指導・改善に資することを目的とする」と掲げていることであり,ぜひ実現したいと考えています。たとえば,2018年度から隔年で実施されている「産学共同研究」を活用して,地域の商工会などの非営利団体や,人財が不足している中小企業の方々と産学連携の道を探り支援することが考えられます。今年の年次全国大会の統一論題において「中小企業管理会計の現状と課題」をテーマに掲げていただき,中小企業のことを議論していただくことになっています。また,地域の商工会との連携についても一部で話しが進んでいます。
二つ目は,会員数の増大です。今後,研究者の会員数の増大はあまり見込めないと考えられます。そこで,企業にお勤めの方々,および中小企業との関係が深い税理士や公認会計士の方々の会員数の増大を図りたいと考えています。とくに,上記の「産学共同研究」などを活用して産学連携を図るためにも,中小企業の方々との関連がある税理士,公認会計士の先生方に会員になっていただくことは意味があるかと存じます。税理士を始めとする実務家の方々に会員になっていただくには,どのようなことが考えられるかを任期中に探っていきたいと思います。併せて,賛助会員を増大することにより財政基盤を拡充したいと考えています。
三つ目は,機関誌『管理会計学』についてです。歴代の編集委員長のご尽力により機関誌『管理会計学』は質量ともに大変充実してきましたが,編集委員長を始め,編集副委員長,委員,参事の先生方の業務がかなり負担になっていると聞いています。そこで,これまでの委員長,副委員長,委員,参事の先生方のご意見を伺い,業務の一部を外注することなどを含めて,編集手続きについて改善したいと考えています。
これらの中期目標については,私の任期の間に実現できるとは考えていません。今後の執行部に繋がるような仕組みを作れればと考えていますので,ご高配のほどよろしくお願いいたします。
2021年に学会創設30周年を迎えましたが,次の節目である40周年に向けて社会に開かれた,より魅力ある素晴らしい学会へと発展するよう,微力を尽くして取り組む所存です。会員の先生方の一層のご支援,ご協力を賜りますよう心からお願い申し上げます。