「関西・中部部会」カテゴリーアーカイブ

2019年度第2回関西・中部部会 自由論題報告者の募集について

日本管理会計学会会員各位

日本管理会計学会第36回(2019年度第2回)関西・中部部会を
2019年11月16日(土)に神戸大学六甲台キャンパスにて開催します。
(日本原価計算研究学会との共催)。

つきましては、自由論題報告の報告者を募集いたします。
報告を希望される方は、下記の要領をご覧のうえ、応募してください。
なお、応募者多数の場合、調整させていただくことをご了承ください。

               記
開催日時:2019年11月16日(土) 13時30分開始(予定)
会場:神戸大学六甲台キャンパス

<応募要領>
1.締切り:2019年10月18日(金)
2.応募方法:下記を明記のうえ、メールにて応募してください。
 (1)報告タイトルと報告概要(200~300字)
 (2)氏名
 (3)所属機関
 (4)職名
 (5)連絡先メールアドレス
 (6)利用機器など
3.応募先:神戸大学経営学部 松尾貴巳
            kansaibukai[at]jcaa-net.org

                                                           ([at]を半角の@に変更してください。)

第35回(2019年度第1回)関西・中部部会 開催記


 日本管理会計学会第35回(2019年度第1回)関西・中部部会は5月18日(土)に近畿大学(大阪府東大阪市,準備委員長・安酸建二)において開催された。当日は天候にも恵まれ,30名前後の参加者があり,活発な議論が展開された。また部会に先立ち,役員会が開催された。部会では,安酸建二氏(近畿大学)の司会のもと,3つの自由論題研究報告及び1つの海外招聘講演が行われた。報告・講演要旨は以下の通りである。


 自由論題の第1報告は,徳崎進氏(関西学院大学)による「イノベーションのための創造性マネジメント:経営人材の創造性開発における経営学、心理学、教育学の融合可能性とその管理会計的展開」であった。徳崎氏は,現代において,イノベーションの重要性がますます大きくなり,またその達成に不可欠な新しい知識や行為を生み出す能力である「創造性」の追求が経営課題となることを述べた上で,合理性を前提に競争優位性の獲得を追求してきた既存のアプローチの限界を指摘している。さらに,創造性をどのように育むのかは,経営管理者への有用な情報と技法の提供を任務とする管理会計を含む経営学諸分野の重要な関心事のはずであるが,本テーマに関連する研究蓄積が十分でないことも指摘した。徳崎氏は,こうした問題意識のもとに,先行する心理学や教育学領域の文献レビューに基づき,特に創造性に着目して,経営人材育成のあるべき姿とその方法論を管理会計の観点から検討を行った。本報告では,「創造性マネジメント」が管理会計の重要かつ喫緊の課題であることが示唆された。

 自由論題の第2報告は,王博氏(京都大学大学院)による「マテリアルフローコスト会計(MFCA)の継続性を促進する取り組み-日東電工(株)VSウシオ電機(株)」であった。王氏は,MFCAは日本企業にも広く普及しているものの,多くのMFCAの適用事例は一時的なものであることを指摘している。しかし,MFCAが目的とする「環境と経済の両立」という目標を達成するためには,継続的なMFCAの適用が不可欠であることも指摘された。王氏は,MFCAを継続している事例として日東電工を,MFCAを継続できなかった事例としてウシオ電機を取り上げ,両社におけるMFCAの適用を比較分析した。その結果,MFCAのサプライチェーンへの広がりとエンジニアリングチェーンへの深掘りが示唆された。

 自由論題の第3報告は,小山真実氏(神戸大学大学院)による「Ratchet Effect in Teams with Mutual Learning」であった。小山氏は,ラチェット効果に関して,相互学習(mutual learning)があるチームの状況を取り上げ,数理モデルによって分析した。相互学習とは,スキルの低い人がスキルの高い人と働くことによって,スキルの低い人の能力が向上する現象を指す。ダイナミックなアドバース・セレクションのモデルを利用して,小山氏は,相互学習がラチェット効果を緩和することを示した。プリンシパルは,相互学習がスキルの低い人の能力を改善することを知っているので,相互学習が存在する場合,1期目にスキルが低いと申告した人に対する2期目の契約は,改善された能力レベルに基づいて設計されることとなる。したがって,能力のある労働者が最初の期においてあまり能力がないふりをするベネフィットは,相互学習がない場合よりもある場合に,より小さくなる。この結果は,相互学習のあるチームにおいて,ラチェット効果は深刻な問題となりにくいことを示唆している。また,現実の企業の多くで過去の業績をベースに目標が設定される理由を説明している。

 海外招聘講演に先立ち,星野優太氏(椙山女学園大学)よりメルコ学術振興財団に関する説明があった。海外招聘公演は,Dennis Fehrenbacher氏(Monash University)による「Reflections on Experimentation in Management Accounting, Information Systems and beyond」であった。Fehrenbacher氏は,管理会計研究における実験研究の可能性について公演した。実務におけるグーグルによるオンライン実験の事例や,学術界における実験研究に対するノーベル経済学賞に関する説明がされた。そのうえで,管理会計研究の研究手法について,実験研究も含め近年では研究手法が多様化していることが指摘された。とくに脳波の測定や,アイ・トラッキング,皮膚反応といった測定技術が,今後の管理会計の実験研究の可能性を広げることが指摘された。また,講演では,アイ・トラッキングを用いた実験研究に関する紹介や,アンカリングに関わる認知バイアスを体験する簡単なクイズもなされた。

文責:北田智久

日本管理会計学会 第35回(2019年度第1回)関西・中部部会のご案内

日本管理会計学会会員 各位

日本管理会計学会第35回(2019年度第1回)関西・中部部会のご案内

第35回(2019年度第1回)関西・中部部会を下記の通り開催いたします。
会員の皆様には万障お繰り合わせのうえご出席賜りますよう、ご案内申し上げます。


開催日時:2019年5月18日(土) 13時30分開始
会場:近畿大学東大阪キャンパス 21号館5階535教室
https://www.kindai.ac.jp/about-kindai/campus-guide/higashi-osaka/
交通アクセス:近鉄大阪線 長瀬駅から徒歩約10分
https://www.kindai.ac.jp/access/
参加費:正会員1,000円、準会員無料
懇親会費:3,000円

13:30-13:40 学会長挨拶

13:40-14:15 第1報告 徳崎進(関西学院大学教授)
 「イノベーションのための創造性マネジメント: 経営人材の創造性開発における経営学、心理学、教育学の融合可能性とその管理会計的展開」

14:25-15:00 第2報告 王博(京都大学大学院経済研究科博士課程)
 「マテリアルフローコスト会計(MFCA)の継続性を促進する取り組み-日東電工(株)VSウシオ電機(株)」

15:10-15:45 第3報告 小山真実(神戸大学大学院経営学研究科博士課程後期課程)
 “Ratchet Effect in Teams with Mutual Learning”

16:00-17:10 海外招聘講演 D. Fehrenbacher Associate Professor (Department of Accounting),
 Monash Business School, Monash University, Australia.
 “Reflections on Experimentation in Management Accounting, Information Systems and beyond”

17:30-19:30 懇親会(同一キャンパス内)

◆お問い合わせ先:第35回(2019年度第1回)関西・中部部会準備委員会
  安酸建二(やすかたけんじ)
kyasukata [at] bus.kindai.ac.jp ([at]を半角の@に変更してください)

なお、準備の都合上、研究報告会、懇親会の出席につきまして、5月12日(日)までに、
メールにて安酸までご連絡頂ければ幸甚に存じます。

2019年度第1回関西・中部部会 自由論題報告者の募集について

日本管理会計学会会員各位

日本管理会計学会 第35回(2019年度第1回)関西・中部部会を
2019年5月18日(土)に近畿大学東大阪キャンパスにて開催します。

つきましては、自由論題報告の報告者を募集いたします。
報告を希望される方は、下記の要領をご覧のうえ、応募してください。
なお、応募者多数の場合、調整させていただくことをご了承ください。

開催日時:2019年5月18日(土) 13時30分開始(予定)
会場:近畿大学東大阪キャンパス
交通アクセス:近鉄大阪線 長瀬駅から徒歩約10分

<応募要領>
1.締切日:2019年4月12日(金)
2.応募方法:下記を明記のうえ、メールにて応募してください。
(1)報告タイトルと概要(200~300字程度)
(2)氏名
(3)所属機関
(4)職名
(5)連絡先メールアドレス
(6)利用機器など
3.応募先:近畿大学経営学部 安酸建二

kyasukata[at]bus.kindai.ac.jp
([at]を半角の@に変更してください)

日本管理会計学会2018年度第3回フォーラムおよび第2回関西・中部部会 開催記

■■ 日本管理会計学会2018年度第3回フォーラムおよび第2回関西・中部部会(準備委員長:山本浩二氏)が、2018年11月17日(土)に大阪学院大学(大阪府吹田市)にて開催された。石田秀樹氏(元 京セラ(株)常務取締役・経営管理本部長)の特別講演の他、自由論題4件の報告が行われた

■■ 特別講演として、石田秀樹氏より、「アメーバ経営の原点と制約理論の展開 - あたらしい経営会計の展望」と題する講演が行われた。石田氏は、長く京セラ(株)において、米国現地法人へのアメーバ経営の導入や、財務会計や管理会計との調整システムの構築など、アメーバ経営に携わってこれられた旨の紹介が水野一郎会長からなされた。講演では、まず、京セラにおけるアメーバ経営の原点として、時間あたり価値計算が作り出された経緯の説明がなされた。特に、当時の京セラの状況などを踏まえた説明は臨場感あふれるものであったが、時間あたり価値計算が、あくまでも生産現場の改善のために生み出されたものであることが説明された。
 その後、京セラを離れられた後、(株)ビーイングにおいて、アメーバ経営と制約理論の結合による新たな会計システムの設計を試みられ、「エッジ会計」についての提案がなされた。エッジは、新技術等企業の競争力の源泉であり、この目的は、生産現場のイノベーションを向上させるためである。まさに、京セラがアメーバを生み出した、その経緯と一致するものであり、そのような会計システムが、今後の管理会計において必要であることを述べられ、講演を締めくくられた。

■■ 自由論題 第1報告は、卜志強氏(大阪市立大学)より、「中国企業におけるアメーバ経営の導入と展開」と題する報告が行われた。まず、中国における日本的経営手法の導入の状況について説明がなされ、アメーバ経営についても導入されてきている旨の説明がなされた。次に、実際の事例として、製造業、サービス業から、それぞれ2社のアメーバ経営の状況について説明された。まず、製造業として、宝鋼金属へのアメーバ経営の導入事例について説明された。次に、サービス業として、銀座集団のホテルへの導入について説明された。いずれも業績の向上だけでなく、従業員の意識の向上などが見られる成功事例とのことであった。一方で、中国におけるアメーバ経営の導入については、アメーバ経営への理解不足や、短期的な成果を追求するなどの原因から、失敗した事例を多くみられるとのことで、アメーバ経営の導入には、経営環境や企業特質などを考慮しなければならないことが説明された。

■■ 第2報告は、古田隆紀氏(大阪学院大学)より、「京セラフィロソフィに関する研究」と題する報告が行われた。まず、近年のアメーバ経営に関する研究においては組織文化に関する記述がないことが研究の動機である旨、説明がなされた。その上で、本報告では、「京セラフィロソフィは、組織文化を共有・伝承するための手段である」という仮説を示し、その検証をおこなった。その方法として、2つの参考文献をもとに、京セラのもつ組織文化を抽出し、アメーバ経営のシンボル要素と、京セラフィロソフィと組織文化の関係を明示していくことで、アメーバ経営と京セラフィロソフィとが、お互いに作用し合う関係であり、それを通して組織文化が醸成されていくと考えられ、これにより、先に示した仮説の検証をおこなった旨の説明がなされた。

■■ 第3報告は、中野延市氏((株)ナカノモードエンタープライズ)より、「原価企画思考の適用領域拡大―おせち『板前魂』における原価企画」と題する報告が行われた。まず、おせち料理という高価な季節商品のみを取り扱う専門店の経営におけるビジネスモデルについての説明がなされた。その際、自社企画製品のみを取り扱うため、高い付加価値をもつ工程として、商品開発と配送があり、特に商品開発において、高品質・低価格の商品を提供するための原価企画がおこなわれていることが説明された。低価格化を目指すために、コストを詳細に分類し、そのコストドライバーを分析し、対象となるリソースを改善していくことで、実現していること等が説明された。

■■ 第4報告は、佐藤正隆氏(慶應義塾大学大学院生)より、「ERPのシステム連携とその影響について-今後の改訂に対する意思決定の考察-」と題する報告が行われた。ERPの導入における失敗事例として、機能を分けて導入することで、システムの連携度が低いことがある旨、説明された。そのため、ERPの導入においては、システムの連携度が重要な要素であり、そのことを東証一部上場企業と対象に質問票調査をおこない、機能を一括導入する企業はシステム連携度が高いことを統計解析により確認をおこなった。また、その上で、ケースを紹介し、一括導入により、トータルコストが削減できること、サプライチェーン全体の情報管理し易いことなどが明らかとなり、システム連携が重要な要素であることの説明がなされた。

後藤晃範(大阪学院大学短期大学部)