2022年度 第1回企業研究会 開催記

■2022年度第1回企業研究会は,2023年3月3日(金)に株式会社サエラ(大阪市中央区)で開催されました。当日は三寒四温の気候の中にありながらも好天に恵まれ,北は北海道から南は九州まで全国から16名の申込みと参加がありました。今回の講師は,同社の代表取締役社長である小池由久様で,「サエラ薬局の経営管理」のタイトルでご説明をいただき,質疑応答と相互交流が行われました。
■小池様のご説明に先立ち,当学会常務理事・企業研究会担当副委員長である本橋正美氏(明治大学)より,開会の挨拶がありました。新型コロナウイルス感染症問題のため,企業研究会がこの3年間は開催できていなかったことから,本橋氏は「現執行部体制で開催できる“最初で最後の研究会”になったが,開催に踏み切ってくださった小池社長には心から感謝申し上げたい。」と述べました。
■小池様からは,約1時間40分間にわたりノンストップで熱いご講演をいただきました。会社概要,コロナ禍の運営状況,経営理念,人事管理,在庫管理など,内容は非常に多岐にわたりましたが,大きく3点に整理しておきます。

 

 

 

 


 第1に,明確な経営理念とビジョンとがあることです。これは「サエラビジョン2030」という形に集約されています。経営理念を持つことで会社が目指す「方向性」や「存在意義」を共有できること,適正な利益を確保することで,自ら行動できる人財づくりおよび自立型の組織づくりを目指せるということです。
 第2に,事業戦略があることです。これは,立地のみに頼る(門前集中)運営からグループ機能(ドクター開業支援,調剤薬局,介護,クリニック,不動産,新規事業など)と協調し,「かかりつけ(フアン)」創造を通じ地域課題(医療・介護に対するお困りごと)を把握し,解決する組織体を目指しているということです。
 第3に,マネジメントにも注力していることです。数値管理(赤字店舗の管理),人事管理(顧客と従業員への愛情,薬剤師の専門向上プログラム構築,生涯現役システムへのチャレンジ等),在庫管理(20対80の法則を用いて月次管理を行う。全品目実地棚卸を3か月に一度。ロス目標の徹底)など多くの工夫がなされています。
■まとめとして,小池社長がとにかく熱い方でした。予定の講演時間をすでに延長していたにもかかわらず,質疑応答にもすべて丁寧に回答していただきました。「薬局はドクターの下請けの状態では先がなくなる。薬局が生き残るためには,ドクターにも堂々とモノが言える薬剤師を育成し,薬剤師の地位向上を図ることが大切だ。」と締めくくられました。あっという間の2時間でした。 なお,今回の企業研究会では,サエラ薬局の店舗が本社から離れているため,店舗見学は行わず,動画による店舗の状況説明が行われました。
■小池社長から,企業研究会への参加者へとお土産が配られました。なんと手作りの梅酒とラッキョ漬けでした。お心遣いに本当に感謝申し上げます。


■事務局より,今回の企業研究会は,丹羽修二先生(日本経営ウィル税理士法人)の多大な仲介の労により,開催の運びとなりましたことを,申し添えさせていただきます。本当に有難うございました。

本学会副会長 企業研究会担当委員長 田坂 公(福岡大学)

PDFファイル → 20230303_kigyo