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企業・工場見学担当からのご案内

会員各位

 株式会社名村造船所様(東証スタンダード上場企業)(所在地〒848-0121 佐賀県伊万里市黒川町塩屋5-1)より添付資料の内容で、同社の工場見学・大型船見学のご案内を頂きました。
 工場見学は組立工場内の見学となります。会員の皆様にご案内を申し上げます。

1.開催日時
   10月15日(日)9:00~15:00(最終入場14:00)

2.開催場所
   株式会社名村造船所伊万里工場(佐賀県伊万里市黒川町塩屋5-1)

PDFファイル  大型船見学会チラシ2023 最終

日本管理会計学会 2023年度年次全国大会記

関谷浩行(北海学園大学)

 日本管理会計学会2023年度年次全国大会(委員長:東北工業大学 川島和浩氏)が,2023年8月28日(月)から30日(水)までの3日間にわたって,東北工業大学八木山キャンパスにて対面形式で開催された。参加者は約200名であり,大会期間中は活発な交流が図られた。

◎ 大会1日目
 28日は,常務理事会,理事会および各種委員会が開催された。

◎ 大会2日目
 29日は午前に5会場で計20題の自由論題報告が行われた。午後は,会員総会,特別講演,スタディ・グループ中間報告,統一論題報告,会員懇親会が開催された。
 昼食後に行われた会員総会では,大会実行委員長挨拶,会長挨拶のあと,審議事項として,昨年度の事業報告,昨年度の収支決算書(案),監査報告,今年度の事業計画(案),今年度の収支予算書(案)等について,審議・承認された。

 報告事項として2024年度の年次全国大会は,8月27日から29日の予定で中央大学にて開催されることが報告された。また,会員の異動,スタディ・グループ,産学共同研究グループ,参事への会議参加交通費等の補助,学会誌編集委員会運営規程等の改正,学会誌『管理会計学』の発行状況と今後の方向性等が報告された。
 最後に,学会賞審査報告ならびに表彰式が執り行われた。受賞者は以下のとおりである。

【学会賞】
・特別賞:伊藤和憲氏(専修大学)

・功績賞:該当なし
・論文賞:該当なし

・文献賞:坂口順也氏(名古屋大学)『組織間マネジメント・コントロール論:取引関係の構築・維持と管理会計』中央経済社

・奨励賞:荻原啓佑氏(早稲田大学)「目標原価の設定方式がコミットメントに与える影響:加算方式から控除方式への変更に焦点を当てて」『管理会計学』第31巻第1号, 55〜70ページ

 特別講演では,谷守正行氏(専修大学)の司会のもと,七十七ヒューマンデザイン株式会社代表取締役の庄司大志氏が「地域金融機関が見た中小企業の軌跡:震災,コロナ,その先へ」というテーマで,経営(改善)計画と管理会計の重要性について講演された。
 七十七ヒューマンデザイン株式会社は2022年8月,七十七銀行が100%出資して設立された組織である。同社はMission(使命)「人を活かす。地域を描く。」,Vision(目指すべき姿)「CONNECT〜人と企業をつなぎ,地域を未来へつなぐ〜」のもと,有料職業紹介事業,セミナーの開催等を主な事業としている。なお,同社の母体である七十七銀行の設立には,渋沢栄一氏の多大なる支援があった。
 庄司氏は2018年9月から3年間,東日本大震災で大きな被害を受けた七十七銀行女川支店の支店長を勤めた。震災前の女川町の人口は10,016名(2011年2月末)であったが,震災後は5,946名(2023年5月末)で40.6%減少した。震災時のエピソードの一つに,「2件/195千円」という数字がある。震災の翌日から七十七銀行では,預金の引き出し業務を手作業で再開させ,預金者の口座残高に関係なく一人10万円を上限に現金の引き出しを行った。後日,口座の残高不足によって返済を求めるケースが多数発生したが,最終的に回収できなかった件数・金額が先に示した「2件/195千円」である。庄司氏は預金者と銀行との信頼関係の高さを改めて感じたという。
 東日本大震災の復興が完了する頃に発生したのが新型コロナウイルスのパンデミックである。金融機関は業績が悪化した顧客に何ができるか。ここで重要なものが,経営(改善)計画である。企業の経営理念がいかに素晴らしくても,社長が人格者であっても,経営(改善)計画がないと金融機関本部の稟議は通りづらい。
 経営(改善)計画を立案することで,融資を受ける企業は,①自社の立ち位置がわかる,②従業員からの協力を得やすくなる,③振り返りを行うことができ,将来の経営に活かせる。また,④社外的には金融機関からの信頼度が高まるというメリットがある。一方,融資をする金融機関としては,顧客への理解度が深まり,金融支援が可能になるというメリットがある。経営(改善)計画は,社内・社外・金融機関間の合意形成を行うことを可能にする。
 金融機関が経営(改善)計画を見る際のポイントは,①実現可能性(外部環境を適切に把握しているか,改善施策は具体的か),②債務者区分(ランクアップまたは維持が可能か),③公平性(ステークホルダー間の公平性は担保されているか),④責任論(債務者,企業,経営者)であるという。
 女川町の地域企業の取り組み事例として「株式会社 鮮冷」が紹介された。鮮冷は2013年3月に設立された鮮魚販売・水産食料品製造の企業で,まちぐるみ,パートナーぐるみで水産業の6次産業化を目指している。鮮冷はサンマを中心に鮮魚の冷凍冷蔵事業を行っていた「株式会社 石森商店」とホタテを中心に鮮魚販売・加工事業を行っていた「株式会社 岡清」が合併して設立された。
 鮮冷はバリューチェーンの考え方を適用させ,女川町の強みを活かした売上計画を立案して実践している。同社の特長は魚介の細胞を壊さずに凍結することを可能とした先進の凍結技術であるCAS(Cells Alive System)を実践していること。また,海外への販路獲得を視野に入れて,消費者に安全な食品を提供することを目的とした食品安全マネジメントシステム規格のFSSC22000を取得していることにある。
 鮮冷は縦軸に商流(スーパー,コンビニ,業務用卸),横軸に商材(サンマ,ホタテ,フカヒレ,加工品)のマトリックスを作成し,新型コロナウイルスの影響によってダメージが深いのはどのマス目かということを把握・分析することができた。これもひとえに,バリューチェーンにもとづく経営(改善)計画を立案していたため,次の一手を打てる経営管理体制が構築できていたからである。
 今後,日本は人口減少によって限られた労働力を最大限に利用する必要がある。パイが広がる前提のビジネスモデルから,パイが狭くなる前提のビジネスモデルへ転換するためには,これまでと同じ商売の仕方では対応することが難しい。最後に,庄司氏は不確実な状況に対応するため,企業は経営(改善)計画を持つことに加えて,管理会計をしっかりと構築していくことが求められると主張された。

 特別講演後,スタディ・グループ中間報告が2本「クライシス時のマネジメント・コントロール:コロナ禍で管理会計はどのような役割を果たしたのか」(研究代表者:神戸大学大学院 三矢裕氏)および「経営者報酬を利用した経営者の業績評価に関する理論的・実証的研究」(研究代表者:桃山学院大学 濱村純平氏)の2件の報告が行われた。

 その後,統一論題報告が行われた。今年度の統一論題のテーマは,「中小企業管理会計の現状と課題」(座長:青山学院大学 山口直也氏)である。まず,座長の山口氏から解題がなされた。
 中小企業が直面する経営課題には,①事業基盤の安定性確保,②後継者の安定的確保,③従業員の安定的確保と従業員のパフォーマンス向上,④物価上昇への対応などがある。これらの経営課題に対処し,競争力を向上させるためには,管理会計の活用が極めて重要になる。そして,中小企業における管理会計の現状と課題について理解を深めることは,研究者や実務家が,中小企業における効果的な管理会計の活用を推進するための検討を統一論題の狙いとし,討論していくことが提起された。

 第1報告は,牧野功樹氏(拓殖大学)から「中小企業における管理会計導入による経済的帰結」として,中小企業は多義的な概念である(中小企業,スタートアップ,ファミリービジネスなどを区分することは難しい)ため,対象とする中小企業の特性(人材の制約,コスト制約,組織構造,原初的な組織)によって管理会計に与える影響を踏まえた管理会計研究の必要性が報告された。

 第2報告は,飛田努氏(福岡大学)から「中小企業経営者のアントレプレーシップを発揚する経営管理システムのデザイン試論」として,中小企業の組織成員が組織目標の実現に向けて動機づけられ,行動し,目標を実現するために必要とする情報を提供できるシステムをどうデザインするかとの問題意識のもと,経営者が中長期的な事業の見通しを立てるのに有用なマネジメント・コントロール・システム(MCS)の機能を検証して修正できるデザインの試論が報告された。

 第3報告は,本橋正美氏(明治大学)から「中小企業管理会計の適用基準」として,はじめに売上高基準にもとづいた中小企業と中堅企業の区分方法(売上高が50億円より高ければ中堅企業,低ければ中小企業)が主張された。また,中小企業管理会計の適用基準としては,①TQM/マーケティング管理会計・情報分析アプローチ,②健康経営アプローチ,③SDGsアプローチの3つのアプローチが提案された。

 大会2日目の最後に会員懇親会が4号館地下1階食堂にて開催され,仙台名物の牛タン,ホヤ貝,日本酒などが振る舞われた。

◎ 大会3日目
 午前中に5会場で18題の自由論題報告が行われた。午後はスタディ・グループの最終報告として,「多様化するマネジメント・コントロールの現状整理と展望」(研究代表者:慶應義塾大学 横田絵理氏)ならびに産学共同研究グループの最終報告として,「サブスクリプションビジネスのモデル化とその評価に関する研究」(研究代表者:専修大学 青木章通氏)の報告が行われた。

 その後,統一論題討論が行われた。討論では,座長の山口直也氏(青山学院大学)のコーディネートのもとで,3名の報告者と参加者との活発な質疑応答が行われた。さまざまな視点から中小企業管理会計の現状と課題について白熱した議論が行われ,盛況のうちに2023年度年次全国大会が終了した。

2023年度第2回リサーチセミナー報告者募集について

日本管理会計学会・会員各位

2023年度第2回リサーチセミナーを,日本原価計算研究学会との共催で,2023年12月9日(土)にオンラインで開催いたしますので,スケジュールのご案内を申し上げます。

報告をご希望の方は,下記の応募要領をご参考の上,ご応募をいただきますようお願い申し上げます。
本リサーチセミナーは若手研究者の研究水準向上の機会として開催されるものです。
報告希望多数の場合には,ご希望に添えない場合もあることをご了解の上,お申込み下さい。
またその場合,若手研究者を優先するものといたします。

参加申込の案内につきましては後日,プログラムの確定後に,もう一度連絡いたします。

              記

開催日:2023年12月9日(土)
開始時刻:14時より(予定)
開催方法:オンライン(zoom)
進行:報告30分,討論15分,フロア質疑10分(予定)

<報告応募要領>
1. 締切日:2023年10月15日(日)
2. 応募方法:標題に「リサーチセミナー報告希望」と記載し本文中に下記を明記のうえご応募ください。
(1) 報告タイトル・概要(200-300字程度)・言語(日本語または英語):
(2) 氏名:
(3) 所属機関:
(4) 職名:
(5) 連絡先(E-mail):

 なお,ご報告者には,日本語と英語のいずれのご報告の場合にも,11月上旬頃までにFull paperまたはExtended Abstractの提出をお願いいたします。
3.応募先:京都産業大学 近藤隆史
    k4769cc.kyoto-su.ac.jp
  件名を「リサーチセミナー報告希望」として,下記にお申し込みください。                               

敬具

日本管理会計学会2023年度第2回関西・中部部会 報告者募集のお知らせ

日本管理会計学会会員各位

日本管理会計学会2023年度第2回関西・中部部会を、下記のとおり開催することになりました。
同部会における自由論題報告をご希望の方は、下記の応募要領にもとづいて、ご応募ください。
同部会はハイブリッド形式(対面+オンライン)で実施しますが、報告者は対面でのご報告をお願いします。
報告希望多数の場合は、ご希望に添えない場合もあることをご了解のうえ、お申込みください。

日時:2023年11月18日(土) 13時30分開始
場所:甲南大学岡本キャンパス(兵庫県神戸市東灘区)
自由論題の報告者:2名を募集(報告時間30分+質疑応答10分)

報告応募要領
1.締切日:2023年10月2日(月)
2.応募方法:下記の応募先にメールでご応募ください。その際、件名を「関西・中部部会報告希望」とし、本文中に下記の(1)から(3)を明記してください。
 (1)氏名・所属機関・職名
 (2)連絡先メールアドレス
 (3)報告タイトルと報告要旨(200字程度)

3.応募先:
     甲南大学 杉山善浩
     sugiyama(at)konan-u.ac.jp [(at)を半角@に変更してください。]