2024年度第1回リサーチセミナーのご案内

日本管理会計学会・会員各位

2024年度第1回リサーチセミナーを2024年7月27日(土)にオンラインで開催いたしますので,参加申込方法とプログラムをご案内差し上げます。

              記
開催日:2024年7月27日(土)
開始時刻:14時開始 16時終了(予定)
開催方法:オンライン(zoom)
参加費:無料
参加申込方法:下記のGoogleフォーム(お名前,ご所属,メールアドレス)にてお願いします。
https://forms.gle/DKDwSgnKMcE2T5fE6
参加の申込みをされた方には,後日,ZoomのURLをお送りします。

プログラム
14:00-14:05 開催挨拶および進行方法の説明

14:05-15:00 第1報告(報告時間30分,討論15分,質疑10分)
報告者:金 宰弘 先生(群馬大学)・東田 明 先生(名城大学)
討論者:北田 皓嗣 先生(法政大学)
報告タイトル:エココントロールの活用が環境パフォーマンスを向上させるメカニズム-エココントロールと環境管理会計の関係に注目して-
概要:企業は環境戦略の遂行を成功させるために、予算システム、業績評価システム、環境管理会計など、様々なコントロール手段と会計手法を同時に活用している(Guenther et al., 2016; Lueg and Radlach, 2016)。効果的かつ効率的なエココントロールの設計と運用を図るためには、エココントロールを構成する各コントロール手段の役割に加えて、コントロール手段間の関係や、エココントロールと他会計手法との関係を明らかにする必要がある。そこで,本研究では、エココントロールと環境管理会計の関係に注目して、エココントロールの活用が環境パフォーマンスを向上させるメカニズムを検証した。

15:00-15:05 休憩

15:05-16:00 第2報告(報告時間30分,討論15分,質疑10分)
報告者:市原 勇一 先生(北九州市立大学)
討論者:天王寺谷 達将(岡山大学)
報告タイトル:障害をもつ従業員の動機付けとマネジメント・コントロール
概要:障害者雇用促進法の改正に伴う法定雇用率の段階的引き上げや合理的配慮の提供の義務化など、企業にとって障害者の雇用は喫緊の課題のひとつとなっている。しかしながら、障害をもつ従業員をどのように動機付けし、その能力を引き出すのかについては、いまだ十分な議論がなされていない。本研究では、先行研究の知見を整理したうえで、マネジメント・コントロールが障害をもつ従業員の動機付けに与える影響について検討を行う。

16時00分 閉会挨拶

以上

問合せ先:岡山大学 天王寺谷 達将(tentatsuokayama-u.ac.jp)
         

2024年度第2回フォーラム 開催記

 2024年度第2回フォーラムは,神戸大学を開催準備校(準備委員長:神戸大学 梶原武久氏)として,2024年6月29日(土)14時10分~17時30分に神戸大学にて対面形式で開催されました。当日の参加者は約35名でした。開会の挨拶は日本管理会計学会・会長の﨑章浩氏(東京国際大学),司会および閉会の挨拶は梶原武久氏(神戸大学)により行われました。特別講演は北林孝顕⽒(川崎重⼯業株式会社 企画本部 経営企画部⻑ 理事),研究報告の第1報告は⽥中政旭⽒(神戸大学大学院博士課程後期課程),第2報告は⼤浦啓輔⽒(⽴命館⼤学)でした。いずれの報告についても,フロアから積極的な質問やコメントがなされ,活発な議論が行われました。

特別講演
報告者:北林孝顕⽒(川崎重⼯業株式会社・神戸大学大学院経営学研究科 研究員)
報告タイトル:⼤型製品システム開発のグローバル展開の課題―鉄道車両開発の事例研究―

 特別講演の前半では,川崎重工業の成長戦略とそれを実現するために実施している経営改革の具体的な施策について紹介されました。特別講演の後半では研究者としての立場に立ち,北林氏によるこれまでの研究の取り組みについて紹介されました。北林氏は大型製品システムの開発マネジメントの研究に取り組んでこられ,組織科学などの国内の学術雑誌に複数の論文を掲載されています。報告では,他産業と比較した鉄道車両開発マネジメントの特徴や,ユーザー視点から見た場合の課題やその克服方法に関する研究が紹介されました。さらに,それらの研究の発展的な内容として,メーカー視点での国内外の課題と方向性についても紹介されました。

研究報告 第1報告
報告者: ⽥中政旭⽒(神戸大学経営学研究科博士課程後期課程)
報告タイトル:地⽅公共団体における⼈事評価制度の設計:実質的な利⽤と形骸化

 研究報告の第1報告では,田中氏より地方公共団体の人事評価制度の導入とその利用に関する研究報告が行われました。研究の背景として,我が国では地方公務員法の改正により,人事評価制度の実施が義務付けられており,人事評価制度がほぼすべての団体で導入されています。しかし,一部では,人事評価制度の導入の目的に反して,人事評価制度が導入されたものの実質的には利用されず,形骸化している可能性が指摘されています。田中氏によるアンケート調査結果によれば,実質的に人事評価制度を導入している団体の特徴として,早期に人事評価制度を導入するとともに,経済的有効性を感じる要因を持つ組織といった特徴が明らかとなりました。

研究報告 第2報告
報告者:⼤浦啓輔⽒(⽴命館⼤学)
報告タイトル:組織間における MCS のアラインメントに関する論点:研究意義と構成概念妥当性の観点から

 研究報告の第2報告では,組織間におけるMCSアラインメント(整合的なMCS)について,O’Connor and Schloetzer (2023)のPMSアラインメントの概念をより広い観点から捉えなおすことによって,その研究意義や構成概念の妥当性について報告されました。大浦氏は国内の上場製造企業を対象にした郵送質問票調査のデータを用いて整合的なMCSの妥当性について検証しました。その結果,組織間のMCSを考える際に,組織間関係のガバナンスだけでなく,個々の企業内部のMCSも考慮することが,目標一致やインセンティブの整合性を議論する際の重要性などが主張されました。また,今後の展望として,MCSアラインメントを規定する要因やその結果に関する検証の必要性が示唆されました。

文責:北田智久(近畿大学)

2024年度第1回(第66回)九州部会開催記

 2024年6月1日(土)13:50~17:30

■■ 日本管理会計学会2024年度第1回(第66回)九州部会が、2024年6月1日(土)に、中村学園大学(福岡市)にてハイブリッド方式で開催された(準備委員長:中村学園大学教授・水島多美也氏)。準備委員長のご挨拶の後、特別講演および研究報告がおこなわれた。対面参加・オンライン参加合わせて50名を超える研究者や実務家の参加を得て活発な質疑応答がおこなわれた。


水島氏

 

■■ 福岡市に本社を置く創業1905(明治38)年の老舗菓子店で「鶴乃子」などで有名な株式会社石村萬盛堂の石村慎悟氏から「創業120年 石村萬盛堂のこれから」と題して特別講演が行われた。講演当日の朝にお子さんが誕生されご多忙にも関わらずご登壇くださった。会社の歴史と概要、業界の概況と抱える課題、自社の陥った危機と再生、これから先の自社とJTC(伝統的な日本の会社)が生き残るためには、という構成でお話しされた。マシュマロを贈るホワイトデーを始めたのは石村萬盛堂でありその文化は日本を越えてアジアに広がっていること、経営危機に陥り2021年から経営再建を進めているが、危機の原因は、コロナ禍・人口減少・原材料高騰などの外部要因ではなく、人材育成の軽視・手厚い銀行支援への甘え・市場変化に対する慢心といった内部要因こそが真因であったこと、老舗大国日本が生き残るために、M&Aによる事業承継や1ブランド特化などの構造改革、職人の高付加価値化などの自社自助努力、OEMを活用した利益事業への絞り込みなどを提案された。


石村氏

 

■■ 研究報告の第1報告は、康冬鶯氏(慶応義塾大学博士院生) により、「日本管理会計分野における本社をめぐる文献の研究」と題する報告が行われた。企業グループの中心である本社に焦点を当てた管理会計研究の必要性を指摘したうえで、我が国の管理会計研究を対象とした文献研究の成果を報告された。『管理会計学』『原価計算研究』『メルコ管理会計研究』を対象におこなったシステマティックレビューの結果、29本の論文が抽出された。分析の結果、研究動向として、事業部や海外子会社の研究が多く、本社に関する研究は少ないなか、本社による信条コントロールの研究に注目された。また本社に着目する先行研究の知見として、本社による分権度合いの影響、純粋持株会社体制の是非、本社費配賦問題、海外子会社トップマネジメントの国籍問題などを紹介された。今後の課題として、全体最適に向けた子会社間の連携や、本社による信条コントロールと管理会計の関係などを挙げられた。


康氏

 

■■ 研究報告の第2報告は、田坂公氏(福岡大学教授)により、「中小企業における
原価企画の実践は可能か―生方製作所のケースに基づいて―」と題する報告が行われた。リサーチクエスチョンとして、中堅・中小企業における原価企画の実施可能性、原価企画のインフラとしての管理会計教育の必要性などを挙げたうえで、エアコン室外機のコンプレッサー用保護スイッチなどを生産する生方製作所(愛知県)のケースを紹介された。中堅・中小企業における原価企画を実践するための道筋をまとめたうえで、同社への訪問調査の結果、源流管理、VEは実施されていないが原価低減活動の存在、戦略性、市場志向性、ロット別個別原価計算の実施、生産リードタイムの減少、目標原価への積極的な関与などが確認され、中堅・中小企業においても原価企画が実践可能であることを示された。また中堅・中小企業での原価企画実施のインフラとして、経営者だけでなく税理士などの会計専門家に対する管理会計教育の必要性を指摘され、商工会議所などとの連携による会計専門家への研修プログラムや、会計専門家と管理会計研究者の連携による中小企業への管理会計導入のアクションリサーチなどを提案された。


田坂氏

■■ 研究報告会後、九州部会総会が開催された。次回の九州部会は、2024年10月26日(土)に、佐賀大学で開催予定である。

文:丸田(九州大学)、写真:⻆田(佐賀大学)

【再送】2024 年度第 2回フォーラムの開催について

日本管理会計学会会員 各位

謹啓 時下ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
 さて、日本管理会計学会2024年度第2回フォーラムを下記の通り開催致します。皆様におかれましては万障お繰り合わせの上、ご出席を賜りますようお願い申し上げます。当日の懇親会も準備してお待ちしておりますので、ご参加を賜りますようお願い申し上げます。
 なお、ご出席予定の先生におかれましては、準備の都合上、6月14日(金)(締切を延長しました)までに、下記のリンク先のGoogleフォームからお申し込みください。問い合わせは北田( tkitadabus.kindai.ac.jp )宛にメールでご連絡ください。

<参加申込> https://forms.gle/2CGLbFPyc8UjQESe6

謹白


開催日:2024年6月29日(土) 14:10〜17:00
会場:神戸大学六甲台第1キャンパス 本館

〒657-8501 神戸市灘区六甲台町2−1
交通アクセス | 神戸大学 (https://www.kobe-u.ac.jp/ja/campus-life/general/access/rokko/rokkodai1/
阪急六甲駅またはJR六甲道駅から神戸市営バス36系統で「神大正門前」で下車ください。

2024年度第2回フォーラム準備委員会
梶原 武久(神戸大学)
佐久間 智広(神戸大学)
北田 智久(近畿大学)

※交通アクセス・プログラム等の詳細は、添付のPDFファイルをご確認ください。


プログラムPDF → 

2024年度年次全国大会 開催のご挨拶

大会準備委員長 中央大学 渡辺岳夫

 日本管理会計学会会員の皆様におかれましては,ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
 このたび,2024年度年次全国大会が,9月2日(月)~4日(水)の日程で,中央大学茗荷谷キャンパスにおいて開催されることになりました。同キャンパスは中央大学の中で最も新しい都心キャンパスであり,2023年4月に開設されました。その最新のキャンパスに管理会計学会の皆様を招きできることを嬉しく存じます。新型コロナウイルス感染症はほぼ収束しましたので,会員の皆様のご理解とご協力を賜りながら,以下にご案内の「日本管理会計学会2024年度年次全国大会スケジュール予定」にもとづき,対面形式による大会開催で準備を進めております。
 統一論題のテーマは,「AI時代の会計教育と管理会計実務」です。また,スタディ・グループ報告および産学共同研究グループ報告が予定されております。さらに,特別講演会では,2014年から2022年まで第5代日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)のチェアマンとして,リーグの組織改革に尽力された村井満氏のご講演を予定しております。
 自由論題報告の募集に際しては,会員の皆様から38組のご応募を頂戴いたしました。8月10日(土)を締切としてフル・ペーパーのご提出をお願い申し上げます。詳細の大会プログラムについては,7月中旬頃を目途に郵送させていただく予定です。
 大会準備委員会一同,万全の準備を進める所存でございます。多くの会員の皆様のご参加を賜りますよう,何卒,よろしくお願い申し上げます。

日本管理会計学会2024年度年次全国大会スケジュール予定
会場:中央大学茗荷谷キャンパス(東京都文京区大塚1丁目4−1)