「リサーチセミナー」カテゴリーアーカイブ

2016年度第2回企業研究会&リサーチセミナーのご案内

日本管理会計学会会員の皆様

会員の皆様には、ますますご健勝のことと存じます。
以下のように、第2回の企業研究会&リサーチセミナーを開催させて戴きますので、ご参加のほど、よろしくお願い申し上げます。
会長 原田 昇

研究企業
センコー株式会社(東京本社)
〒135-0052 東京都江東区潮見2?8?10
TEL? 03-6862-7150
最寄駅 JR京葉線 潮見駅より徒歩5分

【スケジュール】 3月14日(火)
10:15 集合(京葉線潮見駅改札口、なお改札口は一つです)
徒歩にてセンコー(株)様へ向かう。
10:35 挨拶
10:45 開始(本社その他の物流施設見学、川瀬常務様によるセンコー(株)の経営戦略のプレゼンテーション:物流戦略、アジアの基幹物流など)(120分)
12:45 昼食(センコー様の2階の食堂)
13:45 リサーチセミナー:岡村久和先生の講演
「ビッグデータの利用と経営戦略」(講演と質疑)(90分)
15:15 挨拶・解散

昼食は、センコー様のご厚意により、センコー様がご提供してくださることになりました。心より御礼申し上げます。

お世話役:大島正克(亜細亜大学)
ご参加希望の方は、3月5日(日)までに大島正克の以下のメールアドレスに、お名前、ご所属、よろしければ携帯電話の電話番号をお書きの上、お申し込みください。

oshima あっとまーく asia-u.ac.jp(あっとまーくを半角の@に変更してください。)

参加者名簿を作成させて戴きますともに、センコー株式会社様に、お名前とご所属の名簿をご報告させて戴きます。

亜細亜大学 大島正克

2015年度 第1回リサーチ・セミナー開催記

2015seminar.jpg■■ 2015年度第1回リサーチ・セミナーは、2015年6月20日(土)に名古屋大学経済学部文系総合館7階カンファレンスホールにおいて開催された。今回のリサーチ・セミナーは、メルコ学術振興財団との共催で開催され、講演と研究報告という2部構成で行われた。日本管理会計学会の木村彰吾副会長の司会のもと、日本管理会計学会の原田昇会長、メルコ学術振興財団の上總康行代表理事の挨拶をいただいた後、井上眞一氏(トヨタ自動車生技管理部)の講演および小林英幸氏(名古屋大学大学院)の研究報告が行われ、いずれも参加者から活発な質問や意見があり、有意義な議論が展開された。

■ 【講演】井上眞一氏(トヨタ自動車生技管理部)
「自動車ボデーの生産準備とDE活用?生産技術の役割?」

井上眞一氏による講演では、「自動車ボデーの生産準備とDE活用?生産技術の役割?」と題して、トヨタ自動車における生産準備の役割について、具体的な生産技術の変遷などを交えて解説していただいた。講演ではまず、アナログ時代の生産準備としてFBL(フレキシブルボデーライン)の意義や導入効果について言及された。その後、デジタル時代の生産準備としてDE(デジタル・エンジニアリング)を取り上げ、その意義や効果、活用事例について説明された。井上氏は、DEの導入によって迅速な製品検討が可能となり、研究開発期間の短縮などのメリットを享受できる一方で、デジタル化に伴うリスクも発生することを指摘した上で、現地現物による知識と経験に基づいたデジタルを実践する必要性を最後に主張された。

■【研究報告】小林英幸氏(名古屋大学大学院経済学研究科後期博士課程3年)
「原価企画に対するエンジニアの受容」

小林英幸氏は、トヨタ自動車の原価企画において、マネジメント・コントロールはどのように働いているのかを明らかにするため、アンケートおよびインタビュー調査を用いた研究報告を行った。小林氏はまず、トヨタ自動車の原価企画について説明した上で、3つの観点(CE、設計者、関係5部署)からのアンケート・インタビュー調査の概要と結果を説明された。次に、それらのアンケート・インタビュー結果の解析を行い、3つの観点では、原価企画の捉え方が異なっていることを明らかにしている。その上で、(1)Simons(1995)の4つのコントロール・レバー、(2)Malmi and Brown(2008)のパッケージとしてのマネジメント・コントロール・システム、(3)Ouchi(1979)のクラン・コントロール、という3つの先行研究を用いて、トヨタ自動車の原価企画のマネジメント・コントロール・システムについて検討している。その結果、上記の先行研究を用いると、トヨタ自動車の原価企画のマネジメント・コントロール・システムの働きは概ね説明できると主張された。最後に、CE制度を「是」として捉え、その長所を活かし課題を克服するヒントを述べ、トヨタ自動車の製品開発および原価企画のあり方への提言としてまとめられた。

青山学院大学 楠 由記子

2014年度 第1回リサーチ・セミナー開催記

2013research_1.jpg■■ 2014年度第1回リサーチ・セミナーは、2014年11月1日(土)に名古屋大学大学院経済学研究科第1会議室において開催された。今回のリサーチ・セミナーは、近年、管理会計分野でも係わり合いがでてきた行動ファイナンス分野の研究方法論の紹介と研究報告という2部構成で行われた。日本管理会計学会の木村彰吾副会長からの開会の挨拶の後、加藤英明氏(名古屋大学大学院)の講演および山本達司氏(大阪大学大学院)の研究報告が行われ、いずれも参加者から活発な質問や意見があり、有意義な議論が展開された。

■ 【講師】加藤英明氏(名古屋大学大学院経済学研究科教授)
「行動ファイナンスへの招待」
加藤英明氏による講演では、「行動ファイナンスへの招待」と題して、行動ファイナンスの研究方法論について解説していただいた。講演ではまず、伝統的なファイナンス論を代表する概念や理論について言及した後、それらに問題点やアノマリーが存在することを既存研究の紹介を交えながら説明された。そして、非合理的な投資家や経営者の存在に着目し、行動ファイナンスの考え方を用いてファイナンス理論を説明する方法について解説された。最後に、非合理な行動を説明する可能性のある代理変数などを例示するとともに、現在の研究の流れや今後の研究課題について述べられた。

■【報告者】山本達司氏(大阪大学大学院経済学研究科教授)
Prof. Tatsushi Yamamoto (Osaka University), Prof. Katsuhiko Muramiya (Osaka University) and Prof. Takashi Yamasaki (Kobe University)
“Stock Crash and R-squared around a Catastrophic Event: Evidence from the Great East Japan Earthquake”
山本達司氏は、財務報告の曖昧さがクラッシュリスクに与える影響について、モデル設定と実証分析の観点から報告された。山本氏はまず、株価暴落のリスクを示すクラッシュリスクについて説明され、株価暴落に影響を与える要因の一つとして企業の外生的要因に着目し、外生的要因によるクラッシュリスクに関心があることを説明された。次に、先行研究の紹介をした上で、本報告におけるモデルと仮説の設定および分析について説明された。本報告では外生的要因(ショック)として東日本大震災を取り上げており、財務報告の曖昧さが高まるほど、自然災害などの外生的要因が起こった際には、クラッシュリスクがより高まることを実証的に明らかにしている。最後に、本報告のインプリケーションとして、投資家に対しては財務報告の曖昧さが高い企業ほど株価のクラッシュが起きやすいことを注意喚起でき、また、経営者に対しては普段から透明度の高い財務報告を行うインセンティブを与えることができるとまとめられた。

楠 由記子(青山学院大学)

2013年度 第2回 リサーチセミナー開催のお知らせ

日本管理会計学会会員各位

会員の皆様におかれましては、益々ご清祥のことと存じます。
この度、2013年度第2回リサーチ・セミナーを下記のとおり開催することになりましたのでご案内申し上げます。事前の申し込みは必要ありません。研究報告の内容や研究方法に興味をお持ちの方は、是非ご参集下さい。

■■日 時・会 場
● 日 時:2013年12月7日(土) 14時~17時15分
● 会 場:早稲田大学 早稲田キャンパス 11号館819教室
●参加費:無料

■■プログラム
■14:00~15:30
●報告者  新谷 理 氏(早稲田大学大学院商学研究科博士後期課程)
「RIV 及び OJ モデルを用いた株式市場における資本コストの研究 ~日本株式市場と海外市場の比較」
●ディスカッサント  矢内 一利 氏 (青山学院大学)

■15:30~15:45  コヒーブレイク

■15:45~17:15
● 報告者  藤原 靖也 氏(神戸大学大学院経営学研究科博士課程)
「医療組織を対象とした管理会計研究の現状と課題 ~非営利組織の特質を踏まえた諸外国の文献レビューをもとに」
● ディスカッサント  妹尾 剛好 氏(和歌山大学)

■■お問合せ先: 2013年第2回リサーチセミナー準備委員長
早稲田大学 辻正雄 mtsujiあっとwaseda.jp

辻 正雄(早稲田大学)

2013年度第1回リサーチ・セミナー開催記

2013research_1.jpg■■ 2013年度第1回リサーチセミナーは, 2013年6月15日(土)10:30~12:20に甲南大学岡本キャンパス5号館2階521教室において開催されました。リサーチセミナーは,若手研究者による発表の場として,2002年度から毎年度続けて開催されてきました。今年度第1回リサーチセミナーは,2013年度関西中部部会(同日午後)と同時開催となりました。当日のリサーチセミナー出席者は38名であり,日本管理会計学会の浜田和樹副会長から開会の挨拶の後、星法子(白鴎大学)の司会によりリサーチセミナーが進められました。2件の意欲的な研究発表に対して,フロアから有益なコメント、質問が数多く出て,活発な議論が展開されました。

■ 第1報告 尾花 忠夫氏(関西学院大学大学院商学研究科博士後期課程)

「振替価格の設定に関する研究-ミクロ経済学的研究を中心に-」

2013research_3.jpg 尾花忠夫氏による第1報告では,以下の順序によって進められ,振替価格のミクロ経済的なアプローチを用いた研究が報告された。
1 研究目的
2 振替価格研究の背景
3 博士論文における問題意識
4 ミクロ経済における振替価格研究とその焦点
5 おわりに
尾花氏は,博士論文の問題意識とミクロ経済学的アプローチによる振替価格設定に関する研究のレビューについて報告を行った。問題意識は、R.G.Eccles(1985)による研究では今日の企業が行っている振替価格実務を説明するには不十分であるという点にある。彼が対象とした当時の企業と今日の企業では、取り巻く環境や戦略など多くの点で異なると考えられる。そこで、博士論文では彼の研究の洗練を目指す。
また、ミクロ経済学的なアプローチを用いた今日の振替価格設定に関する研究が何を焦点としているのかを明らかにした。この点については椎葉(2002)、Gox&Schillar(2007)による分類を参考に考察を行った。すなわち、伝統的なミクロ経済学的アプローチ、エイジェンシー理論、不完備契約、戦略的振替価格設定である。これらの分類よりHirhsleifer(1956)の研究から今日に至るまでの流れを示し、各研究の貢献について述べた。その上で、研究の焦点が企業の戦略を達成するために振替価格の設定をどのように利用するのかという点に当てられていることを明らかにした。最後に企業の様々な戦略に適合した振替価格設定の利用に着目した研究が必要であることを述べ、今後の課題とした。

2013research_4.jpg■ 第1報告コメンテーター
椎葉 淳氏(大阪大学大学院経済学研究科准教授)
尾花氏の報告に対し,椎葉氏は第一に,本研究の個別具体的な問題意識を特定することの必要性を指摘した。特に,尾花氏がとりあげた振替価格の先行研究には,さまざまな観点からなされた研究が混在しており,具体的なリサーチ・クエスチョンをまずは明確化しなければ,それらの先行研究と本研究との関係が不明瞭になることを指摘した。第二に,「戦略」という語が,経営戦略,事業戦略といった経営学や管理会計の分野で一般に用いられる内容を意味する場合と,ミクロ経済学,特にゲーム理論で定義されているところの「戦略」とが混ざっており,その点を明確に区別する必要があることを指摘した。

■第2報告 金 紅花氏(新潟大学大学院現代社会文化研究科博士後期課程)

「日本企業におけるBSC導入事例について-戦略策定機能を中心に-」

2013research_5.jpg 金紅花氏による第2報告では,以下の順序によって進められ,BSC導入企業の事例が報告された。
1 問題意識と研究目的,先行研究
2 アンケート調査の概要と結果
3 T社の事例研究
4 むすびに
金氏の報告は、アンケート調査と聞き取り調査を通じて、日本企業において、既に導入されている目標管理を前提して、これらに加えてBSCを併用することを念頭に置いた関係性(補完性)について考察することを目的としている。
アンケート調査より、既存に目標管理の実施を前提とし、マネジメント・ツールしての運用上、新しくBSCを導入し、両手法を併用することで、BSCが目標管理を補完し、両手法間には「補完性」が存在していたことが分かった。
一方、聞き取り調査より、BSCと目標管理の実施前後が逆となっていて、 既存に実施していたBSCによりカスケードされる戦略目標に対して、従業員がコミットメントを行うために新しく目標管理を導入し、両手法を併用することで、目標管理がBSCを補完し、両手法間には「補完性」が存在していたことが分かった。
すなわち、事業セグメントBSCによる戦略策定機能と目標管理による業績評価機能は、戦略マネジメント・システムの枠で相互関連性が存在し、マネジメント・ツールの実効性が強化されていて、BSCと目標管理間には「補完性」が存在していると考えられる。

2013research_6.jpg■第2報告コメンテーター
徳崎進氏(関西学院大学専門職大学院経営戦略研究科教授)
徳崎氏はまず、BSC研究の萌芽期のアジェンダともいえる「BSC-目標管理-方針管理の補完的な関係性」を、金氏が”相互排他性”を前提にあえてこの時点でアンケート調査と事例研究を用いて検証しようとした意図をただし、併用の妥当性が開発者を含む多くの研究者によって過去に論証されている点に鑑みれば十分な文献研究を踏まえた問題意識とテーマ設定であったのか顧みる必要があるとした。徳崎氏はまた、本研究ではリサーチ・クエスチョンが検証可能な仮説の形で設定されていない点や、質問調査データに定量的な分析が施されていないことによって、想定に反して目標管理をBSC導入後に併用している1社の事例研究が本来の追加的証拠収集手段として機能せず帰納的な普遍化に貢献し得るものに至らなかった点、BSCと方針管理の補完性の検証の議論が中途で消失している点、を要改善事項として指摘した。そのうえで徳崎氏は、質問調査の回答率低迷による度数の制約が所期の研究目的が果たされなかった主因であり、インタビュー企業の内情リポート部分にはいくらかの経営の効率や有効性を高めるための実践的な経営上のガイドラインの提起は見られたとして、金氏に、こうした研究の問題や限界・貢献を踏まえて、どのように今後の研究課題を展開していくのかに関して、展望を新たにするよう求めた。

長坂悦敬(甲南大学)、星法子(白鴎大学)