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2019年度第1回関西・中部部会 自由論題報告者の募集について

日本管理会計学会会員各位

日本管理会計学会 第35回(2019年度第1回)関西・中部部会を
2019年5月18日(土)に近畿大学東大阪キャンパスにて開催します。

つきましては、自由論題報告の報告者を募集いたします。
報告を希望される方は、下記の要領をご覧のうえ、応募してください。
なお、応募者多数の場合、調整させていただくことをご了承ください。

開催日時:2019年5月18日(土) 13時30分開始(予定)
会場:近畿大学東大阪キャンパス
交通アクセス:近鉄大阪線 長瀬駅から徒歩約10分

<応募要領>
1.締切日:2019年4月12日(金)
2.応募方法:下記を明記のうえ、メールにて応募してください。
(1)報告タイトルと概要(200~300字程度)
(2)氏名
(3)所属機関
(4)職名
(5)連絡先メールアドレス
(6)利用機器など
3.応募先:近畿大学経営学部 安酸建二

kyasukata[at]bus.kindai.ac.jp
([at]を半角の@に変更してください)

日本管理会計学会2018年度第3回フォーラムおよび第2回関西・中部部会 開催記

■■ 日本管理会計学会2018年度第3回フォーラムおよび第2回関西・中部部会(準備委員長:山本浩二氏)が、2018年11月17日(土)に大阪学院大学(大阪府吹田市)にて開催された。石田秀樹氏(元 京セラ(株)常務取締役・経営管理本部長)の特別講演の他、自由論題4件の報告が行われた

■■ 特別講演として、石田秀樹氏より、「アメーバ経営の原点と制約理論の展開 - あたらしい経営会計の展望」と題する講演が行われた。石田氏は、長く京セラ(株)において、米国現地法人へのアメーバ経営の導入や、財務会計や管理会計との調整システムの構築など、アメーバ経営に携わってこれられた旨の紹介が水野一郎会長からなされた。講演では、まず、京セラにおけるアメーバ経営の原点として、時間あたり価値計算が作り出された経緯の説明がなされた。特に、当時の京セラの状況などを踏まえた説明は臨場感あふれるものであったが、時間あたり価値計算が、あくまでも生産現場の改善のために生み出されたものであることが説明された。
 その後、京セラを離れられた後、(株)ビーイングにおいて、アメーバ経営と制約理論の結合による新たな会計システムの設計を試みられ、「エッジ会計」についての提案がなされた。エッジは、新技術等企業の競争力の源泉であり、この目的は、生産現場のイノベーションを向上させるためである。まさに、京セラがアメーバを生み出した、その経緯と一致するものであり、そのような会計システムが、今後の管理会計において必要であることを述べられ、講演を締めくくられた。

■■ 自由論題 第1報告は、卜志強氏(大阪市立大学)より、「中国企業におけるアメーバ経営の導入と展開」と題する報告が行われた。まず、中国における日本的経営手法の導入の状況について説明がなされ、アメーバ経営についても導入されてきている旨の説明がなされた。次に、実際の事例として、製造業、サービス業から、それぞれ2社のアメーバ経営の状況について説明された。まず、製造業として、宝鋼金属へのアメーバ経営の導入事例について説明された。次に、サービス業として、銀座集団のホテルへの導入について説明された。いずれも業績の向上だけでなく、従業員の意識の向上などが見られる成功事例とのことであった。一方で、中国におけるアメーバ経営の導入については、アメーバ経営への理解不足や、短期的な成果を追求するなどの原因から、失敗した事例を多くみられるとのことで、アメーバ経営の導入には、経営環境や企業特質などを考慮しなければならないことが説明された。

■■ 第2報告は、古田隆紀氏(大阪学院大学)より、「京セラフィロソフィに関する研究」と題する報告が行われた。まず、近年のアメーバ経営に関する研究においては組織文化に関する記述がないことが研究の動機である旨、説明がなされた。その上で、本報告では、「京セラフィロソフィは、組織文化を共有・伝承するための手段である」という仮説を示し、その検証をおこなった。その方法として、2つの参考文献をもとに、京セラのもつ組織文化を抽出し、アメーバ経営のシンボル要素と、京セラフィロソフィと組織文化の関係を明示していくことで、アメーバ経営と京セラフィロソフィとが、お互いに作用し合う関係であり、それを通して組織文化が醸成されていくと考えられ、これにより、先に示した仮説の検証をおこなった旨の説明がなされた。

■■ 第3報告は、中野延市氏((株)ナカノモードエンタープライズ)より、「原価企画思考の適用領域拡大―おせち『板前魂』における原価企画」と題する報告が行われた。まず、おせち料理という高価な季節商品のみを取り扱う専門店の経営におけるビジネスモデルについての説明がなされた。その際、自社企画製品のみを取り扱うため、高い付加価値をもつ工程として、商品開発と配送があり、特に商品開発において、高品質・低価格の商品を提供するための原価企画がおこなわれていることが説明された。低価格化を目指すために、コストを詳細に分類し、そのコストドライバーを分析し、対象となるリソースを改善していくことで、実現していること等が説明された。

■■ 第4報告は、佐藤正隆氏(慶應義塾大学大学院生)より、「ERPのシステム連携とその影響について-今後の改訂に対する意思決定の考察-」と題する報告が行われた。ERPの導入における失敗事例として、機能を分けて導入することで、システムの連携度が低いことがある旨、説明された。そのため、ERPの導入においては、システムの連携度が重要な要素であり、そのことを東証一部上場企業と対象に質問票調査をおこない、機能を一括導入する企業はシステム連携度が高いことを統計解析により確認をおこなった。また、その上で、ケースを紹介し、一括導入により、トータルコストが削減できること、サプライチェーン全体の情報管理し易いことなどが明らかとなり、システム連携が重要な要素であることの説明がなされた。

後藤晃範(大阪学院大学短期大学部)

2018年度年次全国大会開催記

■■日本管理会計学会2018年度年次全国大会(大会実行委員長:園田智昭氏)は、2018年8月27日(月)から29日(水)の3日間、慶應義塾大学三田キャンパスにて開催された。8月27日には、常務理事会、理事会、編集委員会その他各業務分担委員会の懇談会が開催された。28日は、午前9時30分から5会場に分かれ、計19の自由論題報告が行われた。午後には、特別講演、統一論題の報告と討論が行われた。その後、午後6時30分ごろから、慶應義塾大学三田キャンパス南校舎4階のザ・カフェテリアにて会員懇親会が開催され、会員の懇親を深めた。翌29日は、午前9時30分から5会場に分かれ、計17の自由論題報告が行われた。その後、スタディ・グループ中間・最終報告と産学共同研究グループ中間報告が行われた。最後に、シェアードサービスのセッションが開催された。なお、3日間にわたる参加者数は、247人(会員の方以外を含む)であった。
 
■■学会賞

文献賞:小林英幸氏(SBI大学院大学)『原価企画とトヨタのエンジニアたち』中央経済社.
奨励賞:天王寺谷達将氏(広島経済大学)「イノベーションと管理会計研究の今後の方向性―Robert Simonsの理論面での貢献の考察を足掛かりとして―」『管理会計学』第26巻第1号.
谷守正行氏(専修大学)「銀行アカウントフィーに関する管理会計研究―サブスクリプションモデルの適用可能性―」『管理会計学』第26巻第1号.
 
■■特別講演

水野一郎氏(関西大学)の司会のもと、朱衛東教授(中国安徽省合肥工業大学)による「グラウンデッド・セオリーとQCAに基づいた製造業の価値共創と業績評価についての研究―ハイアールを事例として―」というテーマで特別講演が行われ、質疑がなされた。

 

■■統一論題報告・討論「企業グループの管理会計」

中村博之氏(横浜国立大学)を座長とする統一論題報告が行われた。テーマは、「企業グループの管理会計」であった。中村博之座長による開題の後、次の4つの報告が行われた。

 

■統一論題報告(1):塘誠氏(成城大学)

「異文化マネジメントと管理会計上の課題―純粋持株会社、日系海外子会社の事例研究から―」

本報告では、以下のような構成で異文化マネジメントと管理会計上の課題が明らかにされた。まず、日本の純粋持株会社の動向が示された。つぎに、持株会社(的)組織におけるポートフォリオ・マネジメントの適用事例が検討された。最後に、グローバル・グループ管理についてのさまざまな取り組みが示され、分析された。

 

■統一論題報告(2):福田淳児氏(法政大学)

「事業会社横断的な関係を促進するメカニズム」

本報告の目的は、純粋持株会社制を採用した企業グループの事例に基づいて、事業会社横断的な取り組みを促進するためのメカニズムおよびその効果について議論することであった。複数の企業グループに対する事例研究の結果、事業会社間の横断的な関係を促進するメカニズムは多様であること、その基盤に社会資本があることなどが明らかにされた。

 

■統一論題報告(3):岡照二氏(関西大学)

「気候変動に伴う企業グループの環境管理会計の展望」

本報告は、以下のような内容で、気候変動に伴う企業グループの環境管理会計の展望が明らかにされた。まず、東洋経済新報社が発行する『CSR企業総覧』を用いて、日本企業の環境会計の現状が示された。つぎに、企業グループの環境会計に関する質問票調査の結果が示され、分析された。最後に、事例研究を用いて、環境会計からフルコスト会計・自然資本会計への展開が考察された。

 

■統一論題報告(4):宮元万菜美氏(株式会社情報通信総合研究所)

「グループ企業マネジメント―海外子会社のマネジメント手法の事例から―」

本報告の目的は、主にM&Aによる成長と海外事業の拡大を目指す企業のマネジメントにとって、必勝の組織デザインはあるのかという問いを明らかにすることであった。複数の企業に対する公開資料およびヒアリングによる調査の結果、どの組織にも「万能の」・「型」は、存在しないが、「強固なコントロールではなく、強固なエンゲージメント」のための組織デザインが必要といった結論が示された。

 

■統一論題討論

統一論題報告の後、続けて統一論題討論が行われた。中村博之座長の司会のもと、フロアからの質問に発表者が答えるかたちで討論が進められ、活発な意見交換が行われた。

 

■■スタディ・グループ中間・最終報告/産学共同研究グループ中間報告

スタディ・グループ中間・最終報告/産学共同研究グループ中間報告は、2つの会場で次のように行われた。

第1会場では、井岡大度氏(国士舘大学)の司会のもと、まず、伊藤和憲氏(専修大学)を研究代表者とする「医療機関におけるマネジメント・システムの導入とその成果に関する研究」のスタディ・グループ中間報告が行われた。つぎに、青木章通氏(専修大学)を研究代表者とする「サービス業における顧客マネジメント」のスタディ・グループ最終報告が行われた。

第2会場では、中川優氏(同志社大学)の司会のもと、まず、淺田孝幸氏(立命館大学)を研究代表者とする「グルーバル管理会計規準の可能性と展望に関する研究」の産学共同研究グループ中間報告が行われた。つぎに、宮地晃輔氏(長崎県立大学)を研究代表者とする「地域中小製造企業の管理会計・原価計算活用実態解明と経営改善への接続に関する研究」のスタディ・グループ最終報告が行われた。

 

■■シェアードサービスのセッション

シェアードサービスのセッションは、園田智昭氏(慶應義塾大学)の司会のもと、後藤アキ子氏(サントリービジネスシステム株式会社)、牧重徳氏(株式会社セキスイビジネスアソシエイツ)、赤尾法彦氏(日本郵政スタッフ株式会社)の3名が各社のシェアードサービスの取り組みを報告された。その後、園田氏を加えた4名でパネル討論が行われた。

 

妹尾剛好(中央大学)

 

2018年度第2回(第55回)九州部会開催記

平成30年10月22日 足立俊輔 (下関市立大学)

 ■■ 日本管理会計学会2018年度第2回(第55回)九州部会が、2018年10 月20 日(土)に長崎県立大学佐世保校(佐世保市)にて開催された(準備委員長:宮地晃輔氏)。今回の九州部会では、関西・中国・九州からご参加をいただき、15名近くの研究者及び学生の参加を得て、活発な質疑応答が展開された。また、管理会計のほかに財務会計の分野の研究者の参加によって、分野横断的な議論が研究会や懇親会で交わされた。

■■ 第1 報告は、吉川晃史氏(熊本学園大学)・吉本政和氏(株式会社ヒライ)により、「アメーバ経営システムの向上と現場情報との接続―株式会社ヒライの事例―」と題する報告が行われた。本報告は、京セラ・アメーバ経営をはじめミニプロフィットセンターを採用した企業が、現場レベルでの生産管理・営業管理などの「行動コントロール」と、会計情報を用いた「結果コントロール」がどのような関係を有しているのか、さらにリーン生産方式を導入した場合に両者はどのような関係を有するのかについて、株式会社ヒライ(弁当・惣菜製造)のアメーバ経営の導入事例を用いて明らかにしようとしたものである。
 ヒライでは、セル生産方式(一人で全行程を完了させる生産方式)やスペアライン方式(2ライン生産方式)を導入して改善が進んでいるものの、「時間あたり採算」の改善には作業工程(煮炊工程・盛合工程)で差が生じていた。報告者は、ヒライでは行動コントロールとしてのセル生産方式などの改善成果が強調されているものの、結果コントロールとしてのアメーバ経営の「時間当たり採算」も併用する必要があると結論づけている。

■■ 第2報告は、庵谷治男氏(長崎大学)より、「アメーバ経営の部門別採算制度と利益配分」と題する報告が行われた。本報告は、アメーバ経営導入に関する研究の増加を背景に、京セラとアメーバ経営導入組織ではアメーバ経営の仕組みに相違が見られることに着目して、社内売買の仕組みがアメーバ経営に与える影響を「(仕事の)相互依存性」の視座に基づき探求したものである。なお本報告は、報告者の著書『事例研究 アメーバ経営と管理会計』2018年3月(中央経済社)に関連させたものである。
 報告者によれば、社内売買の種類は、京セラ方式、元請方式、協力対価方式に区分される。報告者は、京セラ方式(特に忌避宣言なし)は、財のフローとストックの管理を各アメーバが行うため、アメーバ間に情報が分散し、財のフローが連続的であるため、アメーバ間の相互依存性が極めて強く、協働意識を強めていると解釈している。一方で、元請方式や協力対価方式では、財のフローの管理を元請けが行うため(例えば、発注量や在庫数量の調整など)、元請けへの依存意識が強まっている。報告者は、部門間の相互依存性に個別の特徴があることから、全員参加経営の実現には異なる論理展開が存在する可能性を示唆している。

■■ 第3報告は、黒岩美翔氏(長崎県立大学)より、「全社的リスク・マネジメントの展開についての一考察―WBCSDの報告書を中心として―」と題する報告が行われた。本報告は、マネジメント・コントロール及びガバナンスの要素を包含するCOSO「内部統制」やCOSO・ERMが、多様なステークホルダーを巻き込み「持続可能な組織」を実現するためにどのように発展するべきなのかについて、COSOとWBCSD(World Business Council for Sustainable Development:持続可能な開発のための世界経済人会議)の共同ガイダンスが2018年に公表された意義から明らかにしようとしたものである。
 共同ガイダンスは、経営者をはじめとするサステナビリティ・マネジャーやリスク・マネジャーにESG(環境・社会・ガバナンス)関連リスクをマネジメントするための具体的なアプローチを提供している。例えば、気候変動や水不足などのメガトレンドが企業に与える影響を戦略上認識することや、ESG関連リスクとその対応についてサステナビリティ報告書や統合報告書を通して社外ステークホルダーに伝達させることなどが明記されている。報告者は、共同ガイダンスに従うことで、経営者のリスク・マネジメント活動を取締役会が監視でき、ステークホルダーの利益追求を確実にさせると同時に、経営者を支援するガバナンス体制が構築されると結論づけている。

■■ 第4報告は、水野一郎氏(関西大学、日本管理会計学会長)より、「CSVと付加価値概念の再考―人本主義管理会計の展開を目指して―」と題する報告が行われた。本報告は、ポーター=クラマーのCSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)の概念の提案を受け、ネスレやキリンビールなどのグローバルビジネスを展開する企業がCSVを意識した経営を実践していることをあげ、CSV経営は魅力的な提案であるものの、その測定や尺度も問題については議論していないことに着目し、CSVに相応しい価値尺度として付加価値概念を用いたCAV(Creating Added Value:付加価値創造)の必要性を指摘したものである。
 報告者は、人本主義経営(人を大切にする経営)の経営理念を実践している企業として、京セラや出光興産、伊那食品工業をあげ、人本主義経営はCSVと結びつき、CSVの測定や経済的尺度としてCAVが経営指標に相応しいのではないかとして、CAVを中核にした人本主義管理会計の展開が期待されるとまとめている。

■■ 報告会終了後、開催校の事務局の計らいにより、横断幕を用いた記念撮影を行った。その後、開催校のご厚意により、大学生協にて懇親会が開催された。研究会を含め、懇親会においても実りある研究交流の場となった。
 次年度の九州部会は、2019年5月に九州産業大学にて開催予定である。