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日本管理会計学会2022年度 企業研究会「サエラ薬局の経営管理」のご案内

 日本管理会計学会会員の皆様におかれましては、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。2022年度の年度末の時期ではございますが、本件企業研究会は、丹羽修二様(日本経営)のご協力により、対面実施の方法で開催いたします。参加ご希望の方は、下記申込方法により、メールにて申し込んでください。

日時:2023年3月3日(金)14:00~16:00
(報告14:05~15:25:80分:動画による店舗説明も含む:5分休憩後、質疑30分)当日は、13:30(30分前)から受付(参加者の確認)をさせていただきます。当日は、現地集合・現地解散です。

場所:サエラ薬局 本社会議室
大阪府大阪市中央区本町2-2-5 本町第2ビル3階・本社会議室

テーマ:「サエラ薬局の経営管理」
(コロナ禍の運営、在庫管理、人事管理、理念経営などについても取り上げていただけます。)

講師:株式会社サエラ 代表取締役社長 小池由久 様(補足説明は担当役員の皆様)
店舗が本社から離れているため、店舗見学は行わず、動画による店舗の状況説明

司会・進行:日本管理会計学会・企業研究会担当副会長 田坂 公(福岡大学)

本社への道順:別添の「本町第2ビル アクセス」を参照してください。

本町第2ビルの外観

 

 

 

 

 

申込方法
募集人数:30名以内(申し込み順)
募集期間:1/16(月)2/6(月)23:00まで
参加申込:本橋正美(明治大学)のメールアドレス motohashim21●gmail.com へメールで申し込んでください。●→@(アットマーク)に変えてください。メールの件名は「企業研究会参加申込(氏名)」とし、氏名、所属、メールアドレス、携帯電話番号を記入してください。メールの受信確認の本橋からの返信は翌日に行います。参加者(申込者)のリスト(氏名、所属、メールアドレス、携帯電話番号)を作成し、実施日の1週間前に丹羽修二様、小池由久様へ提出いたします。

 実施日当日は、時間に余裕を持ってご参加ください。また、当日キャンセル(不参加)はしないようにお願いいたします。万が一、当日不参加の場合でも、本橋から連絡はいたしませんので、ご了承ください。コロナ感染対策は各自で行ってください。なお、参加申込後、辞退される場合は、実施日前日3月2日(木)23:00までに上記の本橋宛にメールでお知らせください。

以上

PDFファイルは、こちら

2022年度第2回リサーチセミナー開催記

2022年11月27日
園田学園女子大学 北田 真紀 

 2022年度第2回リサーチセミナーは、成蹊大学を開催準備校(準備委員長:成蹊大学 伊藤克容氏)として、日本原価計算研究学会との共催で2022年11月27日(日)14時~16時にZoomを用いてオンラインで開催されました。当日の参加者は約44名であり、伊藤克容氏(成蹊大学)の司会により進められました。日本管理会計学会・副会長の椎葉淳氏(大阪大学)より開会の挨拶が、日本原価計算研究学会・会長の挽文子氏(一橋大学)より閉会の挨拶がありました。第1報告は増岡慶次氏(大阪市立大学経営学研究科、大学院生)および屋嘉比潔氏(大阪公立大学経営学研究科、大学院生)、第2報告は飯塚隼光氏(京都大学経営管理大学院特定助教)、佐藤晃史氏(京都大学経営管理大学院、大学院生)および飛田努氏(福岡大学商学部准教授)でした。また、討論者として、第1報告に対しては安酸建二氏(近畿大学)、第2報告に対しては清水孝氏(早稲田大学)から、それぞれ研究内容について講評と今後の研究の改善に役立つコメントが数多くなされました。いずれの研究報告におきましても、フロアからもコメント・質問が多くあり、活発な議論が行われました。

第1報告
報告者:増岡慶次氏(大阪市立大学経営学研究科,大学院生)
屋嘉比潔氏(大阪公立大学経営学研究科,大学院生)
討論者:安酸建二氏(近畿大学)
報告論題:保守主義推定におけるコスト下方硬直性の交絡効果:Banker et al.(2016)の追試

 第1報告では、保守主義の推定においてコスト下方硬直性が交絡要因となるかどうかを検証することを目的とし、Banker et al.(2016)の結果を、日本の上場企業のデータを用いた追試が行われました。また、経営者所有権と保守主義の関係を検証した Shuto and Takada(2010)の分析について、コスト下方硬直性をコントロールした保守主義推定モデルを用いて再現テストも行われています。
条件付保守主義の推定においてコスト下方硬直性が交絡要因となることを報告しているBanker et al.(2016)の追試を行うにあたり、Banker et al.(2016)の概要と分析モデルについて説明し、追試の意義を示しています。具体的には、Banker et al.(2016)の追試研究として18か国をサンプルに用いたFourati et al.(2020)があるが、このサンプルには日本が含まれていないということ、および次の2つの条件に基づきBanker et al.(2016)の修正モデルを用いた先行研究をカウントし精査しています。
1. Basu(1997)をベースとしたBanker et al.(2016)が提案する保守主義推定モデルを用いている。
2. その他の保守主義推定モデルを用いている場合で、Banker et al.(2016)を根拠として売上高の変化をコントロールしたモデルを用いている。
 日本の上場企業を対象とした追試より、保守主義の推定においてコスト下方硬直性をコントロールしなければ、保守主義の推定値に20%前後の上向きのバイアスがかかるという分析結果が得られています。この結果より、Banker et al.(2016)と同様に、保守主義の推定において交絡効果が生じていることが示されました。
またBanker et al.(2016)は、保守主義推定においてコスト下方硬直性の交絡効果をコントロールすることの重要性を示すために、経営者の株式保有比率と保守主義の関係について検証した Lafond and Roychowdhury(2008)の分析について、コスト下方硬直性をコントロールした保守主義推定モデルを用いて再検証していることが示されました。そこで、Lafond and Roychowdhury(2008)の結果について、分析内容を拡張し日本のデータを用いて再現し、経営者所有権と保守主義の関係について検証した Shuto and Takada(2010)の再現テストを実施しています。再現テストの結果、コスト下方硬直性をコントロールした場合に、Shuto and Takada(2010)の分析結果は頑健ではなくなるという知見が示されました。これらの結果より、日本のデータを用いた保守主義に関する研究において、コスト下方硬直性が交絡要因となる可能性を示唆しています。

第2報告
報告者:飯塚隼光氏(京都大学経営管理大学院特定助教)
佐藤晃史氏(京都大学経営管理大学院,大学院生)
飛田努氏(福岡大学商学部准教授)
討論者:清水孝氏(早稲田大学)
報告論題:希少な研究用資産を製造する中小企業のシンプル管理会計:単品・製造期間1年超の製品製造のマネジメント

 第2報告では、希少な研究用機械をオーダーメイドで製造する企業B 社においてどのような管理会計が構築されているのかということについて、社長へのインタビュー調査により明らかにされました。B 社では月次や年次を前提としたような経営計画や予算といった管理会計が構築されていないが、その代わりに資金繰りの管理とプロジェクトごとのコスト計算が行われていたことが示されました。また、新規受注を抱えていない状態にも関わらず、現場から設備投資を求められるような「ここは締めないと」といった場合には、平常時開示していない決算情報を従業員に共有し、会社の状況を伝える経営会議のような会議が不定期に開催されているという実態も事例により示されました。このような特徴をもつ一方で、資金繰りの管理とプロジェクトごとのコスト計算が行われていることが説明されました。資金繰りの管理については、B社の特徴的なビジネスモデルを理解し、長期的な観点に立てる金融機関と取引していることが事例とともに示されました。またB社においてプロジェクトの採算を大きく左右するものは材料費であることも説明がなされました。このような管理会計の仕組みを、おさえるべきところをおさえ、狙いが絞れたシンプルなものであるという視点から、シンプル管理会計ととらえられています。
 本研究の貢献として、2点示されています。第 1 に、先行研究 として挙げられた建築業との比較により、B社のケース分析を通して、通常管理会計が想定する年次、月次といった単位では管理しえないビジネスモデルにおける管理会計実践を明らかにされました。第 2 に、B 社で行われているようなシンプルな管理会計実践を成立させている要因は何であるかという点についても議論し明らかにされました。この点については討論においても活発な議論が繰り広げられました。

 

2022年度第2回(第63回)九州部会開催記

2022年11月26日(土)13:55~17:10

■■ 日本管理会計学会九州部会2022年度第2回(第63回)大会が、2022年11月26日(土)13:55~17:10に、長崎大学経済学部(長崎市)において、ハイブリッド方式(対面参加+オンライン参加)で開催された(準備委員長:小野哲氏)。今回の九州部会では、全国から約40名(うち対面出席15名)の研究者・学生の参加を得て、いずれの報告においても、フロアやオンラインとの活発な質疑応答が展開された。

■■ 第1部の特別講演では、塩塚武氏(株式会社不動技研ホールディングス代表取締役社⻑、長崎大学大学院経済学研究科修士課程修了)により、「不動技研グループの生き残り戦略」と題する講演が行われた。本講演では、不動技研グループ(プラント設計や自動車電子電装品開発、システム開発をはじめとした 4 社からなるエンジニアリング企業グループ)の生き残り戦略について、「事業環境の変化」に対して「M&A」「組織再編」「PMIプロジェクト」「自治体新電力への出資」「第7次中期経営計画」という観点から紹介された。
塩塚氏は、今後の課題として、ITソリューションのサブスクリプションサービスなどの新しい事業分野を進めていくための原価計算導入、さらにグループ全体の業績管理の必要性から、目標設定を各事業所に任せている現状の体制から、今後はホールディング全体で管理ができる体制へ転換していくことが必要であるとされた。最後に、塩塚氏はこれからの社会環境を踏まえ、不動技研グループが生き残るためには、M&Aや組織再編、人事管理も含めた業績管理、さらに経営の意思決定プロセスの構築を検討していくことが重要であると述べられた。

■■ 第2部の研究報告では、第1報告として、木村眞実氏(⻑崎大学准教授)より、「自動車解体業の原価計算−資源循環型社会に向けて−」と題する報告が行われた。本報告は、資源循環型社会の構築を経済戦略として進める「サーキュラーエコノミー(CE: Circular Economy)」を理解し、CEにおける自動車解体業の原価計算を検討・提案することを目的としていた。
 報告者は、CEが経済戦略として進められており、経済システム、財・サービスの考え方が転換しつつあるため、CEのもとでの自動車解体業に適した原価計算について示された。社会的なコストを含めた「費用収益分析」は、プロジェクトを選択するための、プロジェクトを評価する手法であるが、総費用・総便益・純便益の計算は、CEにおける自動車解体業の原価計算に適しており、効果としては最終処分場の延命効果、GHG排出量の削減等が想定されると提言された。


■■ 研究報告の第2報告として、大下丈平氏(下関市立大学特命教授)より、「19 世紀末フランス工業会計論の再検討−サン・シモン主義とコント実証主義−」と題する報告が行われた。本報告は、フランス工業会計論の研究に関して、サン・シモンの産業主義とオーギュスト・コントの実証主義をめぐる19世紀末の社会思想史の研究成果をもとにした分析視角から、当時の社会経済状況の中で醸成された社会思想がA.C.ギルボーらの「工業会計論」や会計学の一般原理の生成・発展に影響を与えたという仮説のもとに考察された。
 報告者は、渋沢栄一を契機として、ギルボー「工業会計論」とレオティ=ギルボー「勘定科学論」に関して、その展開と意義を提言されたうえで、さらなる問題提起として、科学的・原理的思考と動態論との関連、動態論と統一的原価計算との関連、H.ブッカンの統合モデルを提案する能力と勘定の結合性の関連を今後の課題として示された。

水野真実(熊本学園大学)

日本管理会計学会2022年度第2回関西・中部部会開催記

2022年11月21日 篠田朝也(岐阜大学)

 日本管理会計学会2022年度第2回関西・中部部会が、2022年11月19日(土)に岐阜大学を主催校として開催された。今回の部会は、Web(Zoom)を活用したオンライン開催となった。
 部会の開催にあたり、まず、部会準備委員長から部会当日のプログラムや進行方法に関する説明があり、続いて、皆川芳輝関西・中部部会長から開会のご挨拶をいただいた。
 その後、プログラムにしたがって、特別講演1件および自由論題報告3件の発表がなされ、いずれにおいても活発な質疑応答が行われた。参加者は42名であった。以下、講演、各報告の概要を簡単に紹介する。

第一部〔特別講演〕 司会:篠田朝也(岐阜大学)
講演者:平工忠史氏(川崎重工業株式会社)
講演テーマ:「川崎重工業におけるエンジニアから見たROIC経営の現状について」

 平工氏の講演の概要は、以下のとおりである。
 まず、講演の前半では、川崎重工業における事業の歴史的経緯について紹介いただいた。同社が多角化経営を推進しながらも、2000年前後に連続赤字に直面した際に、経営の立て直しを図るためROICを導入しこと、また、その後さらにD/Eレシオの目標を打ち出したことなどが功を奏し、財務体質の改善が実現できたことなどについて説明いただいた。
 講演の後半では、前半の話を踏まえたうえで、航空機製造のような長期スパンの製造業態では、長期を見据えた戦略的ビジネスモデルが要求されるという点を強調され、技術の優位性だけでなく、ビジネスとしての優位性の構築を目指すべきであり、そのためにはエンジニアも巻き込んだ、ビジネス・会計教育の重要であると主張された。実際に、航空機製造に関わる海外メーカーは、グローバルな規模でサプライチェーン全体に目を向け、キャッシュフローの最適化を図りながら、効率的に稼ぐ戦略的なビジネスモデルを構築していることを、いくつかの事例を交えながら紹介された。さらに、平工氏自身が岐阜大学航空宇宙生産技術開発センターで携わられているビジネスの視点を盛り込んだエンジニア向けの教育実践ついて言及されながら、わが国の製造業においても、ビジネス感覚を併せ持つエンジニアを育成することが急務となっている点について指摘された。

第二部〔自由論題報告〕 司会:篠田朝也(岐阜大学)
第1報告
報告者:野瀬康晃氏(名古屋大学大学院経済学研究科・大学院生)
論題:「工場の改善活動とその評価について」

 野瀬氏の報告は、工場における業績管理指標が効率性に偏重していることにより、余力創出の効果が適切に評価されていないことに注目したものであった。そもそも、生産現場では、不確実性に対応しながら生産量の変動に対応することが求められているため、余力創出活動に注目する意義がある。そこで野瀬氏は、不確実性の拡大に素早く対応するための応答能力に焦点をあてる必要性について言及するとともに、量的な余力の把握だけではなく、従業員の技能向上や工程の平易化のような質的な余力創出の把握の重要性について検討を深めた。
 検討の結果、野瀬氏は、創出された余力が活用されなければ効率性の向上には寄与しないが、固定資源の増加の抑制には寄与することから、余力の創出にはコストビヘイビアの下方硬直性を克服する可能性があると指摘した。あわせて、応答能力の測定や経済性効果の実証を試みることが将来の研究課題であることにも言及した。

第2報告
報告者:横田遼太朗氏(名古屋大学大学院経済学研究科・大学院生)
論題:「フロントローディングが原価企画に及ぼす影響~自動車部品サプライヤーのA社を例に挙げて~」

横田氏は、ある自動車部品サプライヤー(以下A社)を調査対象とし、A社で実施された原価企画制度(A社では、商品企画制度と呼ばれている)の見直しが、原価企画の逆機能に対して与えた影響について、A社の各部署の関係者7名に対するアンケート調査の内容を分析することで明らかにしようと試みた。
 A社の制度の見直しは、目標設定や部門間協業の強化や早期化、情報共有のための社内の透明性の向上などを伴うものであった。横田氏は、このようなA社の制度の変化を原価企画のフロントローリングと位置づけた。アンケート調査の分析結果から、このようなフロントローリングを伴う変化を受けて、生産技術部門や調達部門など、原価企画の後工程を中心に会社全体としては逆機能が減少した一方で、技術部門や原価部門のような原価企画の前工程では制度変化以前より疲弊が強まったことなどを明らかにした。

第3報告
報告者:大浦啓輔氏(立命館大学)
論題:「バイヤー・サプライヤー間における整合的なMCSの設計」

 大浦氏は、近年注目を集める、組織間管理会計に関連するトピックとして、バイヤー・サプライヤー間における整合的なMCS(マネジメント・コントロール・システム)の設計について報告をされた。この報告の主な課題は、企業間取引において、サプライヤーはいかに自社のMCSを適応的に設計しているのかというものであった。
 大浦氏は、先行研究のレビューを踏まえ、取引コスト理論と社会的交換理論に基づいて、特定のバイヤーに対する依存度、SCM(サプライチェーン・マネジメント)の実践、および、MCSの適応的な設計のあいだの関係性をとらえた分析フレームワークを提示した。そのうえで、日本の上場製造業の事業部長向けに実施した郵送質問票調査の結果に基づく定量的な分析結果から、特定のバイヤーに強く依存しているサプライヤーほどMCSを適応的に設計して依存度を強める傾向にあること、さらに、バイヤーによるSCM実践がその影響を媒介していることなどを明らかにした。
 なお、大浦氏には、在外研究先のベルギーから報告いただいた。このような報告が可能となったこともオンライン開催の利点であった。

 

 以上のように、自由論題では、製造業が強い東海地区らしい「製造業の管理会計」に関連する研究報告が3件発表され、各報告において質疑応答なども活発に行われた。