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日本管理会計学会 2025年度第2回フォーラムの開催

日本管理会計学会学会員  各位

謹啓  時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
 さて,日本管理会計学会2025年度第2回フォーラムを,福岡大学にて下記のとおり開催いたします。夏休み前のご多忙の折とは存じますが,ぜひご出席賜りますようお願い申し上げます。また,当日は懇親会も予定しておりますので,併せてご参加いただけますと幸いです。
 なお,準備の都合上,ご出席予定の先生におかれましては,7月4日(金)までに,下記リンク先の Googleフォームよりお申し込みくださいますようお願い申し上げます。お問い合わせは,田坂(tasakakofukuoka-u.ac.jp)までご連絡ください。

【参加申込 GoogleフォームURL】
https://forms.gle/LL3w5NyZyKQtyKA97

謹白

〔参加費用〕
フォーラム参加費:無料        懇親会費:4,000円

※懇親会は定員により申し込みを締め切らさせていただく場合がございますので予めご了承ください。
※懇親会費のお支払いは,現金のみ受け付けております。お支払いの際は,釣り銭が出ないようご準備をお願いいたします。
※福岡市のホテルは,週末はお値段が高くなる傾向がございます。できるだけ早めのご予約をお勧めいたします。
※福岡大学商学部では,eduroamをご利用いただけます。eduroamのアカウントをお持ちでない方には,一時的に利用可能なゲストアカウントを発行いたします。ご希望の方は,Googleフォームよりお申し込みくださいますようお願い申し上げます。

2025年度第2回フォーラム準備委員会(福岡大学)
田坂 公 篠原巨司馬 飛田 努

プロググラムは、こちらからダウンロードしてください。

 

2025年度第1回フォーラム開催記

 2025年度第1回フォーラムは,2025年4月26日(土)14時00分から16時30分まで,日本大学商学部において対面形式で開催された。開会に先立ち,本学会会長 﨑章浩氏(東京国際大学)よりご挨拶を賜り,引き続き,関谷浩行(日本大学)の司会によりプログラムが進行した。

﨑章浩会長挨拶

 本フォーラムでは,特別講演として飛田甲次郎氏(株式会社Goldratt Japan・パートナー)をお迎えし,あわせて根本萌希氏(鹿児島国際大学)・梅田充氏(金沢星稜大学)による共同研究報告,および友寄隆哉氏(産業能率大学)による研究報告の計3件が行われた。
 当日は,非会員,学部生・大学院生17名を含む70名の参加があり,いずれの特別講演・研究報告に対しても活発な質疑応答が交わされ,大変有意義な議論が展開された。フォーラム終了後には懇親会も催され,参加者間の親睦が一層深まった。盛況のうちに本フォーラムは無事に閉会した。

〔特別講演〕
◎講演者:飛田甲次郎氏(株式会社Goldratt Japan・パートナー)
◎講演題目:全体最適の意思決定に資するスループット会計

飛田甲次郎氏による特別講演

 飛田氏は,制約理論(TOC)に基づくスループット会計をテーマに講演を行い,企業活動における全体最適の意思決定の重要性を説いた。まず,組織の目的を「現在から将来にわたってお金を稼ぎ続けること」,さらに「すべてのステークホルダーにとっての価値を上げること」と定義され,その実現には,オペレーションの主要な目的をフロー(リードタイム)の改善におくべきであると主張した。
制約理論の基本的な考え方として,部分最適を排除し,全体の流れを阻害する制約(ボトルネック)に集中すべきことが必要である。作業の過剰投入やマルチタスクの弊害が生産性や品質に与える悪影響について,具体例を交えて説明された。
 続いて,スループット会計の特徴について解説された。スループットとは「販売によって,システム(企業)がお金を作り出すレート」であり,「販売するまでカウントしない」,「配賦を一切しない」,「スループットは制約によって律速される」といった特徴を有する点が強調された。このような仕組みによって,従来の会計手法では捉えにくかった収益性や意思決定基準を,より明快かつ直感的に把握できることが示された。とりわけ,「制約消費時間当たりのスループット」を指標とすることで,製品別の収益性比較,内製か外注かの判断,投資の優先順位づけが合理的に行えることが示された。
 具体的な実践例として,株式会社ユニフローの事例が紹介された。同社の主な販売製品はスイングドアで,マーケットシェアは約8割である。同社では,設計部門がボトルネックとなり,受注後の設計変更や手戻りが多発し,リードタイムの長期化と市場機会の逸失が課題であった。そこで同社は,限界利益率だけでなく制約資源の使用量を加味して意思決定を行い,フローの最適化を図った。その結果,売上高は40%増加し,営業利益率は0.5%から8.4%へと16倍にまで向上した。
 講演の締めくくりとして飛田氏は,今後の経営には専門的な会計知識がなくとも直感的に理解でき,現場でも活用可能なシンプルかつ全体最適志向の意思決定会計が必要不可欠であると述べられ,スループット会計と制約理論の積極的な導入を呼びかけた。

◎参考ホームページ:『ザ・ゴール』アニメオンデマンドURL:
https://www.goldrattchannel.net/premiere

〔研究報告〕
第1報告
◎報告者:根本萌希氏(鹿児島国際大学)・梅田充氏(金沢星稜大学)
◎報告題目:BSCの導入が離職率と従業員エンゲージメントに与える影響:混合研究法に基づくシングルケーススタディ

根本萌希氏による研究報告

 本報告では,医療機関における人材確保の難しさや,従業員エンゲージメントに対応する手法として,バランスト・スコアカード導入の効果を検証したシングルケーススタディの成果が紹介された。リサーチサイトは,東京都清瀬市にある社会福祉法人慈生会ベトレヘムの園病院(許可病床数96床)であり,混合研究法に基づき,定量・定性の両面から長期的に分析が行われた。
 研究は3段階で構成され,第1にバランスト・スコアカード導入と体制整備,第2に運用と研修プログラムの実施,第3に人的資源の成果との関係性の検討が行われた。特にバランスト・スコアカードのコミュニケーション機能に注目し,戦略のカスケードや部門間の情報共有,外部ステークホルダーとの関係構築といった組織的効果が取り上げられた。分析手法には中断時系列分析,ウィルコクソン符号順位検定,スピアマン順位相関分析を用いられ,導入前後の統計的変化が検証された。
 結果として,病院全体および看護師の離職率は有意に低下し,エンゲージメントスコアは明確に向上したことが示された。両者の間には強い負の相関が確認され,バランスト・スコアカードが人材マネジメントに資する有効な手段であることが示唆された。一方で,単一事例に基づく一般化の限界や,指標変更といった方法論的制約も指摘されている。今後は複数の医療機関を対象とした比較研究や,医療の質や患者安全性との関連性の検討,さらには職員の意識変容プロセスに焦点を当てた研究の展開が期待される。

第2報告
◎報告者:友寄隆哉氏(産業能率大学)
◎報告題目:企業価値創造プロセスの可視化

友寄隆哉氏による研究報告

 産業能率大学は,90年以上にわたって企業の研修に講師を派遣し,実務家教育に豊かな実績を築いてきた。友寄氏は,同大学における企業研修での経験を出発点として,管理会計を中核に据えた企業価値創造プロセスの可視化に取り組み,新たな教材および講座の開発を進めている。
 本報告ではとくにバランスト・スコアカードと統合報告を連携させることにより,企業価値創造の構造を体系的に捉え,戦略の策定と実行を一体的に支援するマネジメントの枠組みについての文献研究の成果が報告された。具体的には,エーザイ株式会社の統合報告書(2021年度より「価値創造レポート」に改称)を分析対象とし,戦略マップの活用により,財務情報と非財務情報の因果関係が可視化され,社内における情報の結合性が向上している点が指摘された。
現在,日本企業におけるバランスト・スコアカードの導入率は依然として低水準にあるものの,エーザイで実践されたように統合報告との組み合わせにより,統合思考の醸成,情報の結合性の向上,ステークホルダーとの関係強化,そしてマテリアリティの可視化など,多面的な効果が期待できることが示された。
 結論として,統合報告は単なる情報開示の手段にとどまらず,ステークホルダーによる戦略的情報活用を支えるマネジメント・ツールとして再定義されるべきであると提言された。戦略マップを活用した情報の開示と情報利用の意義が強調され,経営戦略の実行と社会課題の解決とを両立させる重要性が指摘された。

文責:関谷浩行(日本大学)

【再送】2025年度第1回フォーラム申込期限 延長のご案内(4月18日まで)

日本管理会計学会学会員 各位

謹啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
 さて,日本管理会計学会2025年度第1回フォーラムを,下記のとおり開催いたします。新年度のご多忙の折とは存じますが,ぜひご出席賜りますようお願い申し上げます。また,当日は懇親会も予定しておりますので,併せてご参加いただけますと幸いです。
 なお,準備の都合上,ご出席予定の先生におかれましては,4月18日(金)までに,下記リンク先のGoogleフォームよりお申し込みくださいますようお願い申し上げます。お問い合わせは,関谷(せきや:sekiya.hiroyuki@nihon-u.ac.jp)宛にメールでご連絡ください。

【参加申込 GoogleフォームURL】https://forms.gle/kzi5FKBuGWWFRjPx5

謹白

 

◎開催日時:2025 年4月26日(土) 14時00分〜16時30分(対面)
◎会場:日本大学商学部 2号館2階 2207教室
〒157-8570 東京都世田谷区砧5-2-1
小田急線「祖師ヶ谷大蔵」駅 下車 徒歩12分
小田急線「成城学園前」駅から東急バスまたは小田急バスで5分「日大商学部前」下車

       2025年度第1回フォーラム準備委員会

関谷浩行 新江 孝 劉 慕和 村井秀樹 川野克典

 

◎交通アクセス・プログラム等の詳細は,PDFファイルをご覧ください。

2024年度第3回フォーラム開催記

流通経済大学 味水佑毅

 日本管理会計学会2024年度第3回フォーラムが、流通経済大学新松戸キャンパスで開催されました。﨑章浩会長の挨拶のあと、特別講演、研究報告が行われました。30名を超える参加者が集まり、特別講演、研究報告ともに活発な質疑応答が行われました。

(﨑会長挨拶)

 はじめに、元味の素株式会社 上席理事 物流企画部長で、現在は公益財団法人流通経済研究所 特任研究員をつとめる堀尾 仁 氏から、「加工食品領域における物流改革」と題して特別講演が行われました。
 講演では、はじめに、加工食品領域の物流に関する課題として、長い労働時間、低い年間賃金による「担い手の数が減っていく」こと、自動車運送事業における時間外労働規制の見直しによる「働く時間が減る」こと、そして、短いリードタイム、長時間待機などによる「加工食品物流は嫌われている」こと、の3つの危機が示されました。それゆえ、従来の延長線上ではない改革が必須であり、“常識”の根本的な見直しが必要であると堀尾氏は指摘します。
 近年では、行政も取り組みを始めており、短期、中長期の両面から議論が進められてきました。そのターニングポイントとして、堀尾氏は2022年度に開催された、国交省・経産省・農水省の3省主催の「持続可能な物流の実現に向けた検討会」、ならびにメーカー、卸、小売からなる「製配販連携協議会」を挙げています。その後、2023年には「我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議」における総理指示があり、2024年には改正物流2法が公布され、荷主、元請への監視体制が強化されていることを説明いただきました。
 そのうえで、「現場の危機、行政の動きを直視し、持続可能な加工食品物流を構築するために私たちは、何をすべきか、何をしてきたのか、そして、これから何をしなければならないか」という問いに関し、「個社ごとの改革」「同業他社との連携による改革」「サプライチェーン全体での改革」「行政や業界団体を巻き込んだ改革」のそれぞれの観点から、実体験にもとづく具体的な提言を示していただきました。
 会場からは複数の質問が寄せられたほか、講演後も堀尾氏を囲んでの議論が続くなど、参加者が刺激を受ける講演となりました。

(堀尾 仁 氏による特別講演) 

 特別講演の後、2件の研究報告が行われました。
 はじめに第1報告として、高橋 亮 氏・塘 誠 氏(成城大学)から「高度専門人材の業務委託における管理会計上の課題-IT・コンサル業を対象としたプリサーベイ-」と題して報告いただきました。
 本研究は、近年、専⾨スキルを持つ⼈材への需要の増加、副業・フリーランスの増加、フリーランスに対する指揮命令権の欠如などを背景として、外部委託の管理会計上の課題に関する仮説を設定することを目的として取り組まれています。本研究では、特に、IT/コンサル業を対象とした分析がおこなわれています。
 具体的には、組織間マネジメント・コントロール、フリーランス、業務委託先選定、委任契約と指揮命令権に関する先⾏研究のレビュー結果を示したうえで、インタビュー調査、質問紙調査にもとづく相関分析等を通じて導出、設定した仮説について説明されました。
 設定された仮説は、業務委託先の管理(3項目)、オンライン化と委託先の管理(2項目)、取引相⼿の選択(6項目)の計11項目であり、今後予定されている本調査での分析が期待されます。

(高橋 亮 氏による研究報告)

 つぎに第2報告として、小村 亜唯子 氏・平井 裕久 氏(神奈川大学)から「職場のダイバーシティがマネジャーの予算スラック創出行動に与える影響」と題して報告いただきました。
 本研究は、「マネジャーによる予算スラック創出額」の抑制に関する問題意識にもとづくもので、特に、「マネジャーと部下との関係が、マネジャーの予算スラック創出行動に及ぼす影響」について明らかにすることを目的として取り組まれています。
 具体的には、Church et al.(2012)、Beuren et al.(2015)などの先行研究がレビューされたのち、その成果と課題の整理から、上述した研究目的を導出するとともに、「予算スラックからの利益の、部下と共有の有無」「部下の性別による差異」に関する2つの仮説を設定したうえで、ケースシナリオによるオンライン実験に取り組まれています。
 分析結果からは、仮説のうち、「部下と共有の有無」に関して有意差が見られました。また、「部下の性別による差異」に関しては、追加分析も実施され、「部下の性別が職場におけるマイノリティである状況」の下で、有意差が見られました。
 今後の再実験、実験シナリオの修正をふまえた研究の発展が期待されます。

(小村 亜唯子 氏による研究報告) 

2024年度第3回フォーラムのご案内

日本管理会計学会会員 各位

謹啓 時下ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
 さて、日本管理会計学会2024年度第3回フォーラムを下記の通り開催致します。皆様におかれましては万障お繰り合わせの上、ご出席を賜りますようお願い申し上げます。当日は、懇親会も準備してお待ちしておりますので、ご参加を賜りますようお願い申し上げます。
 なお、ご出席予定の先生におかれましては、準備の都合上、11月20日(水)までに、下記のリンク先のGoogleフォームからお申し込みください。問い合わせは味水(みすい:misuirku.ac.jp)宛にメールでご連絡ください。

                            
謹白
 


開催日:2024年11月30日(土)14:00〜16:40
会場:流通経済大学新松戸キャンパス1号館
〒270-8555 千葉県松戸市新松戸3-2-1
交通アクセス:流通経済大学( https://www.rku.ac.jp/access/
JR武蔵野線・常磐線・新松戸駅より徒歩約4分

2024年度第3回フォーラム準備委員会
吉村 聡
味水佑毅

※交通アクセス・プログラム等の詳細は、PDFファイルをご確認ください。

PDFファイル → ダウンロード