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2019年度年次全国大会 大会記

東京国際大学 奥 倫陽

■■日本管理会計学会2019年度年次全国大会(準備委員長:専修大学 伊藤和憲氏)は、2019年8月27日(火)から29日(木)までの3日間にわたって、専修大学生田キャンパスで開催された。27日は、選挙管理委員会、常務理事会、理事会および各種委員会が開催された。28日は、10:00から7会場で、計13の自由論題報告が行われた。その後、11:10から基調講演が行われた。13:10から会員総会が行われた。14:00から統一論題の報告が行われた。16:00から特別講演が行われた。17:30から専修大学生田キャンパス蒼翼の間にて会員懇親会が盛大に開催され大会2日目は終了した。会員懇親会では、冒頭、水野一郎会長の挨拶の後、専修大学学長佐々木重人先生よりご挨拶を頂戴した。29日は、10:00より7会場で、計26の自由論題報告が行われた。その後、13:10からスタディ・グループの中間・最終報告が行われた。13:40から産学共同研究グループの報告が行われた。最後に、14:20から統一論題討議が行われ、盛況のうちに大会は終了した。なお、28日と29日の両日にわたって会長選挙および理事選挙が行われた。3日間の参加者は、250名であった。

■■学会賞
・特別賞(第15号):廣本敏郎氏(一橋大学名誉教授)
・文献賞(第20号):伊藤克容氏(成蹊大学) 受賞業績:『組織を創るマネジメント・コントロール』中央経済社, 2019年.
・論文賞(第12号):渡辺岳夫氏(中央大学) 受賞業績:「アメーバ経営システムの運用の継続企業と中止企業の比較―組織成員に対する心理的な影響メカニズムの多母集団同時分析―」『管理会計学』27巻1号, 2019年, pp.35-55.
・奨励賞(第22号):鬼塚雄大氏(慶應義塾大学大学院) 受賞業績:「自律的な在外子会社に対する本社による業績管理の影響」『管理会計学』27巻1号, 2019年, pp.109-124.

 

 

 

 

 

 

 

 

■■基調講演
 櫻井通晴氏(専修大学名誉教授)により「コーポレートガバナンス・コードの制定とROE活用の是非」という演題で、伊藤和憲氏(専修大学)の司会のもと基調講演が行われた。講演では、日本企業がROE8%を経営目標にすべきかについて、日本の研究者・実務家の反応に基づいて検討された。結論としてROEを目標利益としてもつことが、持続的な企業発展を阻害する可能性を指摘された。最後に講演者とフロアーとの質疑応答が行われた。

■■特別講演
 Chris Chapman氏(University of Bristol)により”Big data and Management Control”という演題で、澤邉紀生氏(京都大学)の司会のもと特別講演が行われた。講演では、マネジメント・コントロールにおける今日の挑戦的な課題の1つとしてビックデータを取り上げられた。ビックデータ・アナリティクスに関連する講演者自身のフィールドワークを通して、有益なマネジメント・コントロールのために、どのようなデータが利用でき、どのような目的で利用されるかが具体的に明らかにされつつあると指摘された。なお、本特別講演は、公益財団法人メルコ学術振興財団の支援を受けて行われた。

■■統一論題報告・討議
 「マネジメント・コントロールの展開と今日的課題」というテーマで、澤邉紀生氏(京都大学)の座長のもと統一論題の報告が行われた。座長による開題の後に、次の3つの報告が行われた。統一論題の翌日に統一論題討議が行われた。

■統一論題報告:第1報告 浅田拓史氏(大阪経済大学)
 浅田拓史氏(大阪経済大学)により「製造業における管理会計実践と自律創造型コントロール」という演題で報告された。報告では、製造業における管理会計実践についてコマツの経営改革でみられる自律創造型コントロールに基づき検討され、自律創造型コントロールの実践が管理会計知識をめぐる管理会計担当者の役割に変化を与えると指摘された。

■統一論題報告:第2報告 青木章通氏(専修大学)
 青木章通氏(専修大学)により「サービス組織における価値共創プロセスとマネジメント・コン トロール・システム」という演題で報告された。報告では、顧客との価値共創プロセスにおけるマネジメント・コントロール・システムの特徴についてfreee株式会社の事例を通して検討され、価値共創を念頭に置いたマネジメント・コントロール・システムの設計には、マネジメント・コントロールを拡張した概念として理解する必要性を指摘された。

■統一論題報告:第3報告 伊藤克容氏(成蹊大学)
 伊藤克容氏(成蹊大学)より「「両利き経営」を実現するマネジメント・コントロールの要件」という演題で報告された。報告では、「スタートアップ」で求められる経営行動を題材として、マネジメント・コントロール理論の拡充、拡張について検討された。会計情報の使われ方が従来と大きく異なるため、理論体系の拡張の必要性を指摘された。

■統一論題討議
 澤邉紀生氏(京都大学)の座長のもと、統一論題報告者3名をパネリストとして、統一論題討議が行われた。フロアーからの質問に基づいて活発な討議が行われた。

■■スタディ・グループ
 飯島康道氏(愛知学院大学)の司会のもと、スタディ・グループの中間報告と最終報告が行われた。研究課題「日本における管理会計技法・情報利用の変容に関する研究」(研究代表者:吉田栄介氏(慶應義塾大学))について中間報告が行われた。研究課題「医療機関におけるマネジメント・システムの導入とその成果に関する研究」(研究代表者:伊藤和憲氏(専修大学))について最終報告が行われた。

■■産学共同研究グループ
 淺田孝幸氏(立命館大学)を研究代表者とする研究課題「グローバル管理会計規準の可能性と展望に関する研究」の産学共同研究グループの最終報告が、大槻晴海氏(明治大学)の司会のもと行われた。

 

(会員懇親会)

 

 

 

 

日本公認会計士協会CPE単位認定について

日本公認会計士協会のCPEの単位認定は下記の通りです。

 

研修会:日本管理会計学会2019年度年次全国大会

主催者:日本管理会計学会

テーマ:マネジメント・コントロールの展開と今日的課題

 

開催日

時 間

内 容

研修

コード

参加料

 

2019年8月28日

10:00~12:10

自由論題報告

基調講演

5111

(事前)

6,000円

(当日)

7,000円

14:00~17:00

統一論題報告

特別講演

2019年8月29日

10:00~12:10

自由論題報告

13:10~14:10

スタディ・グループ中間報告

スタディ・グループ最終報告

14:20~15:50

統一論題討議

 

以  上 

2019年度年次全国大会(フルペーパーのダウンロード方法のご案内)

日本管理会計学会会員 各位

時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。

日本管理会計学会2019年度年次全国大会(専修大学生田キャンパス)は、
すでにご案内の通りですが、
8月27日(火)~ 29日(木)(※27日は、委員会・理事会のみ)の日程で開催されます。

プログラムおよび自由論題報告のフルペーパーが
以下のURLからダウンロード可能となりましたのでお知らせいたします。
ご確認くださいますようお願い申し上げます。

皆様のお越しを心よりお待ち申し上げます。

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・2019年度全国大会プログラム(PDF形式)
https://sitejama.jp/wp-content/uploads/2019/07/2019jama_pamphlet.pdf

※27日の理事会・常務理事会・選挙管理委員会の教室が郵送済みのプログラムと異なります。
※自由論題報告の記入漏れがございましたので郵送済みのプログラムから修正されております。
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・2018年度全国大会自由論題報告のフルペーパーのダウンロード・サイト
https://sitejama.jp/annual_conference_2019/

※フルペーパーのダウンロードの利用には,ユーザ名とパスワードが必要となります。
 ユーザ名は、「jama」です。
 パスワードは、郵送されております「2019年度全国大会」のご案内に記載されております
 パスワードを使用してください。
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2019年度全国大会実行委員長
伊藤 和憲(専修大学)

日本管理会計学会2019年度年次全国大会のご案内および自由論題報告募集のお知らせ

日本管理会計学会2019年度年次全国大会は、専修大学におきまして「マネジメント・コントロールの展開と今日的課題」を大会テーマとして下記要領にて開催することになりましたので、ご案内申し上げます。

つきましては、自由論題の報告者を募集いたしますので、奮ってご応募くださいますようお願い申し上げます。報告をご希望の方は、2019年5月11日(土)までに、下記の事項を記載の上、jama2019su[at]gmail.com([at]を半角の@に変更してください。)に、E-mailでお申し込みください。なお、応募者が多数の場合、会場・時間などの制約により、ご希望に添いかねることもございますので、あらかじめご承知おきください。

また、論文(フルペーパー)の提出は2019年7月29日(月)〜 8月10日(土)です。提出期間内に論文の提出がない場合、報告をご遠慮願うこと、および論文は学会ウェブサイト(https://sitejama.jp/)に掲載することをご留意ください。

1. 日時:2019年8月27日(火)~ 29日(水)

  27日(火)常務理事会、理事会

  28日(水)自由論題、基調講演、会員総会、統一論題報告、

       特別講演、懇親会

  29日(木)自由論題、スタディ・グループ報告、統一論題討論

2. 会場:専修大学生田キャンパス

    (〒214-8580 神奈川県川崎市多摩区東三田2-1-1)

3. 自由論題報告募集要領

 ・E-mail件名:「自由論題応募(応募者氏名)」

 ・氏名, 所属, 職位, 住所, 電話番号

  (共同報告の場合は、氏名, 所属, 職位は報告者全員分)

 ・報告論題, キーワード(5つ程度), 報告要旨(200字程度)

日本管理会計学会2019年度年次全国大会準備委員会

準備委員長 伊藤和憲

2018年度年次全国大会開催記

■■日本管理会計学会2018年度年次全国大会(大会実行委員長:園田智昭氏)は、2018年8月27日(月)から29日(水)の3日間、慶應義塾大学三田キャンパスにて開催された。8月27日には、常務理事会、理事会、編集委員会その他各業務分担委員会の懇談会が開催された。28日は、午前9時30分から5会場に分かれ、計19の自由論題報告が行われた。午後には、特別講演、統一論題の報告と討論が行われた。その後、午後6時30分ごろから、慶應義塾大学三田キャンパス南校舎4階のザ・カフェテリアにて会員懇親会が開催され、会員の懇親を深めた。翌29日は、午前9時30分から5会場に分かれ、計17の自由論題報告が行われた。その後、スタディ・グループ中間・最終報告と産学共同研究グループ中間報告が行われた。最後に、シェアードサービスのセッションが開催された。なお、3日間にわたる参加者数は、247人(会員の方以外を含む)であった。
 
■■学会賞

文献賞:小林英幸氏(SBI大学院大学)『原価企画とトヨタのエンジニアたち』中央経済社.
奨励賞:天王寺谷達将氏(広島経済大学)「イノベーションと管理会計研究の今後の方向性―Robert Simonsの理論面での貢献の考察を足掛かりとして―」『管理会計学』第26巻第1号.
谷守正行氏(専修大学)「銀行アカウントフィーに関する管理会計研究―サブスクリプションモデルの適用可能性―」『管理会計学』第26巻第1号.
 
■■特別講演

水野一郎氏(関西大学)の司会のもと、朱衛東教授(中国安徽省合肥工業大学)による「グラウンデッド・セオリーとQCAに基づいた製造業の価値共創と業績評価についての研究―ハイアールを事例として―」というテーマで特別講演が行われ、質疑がなされた。

 

■■統一論題報告・討論「企業グループの管理会計」

中村博之氏(横浜国立大学)を座長とする統一論題報告が行われた。テーマは、「企業グループの管理会計」であった。中村博之座長による開題の後、次の4つの報告が行われた。

 

■統一論題報告(1):塘誠氏(成城大学)

「異文化マネジメントと管理会計上の課題―純粋持株会社、日系海外子会社の事例研究から―」

本報告では、以下のような構成で異文化マネジメントと管理会計上の課題が明らかにされた。まず、日本の純粋持株会社の動向が示された。つぎに、持株会社(的)組織におけるポートフォリオ・マネジメントの適用事例が検討された。最後に、グローバル・グループ管理についてのさまざまな取り組みが示され、分析された。

 

■統一論題報告(2):福田淳児氏(法政大学)

「事業会社横断的な関係を促進するメカニズム」

本報告の目的は、純粋持株会社制を採用した企業グループの事例に基づいて、事業会社横断的な取り組みを促進するためのメカニズムおよびその効果について議論することであった。複数の企業グループに対する事例研究の結果、事業会社間の横断的な関係を促進するメカニズムは多様であること、その基盤に社会資本があることなどが明らかにされた。

 

■統一論題報告(3):岡照二氏(関西大学)

「気候変動に伴う企業グループの環境管理会計の展望」

本報告は、以下のような内容で、気候変動に伴う企業グループの環境管理会計の展望が明らかにされた。まず、東洋経済新報社が発行する『CSR企業総覧』を用いて、日本企業の環境会計の現状が示された。つぎに、企業グループの環境会計に関する質問票調査の結果が示され、分析された。最後に、事例研究を用いて、環境会計からフルコスト会計・自然資本会計への展開が考察された。

 

■統一論題報告(4):宮元万菜美氏(株式会社情報通信総合研究所)

「グループ企業マネジメント―海外子会社のマネジメント手法の事例から―」

本報告の目的は、主にM&Aによる成長と海外事業の拡大を目指す企業のマネジメントにとって、必勝の組織デザインはあるのかという問いを明らかにすることであった。複数の企業に対する公開資料およびヒアリングによる調査の結果、どの組織にも「万能の」・「型」は、存在しないが、「強固なコントロールではなく、強固なエンゲージメント」のための組織デザインが必要といった結論が示された。

 

■統一論題討論

統一論題報告の後、続けて統一論題討論が行われた。中村博之座長の司会のもと、フロアからの質問に発表者が答えるかたちで討論が進められ、活発な意見交換が行われた。

 

■■スタディ・グループ中間・最終報告/産学共同研究グループ中間報告

スタディ・グループ中間・最終報告/産学共同研究グループ中間報告は、2つの会場で次のように行われた。

第1会場では、井岡大度氏(国士舘大学)の司会のもと、まず、伊藤和憲氏(専修大学)を研究代表者とする「医療機関におけるマネジメント・システムの導入とその成果に関する研究」のスタディ・グループ中間報告が行われた。つぎに、青木章通氏(専修大学)を研究代表者とする「サービス業における顧客マネジメント」のスタディ・グループ最終報告が行われた。

第2会場では、中川優氏(同志社大学)の司会のもと、まず、淺田孝幸氏(立命館大学)を研究代表者とする「グルーバル管理会計規準の可能性と展望に関する研究」の産学共同研究グループ中間報告が行われた。つぎに、宮地晃輔氏(長崎県立大学)を研究代表者とする「地域中小製造企業の管理会計・原価計算活用実態解明と経営改善への接続に関する研究」のスタディ・グループ最終報告が行われた。

 

■■シェアードサービスのセッション

シェアードサービスのセッションは、園田智昭氏(慶應義塾大学)の司会のもと、後藤アキ子氏(サントリービジネスシステム株式会社)、牧重徳氏(株式会社セキスイビジネスアソシエイツ)、赤尾法彦氏(日本郵政スタッフ株式会社)の3名が各社のシェアードサービスの取り組みを報告された。その後、園田氏を加えた4名でパネル討論が行われた。

 

妹尾剛好(中央大学)