日本管理会計学会会員 各位
日本管理会計学会 第36回(2019年度第2回)関西・中部部会のご案内
下記の要領にて第36回(2019年度第2回)関西・中部部会(日本原価計算研究学会2019年度関西部会、神戸大学経営学研究科共催)を開催する運びとなりましたのでご案内申し上げます。
鈴木竜太教授(神戸大学経営学研究科)にご講演頂くと共に、5つの自由論題報告を行います。
記
日時:2019年11月16日(土)13時30分~
■ 会場
場 所:神戸大学 六甲台第1キャンパス(神戸市灘区六甲台町 2-1)
経営学部本館 2 階 206 教室
(https://www.b.kobe-u.ac.jp/access/)
(https://www.kobe-u.ac.jp/guid/access/index.html)
■ スケジュール
◆講演 13:30-14:10
「結果の強調が組織行動におよぼす影響」
鈴木竜太教授(神戸大学経営学研究科)
◆自由論題報告(報告25分 質疑応答10分)
◇14:20-14:55 第1報告
「顧客価値基準価格決定の有用性」
皆川芳輝(名古屋学院大学商学部 )
◇15:00-15:35 第2報告
「非財務情報が企業価値へ与える影響の研究」
下田卓治(NECマネジメントパートナー(株)・筑波大学大学院)
◇15:45-16:20 第3報告
「キャパシティの利用度と混雑コスト:探索的研究」
新井康平(大阪府立大学・群馬大学),福嶋誠宣(京阪アセットマネジメント(株)),安酸建二(近畿大学),栗栖千幸(亀田医療大学)
◇16:25-17:00 第4報告
「組織間コントロールにおける境界連結者の認知的コンフリクト」
大浦啓輔(立命館大学経営学部)
◇17:05-17:40 第5報告
國部克彦(神戸大学経営学研究科),謝 江龍(神戸大学学術推進研究員)
「台湾におけるMFCAの展開―日本との比較を通じて」
■懇親会
18:00-19:30
場所 さくら (神戸大学六甲台第1キャンパス内)
■参加費用
部会参加費 1,000円(ただし職をもたない大学院生は無料)
懇親会参加費 3,000円
■お申し込み先:(以下のフォーム部分をコピーのうえ電子メールで事前にお申し込みください)
kansaibukai[at]jcaa-net.org(締切:11月10日(日))「[at]を半角@に変更してください。」
:::::::::::メールで連絡頂く部分::::::::::::::::::::::::::::::::::::
ご氏名
ご所属
懇親会参加希望の有無 有り (不参加の場合は行を消してください)
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
自由論題の第1報告は,徳崎進氏(関西学院大学)による「イノベーションのための創造性マネジメント:経営人材の創造性開発における経営学、心理学、教育学の融合可能性とその管理会計的展開」であった。徳崎氏は,現代において,イノベーションの重要性がますます大きくなり,またその達成に不可欠な新しい知識や行為を生み出す能力である「創造性」の追求が経営課題となることを述べた上で,合理性を前提に競争優位性の獲得を追求してきた既存のアプローチの限界を指摘している。さらに,創造性をどのように育むのかは,経営管理者への有用な情報と技法の提供を任務とする管理会計を含む経営学諸分野の重要な関心事のはずであるが,本テーマに関連する研究蓄積が十分でないことも指摘した。徳崎氏は,こうした問題意識のもとに,先行する心理学や教育学領域の文献レビューに基づき,特に創造性に着目して,経営人材育成のあるべき姿とその方法論を管理会計の観点から検討を行った。本報告では,「創造性マネジメント」が管理会計の重要かつ喫緊の課題であることが示唆された。
自由論題の第2報告は,王博氏(京都大学大学院)による「マテリアルフローコスト会計(MFCA)の継続性を促進する取り組み-日東電工(株)VSウシオ電機(株)」であった。王氏は,MFCAは日本企業にも広く普及しているものの,多くのMFCAの適用事例は一時的なものであることを指摘している。しかし,MFCAが目的とする「環境と経済の両立」という目標を達成するためには,継続的なMFCAの適用が不可欠であることも指摘された。王氏は,MFCAを継続している事例として日東電工を,MFCAを継続できなかった事例としてウシオ電機を取り上げ,両社におけるMFCAの適用を比較分析した。その結果,MFCAのサプライチェーンへの広がりとエンジニアリングチェーンへの深掘りが示唆された。
自由論題の第3報告は,小山真実氏(神戸大学大学院)による「Ratchet Effect in Teams with Mutual Learning」であった。小山氏は,ラチェット効果に関して,相互学習(mutual learning)があるチームの状況を取り上げ,数理モデルによって分析した。相互学習とは,スキルの低い人がスキルの高い人と働くことによって,スキルの低い人の能力が向上する現象を指す。ダイナミックなアドバース・セレクションのモデルを利用して,小山氏は,相互学習がラチェット効果を緩和することを示した。プリンシパルは,相互学習がスキルの低い人の能力を改善することを知っているので,相互学習が存在する場合,1期目にスキルが低いと申告した人に対する2期目の契約は,改善された能力レベルに基づいて設計されることとなる。したがって,能力のある労働者が最初の期においてあまり能力がないふりをするベネフィットは,相互学習がない場合よりもある場合に,より小さくなる。この結果は,相互学習のあるチームにおいて,ラチェット効果は深刻な問題となりにくいことを示唆している。また,現実の企業の多くで過去の業績をベースに目標が設定される理由を説明している。
海外招聘講演に先立ち,星野優太氏(椙山女学園大学)よりメルコ学術振興財団に関する説明があった。海外招聘公演は,Dennis Fehrenbacher氏(Monash University)による「Reflections on Experimentation in Management Accounting, Information Systems and beyond」であった。Fehrenbacher氏は,管理会計研究における実験研究の可能性について公演した。実務におけるグーグルによるオンライン実験の事例や,学術界における実験研究に対するノーベル経済学賞に関する説明がされた。そのうえで,管理会計研究の研究手法について,実験研究も含め近年では研究手法が多様化していることが指摘された。とくに脳波の測定や,アイ・トラッキング,皮膚反応といった測定技術が,今後の管理会計の実験研究の可能性を広げることが指摘された。また,講演では,アイ・トラッキングを用いた実験研究に関する紹介や,アンカリングに関わる認知バイアスを体験する簡単なクイズもなされた。