日本管理会計学会2023年度第1回企業研究会「株式会社亀山電機の経営管理及びバランス ト・スコアカード(BSC)」のご案内

 日本管理会計学会会員の皆様におかれましては、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。2023年度第1回企業見学会 「株式会社亀山電機の経営管理及びバランスト・スコアカード(BSC)」を開催させて頂きます。参加ご希望の会員の皆さまは、下記申込方法によりメールにてお申込みをお願い致します。
 株式会社亀山電機様はバランスト・スコアカード(BSC)を導入した経営管理を約8年、行われており、また、当学会九州部会において同社北口功幸会長兼社長による特別講演会を開催して頂き、その内容を管理会計学にご投稿頂くなど、本学会の会員の先生方の中には馴染みのある企業でもあります。
 同社は、JR長崎駅より徒歩16分程度、タクシーでワンメーター程度の比較的近距離にございます。

                   記
1.開催日時:2023年8月4日(金)13:30~15:30
北口功幸会長兼社長からの亀山電機経営管理及びバランスト・スコアカード(BSC)の説明(動画による会社説明を含む)、質疑応答等を予定しています。
当日は、13:00(30分前)から受付(参加者の確認)をさせていただきます。
当日は、現地集合・現地解散を予定しています。

2.開催場所:
株式会社亀山電機本社会議室(〒852-8002 長崎県長崎市弁天町3番16号)
株式会社亀山電機へのアクセスマップ
 亀山電機所在地 | 株式会社亀山電機 (kameyama-grp.co.jp)

【長崎空港からお越しになる場合】
バス・・・長崎駅前行のバスに乗り「長崎駅」で下車(約45分)、バス・タクシー又は徒歩
タクシー・長崎空港から約45分
【長崎駅からお越しになる場合】
バス・・・長崎駅から福田、立神、西泊・神の島行きのバスに乗り「稗田橋(ひえだばし)」で下車(約5分)、バス停から徒歩約1分
タクシー・長崎駅から約4分
徒歩・・・長崎駅から約16分

3.企業研究テーマ:
「株式会社亀山電機の経営管理及びバランスト・スコアカード(BSC)」
講師:株式会社亀山電機代表取締役会長兼社長 北口功幸氏

<株式会社亀山電機ご参考URL>
長崎から世界へ。制御設計/ソフトウェア/WEB | 株式会社亀山電機 (kameyama-grp.co.jp)

06.pdf (sitejama.jp)

4.募集人数及び申込方法
(1)   募集人数:15名以内(申し込み順)
(2)   申込締切日:7月24日(月)まで
(3)   参加申込先:宮地晃輔あて(長崎県立大学)のメールアドレス   
  miyaji●sun.ac.jp へメールで申し込んでください。●→@(アットマーク)に変えてください。メールの件名は「2023年第1回企業研究会参加申込(氏名)」とし、ご氏名、ご所属、メールアドレス、携帯電話番号を記入してください。メールの受信確認の宮地からの返信を行います。

5.その他
 実施日当日は、時間に余裕を持ってご参加ください。また、当日キャンセル(不参加)は避けて頂きますようお願いいたします。

2023年度第1回リサーチセミナー参加者募集について

日本管理会計学会会員 各位

平素より学会の活動にご協力をたまわり誠にありがとうございます。第1回リサーチセミナーの開催概要が決定されましたので、
会員の皆様にご報告申し上げます。

開催日時:2023年6月24日(土)13時30分開始 16時10分終了予定
開催方法:対面(Zoomによる中継も予定。ただし,質疑などは対面が優先されます。)
場 所:近畿大学東大阪キャンパス 21号館3階 313教室
会費:無料
参加申込方法:件名を「リサーチセミナー参加希望(対面 or Zoom)」として,下記の内容をメール本文に記載の上, shima[at]bus.kindai.ac.jp ([at]→@)までお申し込みください。

・お名前
・ご所属
・連絡先メールアドレス
・対面 or Zoomでのどちらの参加希望か

Zoomでの参加をご希望の方には、後日ZoomのURLをお送りします。

<概要>
【第1報告】13:35-14:20(報告時間25分,討論20分)
報告タイトル: 戦略レベルでの統合思考の推移とその規定要因
概要: 企業のサステナビリティマネジメントにおいて、統合思考への関心が高まっている。非財務情報開示の基準設定団体がIFRS財団に集約されるプロセスで、統合報告書ガイドラインを作成していたIIRCもそこに含まれるようになった。このプロセスで統合報告書の重要性が低下することが予想されるが、IFRS財団の代表も述べているように統合思考は重要なコンセプトとして位置付けられ続けている。そこで本稿では、日本企業の統合報告書およびサステナビリティ報告書に開示されている経営トップメッセージのテキストデータを対象にトピックモデリングによって統合思考を評価し、その規定要因を分析した。
報告者:北田皓嗣先生(法政大学)
    北田智久先生(近畿大学)
    木村麻子先生(関西大学)

討論者:吉田政之先生(尾道市立大学)

【第2報告】14:30-15:15(報告時間25分,討論20分)
報告タイトル: 日本企業における役員の兼任と機密コスト
概要: 本研究は取締役会の役員の兼任と機密コストとの関係性について検証するものである。役員の兼任のような社会的ネットワークによって、情報がスピルオーバーし、学習の促進につながったり機密情報の流出につながったりすることが指摘されている。一方で、日本企業における役員の兼任の影響に関する実証研究は乏しい。そこで本研究では、アーカイバルデータを用いて役員の兼任している企業を特定し、その影響について分析を行う。

報告者: 吉田政之先生(尾道市立大学)
     井上謙仁先生(近畿大学)
     濵村純平先生(桃山学院大学)
     早川翔先生(流通科学大学)   

討論者: 北田智久先生(近畿大学)

【第3報告】15:25-16:10(報告時間25分,討論20分)
報告タイトル:中期経営計画での経営目標がコスト変動に与える影響に関する実証研究
概要:中期経営計画にはさまざまな役割が期待され、活用されている。さらに、中期経営計画の策定目的として最も重視されることは,中長期的な経営目標を設定するという役割である。本研究の目的は、中期経営計画での経営目標に焦点を当てて、中期経営計画が資源調整に関する経営者の意思決定に与える影響を明らかにすることにある。資源調整に関する意思決定は、当該事業年度のコスト変動に反映される。そのため、本研究は中期経営計画での経営目標が資源調整に関する意思決定に影響を与え、この帰結としてコスト変動が観察されるかどうかについて分析を行う。分析の結果、中期経営計画での経営目標がコスト変動に影響を与えることを示している。

報告者:張蘊涵氏(近畿大学商学研究科博士後期課程)
討論者:島吉伸先生(近畿大学)

以上

日本管理会計学会 2023年度 第2回フォーラム 開催のお知らせ

日本管理会計学会会員 各位

謹啓 時下ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
 さて、日本管理会計学会2023年度第2回フォーラムを、7月29日(土)に愛知学院大学名城公園キャンパスを会場に下記の要領にて開催致します。ご出席を賜りますようお願い申し上げます。当日は、懇親会も準備してお待ちしておりますので、ご出席を賜りますようお願い申し上げます。
 なお、ご出席予定の先生におかれましては、準備の都合上、お手数をおかけいたしますが、下記の申込方法で事前にメールにて7月20日(木)までに、お申し込みください。

申込方法

  1. 連絡先:飯島康道(愛知学院大学経営学部)
  2. メールアドレス:iijima-y[at]dpc.agu.ac.jp  ([at]→半角の@に変更してください)
  3. メールの件名を「第2回フォーラム参加希望」として、①お名前、②ご所属、③懇親会の参加の有無、④ご連絡先のメールアドレスをメール本文にご記入くださいますようお願い申し上げます。

謹白

開催日:2023年7月29日(土) 14:00~16:30
会場:愛知学院大学名城公園キャンパス アガルスタワー10階 アガルスホール
〒462-8739愛知県名古屋市北区名城3-1-1(地下鉄名城線 名城公園駅出口2 徒歩2分)
交通アクセス | 愛知学院大学 (https//agu.ac.jp/access/)
名城公園キャンパス  (https//agu.ac.jp/pdf/guide/campus/)
名城公園キャンパス アガルスタワー(https//agu.ac.jp/pdf/guide/campus/m_ agalstower.pdf)

14:00~14:05  学会長挨拶
基調講演 14:05~14:55  
  司会:中央大学 渡辺岳夫先生
  基調講演「多様性を活かした企業変革:日産と横浜マリノスの再生」
  講演者:嘉悦 朗(かえつ あきら)氏(日産自動車㈱元執行役員・
  横浜マリノス㈱元代表取締役・元Jリーグ理事)

第1報告 15:05~15:45 (報告:30分 質疑:10分)
  司会:南山大学 窪田祐一先生
  報告テーマ:「組織間での結果・行動・社会コントロール:加工組立型
        企業の実態調査」
  報告者:名古屋大学 坂口順也先生

第2報告 15:50~16:30 (報告:30分 質疑:10分)
  司会:南山大学 窪田祐一先生
  報告テーマ:「コロナ禍における航空業界の現状と課題-レベニュー
        マネジメントの視点から」
  報告者:名古屋外国語大学 原 慎之介先生

懇親会 16:50~18:20       くすのきテラス2階  猿カフェ

参加費:2千円 懇親会費:3千円(釣銭がでないようにお願いします

2023年度第2回フォーラム開催校委員長 飯島康道

2023年度年次全国大会 開催のご挨拶

大会準備委員長 東北工業大学 川島和浩

 日本管理会計学会会員の皆様におかれましては,ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
 このたび,2023年度年次全国大会が,8月28日(月)~30日(水)の日程で,東北工業大学八木山キャンパスにおいて開催されることになりました。先日の5月8日(月)以降,政府の対応として,新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類感染症に変更されました。これに伴い,東北工業大学においては,マスクの着用は個人の判断を尊重することとし,通常の学校運営・勤務体制に戻したところです。新型コロナウイルス感染症は完全に収束したとは言えませんが,会員の皆様のご理解とご協力を賜りながら,以下にご案内の「日本管理会計学会2023年度年次全国大会スケジュール予定」にもとづき,対面形式による大会開催で準備を進めております。
 統一論題のテーマは,「中小企業管理会計の現状と課題」です。また,スタディ・グループ報告および産学共同研究グループ報告が予定されております。さらに,東北・北海道地域での全国大会は2001年に開催された東北大学以来となることから,特別講演会では,地元の七十七銀行の子会社で,七十七ヒューマンデザイン株式会社代表取締役の庄司大志氏のご講演を予定しております。
 自由論題報告の募集に際しては,会員の皆様から共同研究19組を含む37組のご応募を頂戴いたしました。8月10日(木)を締切としてフル・ペーパーのご提出をお願い申し上げます。詳細の大会プログラムについては,7月中旬を目途に郵送させていただく予定です。
 大会準備委員会一同,万全の準備を進める所存でございます。多くの会員の皆様のご参加を賜りますよう,何卒,よろしくお願い申し上げます。

日本管理会計学会2023年度年次全国大会スケジュール予定
会場:東北工業大学八木山キャンパス(仙台市太白区八木山香澄町351号)

【大会1日目】
8月28日(月)
14:00~15:20 常務理事会
15:30~16:50 理事会
17:00~18:00 各種委員会

【大会2日目】
8月29日(火)
 9:00~17:00 受付
 9:30~10:35 自由論題報告(1):報告25分,質疑5分  ※5会場 最大10報告
10:45~11:50 自由論題報告(2):報告25分,質疑5分  ※5会場 最大10報告
11:50~12:40 昼食休憩
12:40~13:50 会員総会
14:00~15:00 特別講演会 
 ご講演者: 庄司大志氏(七十七ヒューマンデザイン株式会社代表取締役)
      「地域金融機関が見た中小企業の軌跡―震災,コロナ,その先へ―」
15:10~16:25 スタディ・グループ中間報告 報告25分,質疑10分
 第1報告:研究代表者 三矢 裕先生(神戸大学大学院)
      「クライシス時のマネジメント・コントロール―コロナ禍で管理会計は
       どのような役割を果たしたのか―」
 第2報告:研究代表者 濱村純平先生(桃山学院大学)
      「経営者報酬を利用した経営者の業績評価に関する理論的・実証的研究」
16:35~18:15 統一論題報告 解題10分,報告30分
 統一論題テーマ「中小企業管理会計の現状と課題」
 ご登壇者:山口直也先生(青山学院大学)座長
 第1報告:牧野功樹先生(拓殖大学)
      「中小企業における管理会計導入による経済的帰結」
 第2報告:飛田 努先生(福岡大学)                
      「中小企業経営者のアントレプレナーシップを発揚する経営管理システム
       のデザイン試論」
 第3報告:本橋正美先生(明治大学)
      「中小企業管理会計の適用基準」
18:30~19:50 懇親会(現在調整中)

【大会3日目】
8月30日(水)
 9:00~11:30 受付
 9:30~10:35 自由論題報告(3):報告25分,質疑5分  ※5会場 最大10報告
10:45~11:50 自由論題報告(4):報告25分,質疑5分  ※5会場 最大10報告
11:50~12:40 昼食休憩
12:40~13:55 スタディ・グループ最終報告および産学共同研究グループ最終報告 
       報告25分,質疑10分
 スタディ・グループ最終報告:研究代表者 横田絵理先生(慶應義塾大学)
      「多様化するマネジメント・コントロールの現状整理と展望」
 産学共同研究グループ最終報告:研究代表者 青木章通先生(専修大学)
      「サブスクリプションビジネスのモデル化とその評価に関する研究」
14:05~15:25 統一論題討論 座長:山口直也先生,統一論題ご報告者3名
15:30    大会日程終了

 

日本管理会計学会2023年度第1回関西・中部部会開催記

2023年6月2日 景山愛子(広島国際大学)

 日本管理会計学会2023年度第1回関西・中部部会が、2023年5月27日(土)に広島国際大学(呉キャンパス)を主催校として開催された。今回の部会は、対面とWeb(Zoom)を活用したハイブリッド開催となった。
 部会の開催にあたり、まず、部会準備委員長から部会当日のプログラムや進行方法に関する説明があり、続いて、徳崎進関西・中部部会長から開会のご挨拶をいただいた。
 その後、プログラムにしたがって、特別講演1件および自由論題報告2件の発表がなされ、活発な質疑応答が行われた。
 参加者は42名(対面16名、オンライン27名)であった。以下、講演、各報告の概要を簡単に紹介する。

第一部〔特別講演〕(対面)
   講演者:古川善也氏(広島赤十字・原爆病院院長)
   講演テーマ:「病院改革と経営改善」

 特別講演では、主催校が医療系学部学科を有する大学であるつながりから広島赤十字・原爆病院院長の古川善也氏により、当院の「病院改革と経営改善」について、院長就任から7年間にわたる様々な取り組みについてお話があった。古川氏は部長時代より病院経営に関して、様々な問題意識を持っており、院長就任後は、それぞれの課題について、次々と院内改革に着手した経緯を説明された。

 院長就任後に着手した項目は、例えば、入職前面談、新入職時の当院・病院経営の講演、院長通信の配信(経営者の考えを組織内に浸透させるため)、他病院の見学学習(成功事例を知り、当院でも実践するため)、会議の見直し(改善、継続、新規設定)、情報開示を目的とした電子カルテの利用、役職者に対する経営を考えるための課題設定、原価計算を廃止して、疾患別粗利計算の導入、KPIの導入、看護部改革などがあげられる。
 また具体的な経営改善プロセスについては、「危機を認識、分析する」、「今後の方向性を決める」、「全職員に現状を伝えるとともに、今後の方針を周知する」、「組織の改変と方針の徹底を図る」、「短期的な成果を実現し、職員に自信をつける」、「ボトムアップを促し、新し文化を創る」の6つの項目を掲げ、それぞれを達成するための取り組みが紹介された。
 それらの成果として、広島赤十字・原爆病院は2022年、2023年にNewsweekからWorld’s Best Hospitalsに選ばれ、日本では60位、広島では2位の評価(2023年)を得ており、病院改革と経営改善は令和5年度も電子カルテの更新や各種医療機器の導入など、医療のサービスの向上につながる取り組みを積極的に行う目標が具体的に説明された。講演の最後に古川氏は病院の経営改革の基本は、「職員が働いている病院に誇りを持てるようにすること」、「経営状態を理解出来るようにすること」、「職員が経営改革の必要性を認識し、行動すること」を重視する点として説明された。
 講演後は、原価計算をとりやめたことに対して、新たに用いた疾患別の粗利の使い方やその共有の範囲についての質問や、組織構成員に経営上の問題を共有するための仕組みをどのように構築したのか、またバランススコアカードをやめてKPIを使うことにした理由などに関する質問があり、時間を余すことなく、活発な質疑応答が行われた。

第二部〔研究報告〕
 第1報告(オンライン)
   報告者:日浅優氏(名古屋学院大学・専任講師)
   論題:「現場従業員の信頼が,MCSの協働促進プロセスに及ぼす調
       整効果」

 90年代以降、組織間の提携が増加したことを背景として、組織間マネジメント・コントロール・システム(MCS)の研究が進み、組織間の信頼は、MCSの目的である組織間目標達成にむけての協働を促進させることが明らかにされてきた。報告者は、同一組織内における、MCSと信頼との関係が協働に対してもつ影響については、これまであまり研究されてきていないことに着目し、組織内の、部下から上司に対する信頼(垂直的信頼)と部下間の信頼(水平的信頼)が持つ、予算管理と方針管理から成るMCSが現場従業員の協働を促すプロセスに対する調整効果について定量的に検証を行った結果を報告した。
 検証は、あるホテルチェーン企業の従業員を対象としたアンケートデータを用いて(データ数:2,737名)、検証的因子分析、階層的重回帰分析により行われ、統計分析の結果、①垂直的信頼があるほど、予算管理における上司が現場従業員へ予算やそれを達成するための方法の伝達及び予実差異のフィードバックが方針管理における現場従業員間の議論を促すこと、及び②水平的信頼があるほど、方針管理における部署での議論が目標達成に向けた協働を促すという正の関係が、より強まることを明らかにした。今後は垂直的信頼と水平的信頼の相互間の影響の検討や、上司から部下への信頼についての検討、信頼の長期的な影響の分析などが課題として挙げられた。

 第2報告(対面)
  15:55~16:35(報告30分、質疑10分)
   報告者:足立洋氏(県立広島大学・准教授)
   論題:「不確実性と管理会計」

 先行研究によれば、環境不確実性が高いと、それに対処するために頻繁かつ幅広く管理会計情報が収集される。一方で、組織の規模が小さいほど、管理会計情報の利用頻度は減少する。そこで、報告者は、小規模企業の管理会計の洗練の規定要因について、小規模企業の環境不確実性に着目しながら、試論的な整理を行った。その結果、近年は中小企業への注目も増え、一方で小規模企業の管理会計研究は少ないことを指摘し、管理会計研究上の小規模企業の定義の難しさを確認した上で、不確実性と管理会計の洗練について、先行研究を整理し、大企業の場合と、不確実性と管理会計の洗練は小規模企業でも大企業と同じなのかという点についても十分に捕捉できていない可能性を示唆した。
 このような問題意識の下、報告者は、小規模企業における管理会計情報へのニーズ、及び管理会計情報の利用の洗練度に影響を与える要因(資金・人材面の制約、同族企業か否か・経営者が創業者か否かといった組織的要因、系列企業からの要請といった慣行的要因)について理論モデルを構築し、「洗練」という用語について継続的な検討が必要としながら、今後は、ケース・スタディによるモデルの検証や、会計情報の経営者によるスキャニングの程度に特定する要因が及ぼす影響を明らかにすること、そして会計情報がどのようにシステム化されるのかを課題として挙げた。
 両報告とも、発表の後には対面参加者・オンライン参加者から活発な質疑応答が行われた。